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彩乃side 1
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副会長伊集院 彩乃side
パタンと扉の閉まる音がした。
これから、転校生を迎えに行かないといけない。
「何故、このような仕事を生徒会がしないといけないのでしょうかね…」
手元の書類を見る。
季節外れの転校生について書かれていた。
櫻谷さくらや 珠樹たまき
転校生の名前だ。
この書類はあまり情報は載っていないので分からないが、何せこの学園の転入である。
それに、学園長と同じ苗字、聞けば甥だというではないか。
「これって完全に王道じゃあないですか。」
そう、副会長は腐男子であった。
そして気づいたのである。
「というか、今年の生徒会、The王道じゃあないですか?!
今気づきましたよ?ええ、たった今!
光希さんが入って来て何となく既視感を感じていたのですが、こういうことですか。
私、副会長じゃないですか?!しかも今迎えに行っている?!
私、腹黒副会長ポジション?!」
そう、今の今まで気づいていなかったのである。
男子校の注目の的である生徒会なんてやっておきながら。
王道学園物を好んで読んでいないばかりに気ずいていなかったのである。
副会長と言えばの御出迎えイベント、その流れを思い浮かべる。
「これで転校生がもじゃもじゃ鬘に眼鏡だったら完全に…
というか私、初対面の人に『気に入りました。』とかなんとか言ってキスしないといけないんですか?絶対に嫌ですよ…。」
そう思うと、行きたくなくなる。
だが、これも仕事だ。
引き受けたからには最後まで全うせねばならない。
現にもう、1階まで降りてきてしまった。
今更やらないは無理な話だ
門に向かいながら現実逃避気味に他のことを考える。
「そういえば、純也はきちんと書類をやっているでしょうか。」
あの書類は風紀委員へ提出するものだ。
自分が面倒臭いからと、転校生の迎えを押し付けてきたものだから嫌がらせとばかりに押し付け返したのだ。
今思い出した王道イベントの事を考えると倍は押し付けていればよかったと後悔中である。
「あの人の事だから、書類完成させてから光希さん辺りに押し付けていそうですね…」
そう考えて不憫な1年生の事を思い浮かべる。
彼の王道ポジションはさしずめ、チャラ男の会計だろう。
「彼、そういえば最近は生徒会室へちゃんと来ていましたね。」
4月の中旬辺りから生徒会室へ時々しか来なくなってしまった。
だが、書類は提出期限までにきちんと出しているので問題はないのだが…。
「彼にとってはきっと過ごしにくいのでしょうね…」
彼を覗いた他の役員は皆、ランキングで選ばれている。
毎年、生徒会役員に選ばれる1年生は肩身が狭く感じるだろう。
例外も居るだろうが…
それの代表が今の生徒会長だろう。
それに今の生徒会メンバーは光希を覗いて全員金狼のメンバーだ。
それを光希は知らないだろうが(知ってます。)、何か感じるものでもあるのだろう。
「いっその事、彼もメンバーになってくれと勧誘してみましょうか?
ですが、いきなり族のメンバーになれだなんて言われても困るでしょうね、そういう事とは無縁そうです。」(思いっきり関わってます!)
まあ、それは置いておいて。
「しかし、彼の噂は本当なのでしょうか?
彼、パッと見はあまり目立たないですし、生徒会で過ごしていてもそのような感じはしないのですが…」
最近、よく聞く噂だった。
今年の生徒会会計の親衛隊は全員、会計のセフレだとか。
夜に親衛隊を部屋に連れ込んでいるとか。
他にも色々な噂があるが似たようなものだ。
しかもその噂について本人は否定しない。それは彼の親衛隊も同じだ。
「まあ、私が気にすることではないですね。学内でやらなければ処罰の対象にはなりませんし、仕事もきちんとしてくれていますから。」
そんなことを考えていたら校門へとたどり着いた。
まだ転校生は来ていないようで、辺りに人影はなかった。
パタンと扉の閉まる音がした。
これから、転校生を迎えに行かないといけない。
「何故、このような仕事を生徒会がしないといけないのでしょうかね…」
手元の書類を見る。
季節外れの転校生について書かれていた。
櫻谷さくらや 珠樹たまき
転校生の名前だ。
この書類はあまり情報は載っていないので分からないが、何せこの学園の転入である。
それに、学園長と同じ苗字、聞けば甥だというではないか。
「これって完全に王道じゃあないですか。」
そう、副会長は腐男子であった。
そして気づいたのである。
「というか、今年の生徒会、The王道じゃあないですか?!
今気づきましたよ?ええ、たった今!
光希さんが入って来て何となく既視感を感じていたのですが、こういうことですか。
私、副会長じゃないですか?!しかも今迎えに行っている?!
私、腹黒副会長ポジション?!」
そう、今の今まで気づいていなかったのである。
男子校の注目の的である生徒会なんてやっておきながら。
王道学園物を好んで読んでいないばかりに気ずいていなかったのである。
副会長と言えばの御出迎えイベント、その流れを思い浮かべる。
「これで転校生がもじゃもじゃ鬘に眼鏡だったら完全に…
というか私、初対面の人に『気に入りました。』とかなんとか言ってキスしないといけないんですか?絶対に嫌ですよ…。」
そう思うと、行きたくなくなる。
だが、これも仕事だ。
引き受けたからには最後まで全うせねばならない。
現にもう、1階まで降りてきてしまった。
今更やらないは無理な話だ
門に向かいながら現実逃避気味に他のことを考える。
「そういえば、純也はきちんと書類をやっているでしょうか。」
あの書類は風紀委員へ提出するものだ。
自分が面倒臭いからと、転校生の迎えを押し付けてきたものだから嫌がらせとばかりに押し付け返したのだ。
今思い出した王道イベントの事を考えると倍は押し付けていればよかったと後悔中である。
「あの人の事だから、書類完成させてから光希さん辺りに押し付けていそうですね…」
そう考えて不憫な1年生の事を思い浮かべる。
彼の王道ポジションはさしずめ、チャラ男の会計だろう。
「彼、そういえば最近は生徒会室へちゃんと来ていましたね。」
4月の中旬辺りから生徒会室へ時々しか来なくなってしまった。
だが、書類は提出期限までにきちんと出しているので問題はないのだが…。
「彼にとってはきっと過ごしにくいのでしょうね…」
彼を覗いた他の役員は皆、ランキングで選ばれている。
毎年、生徒会役員に選ばれる1年生は肩身が狭く感じるだろう。
例外も居るだろうが…
それの代表が今の生徒会長だろう。
それに今の生徒会メンバーは光希を覗いて全員金狼のメンバーだ。
それを光希は知らないだろうが(知ってます。)、何か感じるものでもあるのだろう。
「いっその事、彼もメンバーになってくれと勧誘してみましょうか?
ですが、いきなり族のメンバーになれだなんて言われても困るでしょうね、そういう事とは無縁そうです。」(思いっきり関わってます!)
まあ、それは置いておいて。
「しかし、彼の噂は本当なのでしょうか?
彼、パッと見はあまり目立たないですし、生徒会で過ごしていてもそのような感じはしないのですが…」
最近、よく聞く噂だった。
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他にも色々な噂があるが似たようなものだ。
しかもその噂について本人は否定しない。それは彼の親衛隊も同じだ。
「まあ、私が気にすることではないですね。学内でやらなければ処罰の対象にはなりませんし、仕事もきちんとしてくれていますから。」
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