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幼少期編

27 ブレイディの領地へ

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「リランいらっしゃい!」

ブレイディの領地の屋敷に来た。ブレイディの領地は殆どが鉱山で街も山の頂上と中腹部、麓の3箇所にしかないらしい。頂上の町はもう殆ど使われていなくて近々廃村、廃町?にするらしい。中腹部の町は主に鉱夫達が住んでいて治安は良いけど空気は良くないみたい。麓の町は鉱石を加工したり、怪我をした鉱夫の治療とかする感じで必要なものはここにぎゅっと詰まっている。

「この度はお招きいただきありがとうございます」

「ありがとうございます」

兄と共に出迎えてくれたブレイディと父親にお礼を言う。

「ご丁寧にありがとうございます。こちらこそいつも愚息がお世話になっております。立ち話もなんですから、どうぞ入ってください」

サロンに行って少し談笑した後、兄とブレイディの父親は鉱山の歴史についての議論をすることになり、暇になった僕たちは町に出ることにした。
麓の町はかなり賑わっていて活気がいい。

「レイ、どこかお勧めのところはある?」

「うーん……あ、今日は広場で屋台が出る日だよ!」

「いいね。ちょうどお腹も減ったし」

市場は人がごった返してはいるけど、前が見えなくなるほどではなかった。ざっと数百人はいると思うけど、それでも余裕なくらい広場が広い。広場の至る所で食べ物や雑貨屋等々所狭しと並んでる。

「わぁ、すごい」

「でしょ?さぁ、どんどん回ろう!」

牛の蒲焼きみたいなやつとかタコライス、果物のジュース、焼き鳥、アイス、スープ、タコの代わりにつくねが入ったつくね焼き。いろんなものを半分にして食べた。勿論、毒味役が食べた後にだけど。どれも美味しかった。お気に入りは異世界ではまぁまぁある肉の串焼きだなぁ。タレがすごく美味しくて牛のお肉も脂身が少ないのにやらかくて絶品だった。兄にも買って帰ってあげよう。
一頻り食べ終わった後、休憩するために広場の端の方にある噴水の淵に腰を下ろした。

「美味しかったぁ~」

「でしょでしょ!お腹いっぱいだね」

「だね。しばらく動けないかも」

「僕も。動けるようになったらどうする?」

「とりあえず、兄様のお土産に牛の蒲串を買いたいな。それから雑貨屋の方も見に行ってみたい」

「いいよ。………レイナード様、凄くかっこいいね。噂以上にかっこよかった!もうイケメンなんてレベルじゃないね。もうキラキラオーラがすごい!!全く話しかけれなかった…いや、尊敬の的だから、遠くから眺めてる方が良いね。眼福過ぎる~~!あー」

(キモい)

「もう尊すぎる。あのにこやかな顔!思い出すだけで鼻血が出るよぅ」

「でてるヨゥ」

「え?嘘」

「本当。もう汚いからこっちこないで」

「ああ、ごめん。ザンー、鼻血出たー!」

ブレイディは鼻を抑えながら乳母の方へ走って行った。全く騒がしい。兄のことになると途端に残念な美少年に早変わりだよ。あれは前世でいうオタクだな。何か1つにずっと情熱をかけれるって凄いことだね。

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