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5 父
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「ねぇ、マイ。お父さんて、いた方がいい?」
「マイには難しすぎるよ。お母さんいつものお返し?」そういうとマイは笑った。
「優しいお父さんよ」ユリのまなざしは深かった。
「お父さんて優しいの?」マイは不安げにつぶいた。
「優しくて、強くて、カッコイイ、お父さんよ」ゆっくりと、ユリは言って聞かせた。
「うん。マイにもお父さん、ほしいな」
「あなたは、お父さんの子になるのよ。私だけではなくてね」
風が凪いだ。
「私、結婚するの。いい? 結婚しても?」
「ダメって言っても、結婚するでしょ」マイは笑った。ユリもつられて笑った。
「『いいひと』なのよ」
「『いいひと』ねぇ……」
二人は顔を見合わせて微笑んだ。
(結)
「マイには難しすぎるよ。お母さんいつものお返し?」そういうとマイは笑った。
「優しいお父さんよ」ユリのまなざしは深かった。
「お父さんて優しいの?」マイは不安げにつぶいた。
「優しくて、強くて、カッコイイ、お父さんよ」ゆっくりと、ユリは言って聞かせた。
「うん。マイにもお父さん、ほしいな」
「あなたは、お父さんの子になるのよ。私だけではなくてね」
風が凪いだ。
「私、結婚するの。いい? 結婚しても?」
「ダメって言っても、結婚するでしょ」マイは笑った。ユリもつられて笑った。
「『いいひと』なのよ」
「『いいひと』ねぇ……」
二人は顔を見合わせて微笑んだ。
(結)
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