クリスマス・アリス

雨宮大智

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サンタクロース

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 枕元に一番綺麗で大きな靴下をぶら下げ、アリスは固いベッドの上に横になった。まんじりともせず、天井を見つめている。最後に父さんに会ったのはいつだったか、それを思い出そうと試みる。だが、どうしても思い出す事ができない。顔もおぼろげな感じだ。写真の若いときの父さんの顔が、アリスのイメージできるものだけだった。


 ……父さん、ほんとにサンタさんになったの?
 ……プレゼントを配って歩いているの?
 ……トナカイさんと話せるの?


 グルグルと考えが頭の中を駆けめぐる。 そんななかでアリスはゆっくりと眠りの闇の中へと落ち込んでいった。


 ぎぃ、と木製のドアが鳴ったのはもう夜も大分更けた頃だった。
ゆっくりと人が入ってくる気配が感じられた。

 ……父さん? サンタさん? 

 アリスは寝ぼけたままで、目の焦点も定まらない。入ってきたのは背の大きさから、多分男の人じゃなかろうか。
 その影はゆっくりアリスに近づき、それから枕元にぶら下げた靴下に何かを入れたのが分かった。

 ……メリー・クリスマス。おやすみ、アリス。

 サンタさんはそう呟くと、優しくアリスの巻き毛をなでた。
 アリスは自分がとても興奮して、それでいて優しい気持ちになっているのに、金縛りにあったように動けないことを、とても悔しく思った。全ては夢の中の出来事のようだ。  
 アリスはそのまま、深い深い眠りの中へと落ち込んでいった。
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