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八章 明日を生きる力
☆【3】光と闇、【4】無限
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「アルカードだって?!」
「伏せて!」
「お前は、幾度おれの前に立ち塞がれば満足するんだ?」
「あなたが滅ぶまで、私は餓えた獣であり続ける」
「笑止! お前が望むならば、おれは、お前のために無数の贄を用意してやる」
「私が欲しい贄は、あなたよ」
※千鶴とアルカードの対決
バトルシーンを書こうとしていたことに、びっくりする
今だったら、書けるのかな……
いやー、どうでしょう
結論から言うと、千鶴が勝ちます
「ヒロインがラスボス」ですのでー
【4】無限
「ザカーの奴……。僕の体を使って、好き勝手なことを」
「お前の血を僕にくれ」
「私の血は、あなたの救いにはならない」
「いいから。お前が欲しいんだ。どうせ僕は、長くは保たない……」
「お前の血は、甘いな。他の誰の血よりも、甘く感じる」
「僕が血を啜らずに生きてゆける者だったら、お前は僕を……」
「あなたを生んだのは私。だから、私の手で滅ぼすしかなかった」
千鶴は灰弩の胸に手を滑らせる。
「ごめんなさい。謝って済むことでは、到底ないけれど」
「ザカーは僕より先に逝っちまった。だからもう、心配するな。千鶴」
「あいつは僕の運命だった。でもな、千鶴……。あいつがいなかったら、僕はお前と逢うこともなかったんだ。僕の運命は、――最初から決まってた」
「お前が憎かったのは本当だよ。だけど……。それだけじゃなかった」
「お前のことが好きだったよ。初めて、お前を見た時から」
「どんな方法を使ってでも、お前が欲しいと思ってしまった瞬間から、僕は、あいつの奴隷に成り下がってしまった」
「千鶴。僕のことを覚えていてくれるかい?」
「ええ。いつまでも」
「ふふっ。お前の無限の命に、僕の記憶が刻まれるのか……。悪くない」
「あなたは、もう充分戦った」
「お眠りなさい。私があなたを運んであげる」
「舞い上がりなさい。全てのこだわり、全ての迷いや恨みを解いて」
「天へ。高く、高く」
「哀れな人……。私の血が毒でしかないことも知らずに」
千鶴は灰弩の頬に手を重ねた。
「見て。こんなに安らいだ顔をしている」
「君は――」
「私が死ぬ日は一体いつかしら」
「……」
「時々、まるで永遠という時の檻に囚われているようで、たまらない気持ちになるの」
「君はなぜ、そんな体に?」
「千鶴。君の口から聞きたい」
それが鍵となる。
「お願いだ。聞かせてくれ。でないと――」
叉雷は思い出すことができない。
「龍神である父が、人の母に生ませた子供が私よ」
そして、叉雷は全てを手に入れた。
龍。龍の娘。千鶴。甘露。天翔る龍の姿。
虹色の奇跡が星を巡る。今、この瞬間も。
ゆるやかな軌跡を描きながら。大らかに。
「うわっ……」
凄まじい浮遊感だ。体が自然と浮き上がってしまうような。
「伏せて!」
「お前は、幾度おれの前に立ち塞がれば満足するんだ?」
「あなたが滅ぶまで、私は餓えた獣であり続ける」
「笑止! お前が望むならば、おれは、お前のために無数の贄を用意してやる」
「私が欲しい贄は、あなたよ」
※千鶴とアルカードの対決
バトルシーンを書こうとしていたことに、びっくりする
今だったら、書けるのかな……
いやー、どうでしょう
結論から言うと、千鶴が勝ちます
「ヒロインがラスボス」ですのでー
【4】無限
「ザカーの奴……。僕の体を使って、好き勝手なことを」
「お前の血を僕にくれ」
「私の血は、あなたの救いにはならない」
「いいから。お前が欲しいんだ。どうせ僕は、長くは保たない……」
「お前の血は、甘いな。他の誰の血よりも、甘く感じる」
「僕が血を啜らずに生きてゆける者だったら、お前は僕を……」
「あなたを生んだのは私。だから、私の手で滅ぼすしかなかった」
千鶴は灰弩の胸に手を滑らせる。
「ごめんなさい。謝って済むことでは、到底ないけれど」
「ザカーは僕より先に逝っちまった。だからもう、心配するな。千鶴」
「あいつは僕の運命だった。でもな、千鶴……。あいつがいなかったら、僕はお前と逢うこともなかったんだ。僕の運命は、――最初から決まってた」
「お前が憎かったのは本当だよ。だけど……。それだけじゃなかった」
「お前のことが好きだったよ。初めて、お前を見た時から」
「どんな方法を使ってでも、お前が欲しいと思ってしまった瞬間から、僕は、あいつの奴隷に成り下がってしまった」
「千鶴。僕のことを覚えていてくれるかい?」
「ええ。いつまでも」
「ふふっ。お前の無限の命に、僕の記憶が刻まれるのか……。悪くない」
「あなたは、もう充分戦った」
「お眠りなさい。私があなたを運んであげる」
「舞い上がりなさい。全てのこだわり、全ての迷いや恨みを解いて」
「天へ。高く、高く」
「哀れな人……。私の血が毒でしかないことも知らずに」
千鶴は灰弩の頬に手を重ねた。
「見て。こんなに安らいだ顔をしている」
「君は――」
「私が死ぬ日は一体いつかしら」
「……」
「時々、まるで永遠という時の檻に囚われているようで、たまらない気持ちになるの」
「君はなぜ、そんな体に?」
「千鶴。君の口から聞きたい」
それが鍵となる。
「お願いだ。聞かせてくれ。でないと――」
叉雷は思い出すことができない。
「龍神である父が、人の母に生ませた子供が私よ」
そして、叉雷は全てを手に入れた。
龍。龍の娘。千鶴。甘露。天翔る龍の姿。
虹色の奇跡が星を巡る。今、この瞬間も。
ゆるやかな軌跡を描きながら。大らかに。
「うわっ……」
凄まじい浮遊感だ。体が自然と浮き上がってしまうような。
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