「叉雷の鱗」は、なぜエタったのか? -自作のエターナル小説について語る-

福守りん

文字の大きさ
上 下
43 / 44
八章 明日を生きる力

☆【3】光と闇、【4】無限

しおりを挟む
「アルカードだって?!」

「伏せて!」



「お前は、幾度おれの前に立ち塞がれば満足するんだ?」

「あなたが滅ぶまで、私は餓えた獣であり続ける」
「笑止! お前が望むならば、おれは、お前のために無数の贄を用意してやる」
「私が欲しい贄は、あなたよ」


※千鶴とアルカードの対決
バトルシーンを書こうとしていたことに、びっくりする
今だったら、書けるのかな……
いやー、どうでしょう

結論から言うと、千鶴が勝ちます
「ヒロインがラスボス」ですのでー



   【4】無限

「ザカーの奴……。僕の体を使って、好き勝手なことを」


「お前の血を僕にくれ」
「私の血は、あなたの救いにはならない」
「いいから。お前が欲しいんだ。どうせ僕は、長くは保たない……」

「お前の血は、甘いな。他の誰の血よりも、甘く感じる」

「僕が血を啜らずに生きてゆける者だったら、お前は僕を……」
「あなたを生んだのは私。だから、私の手で滅ぼすしかなかった」
 千鶴は灰弩の胸に手を滑らせる。
「ごめんなさい。謝って済むことでは、到底ないけれど」

「ザカーは僕より先に逝っちまった。だからもう、心配するな。千鶴」

「あいつは僕の運命だった。でもな、千鶴……。あいつがいなかったら、僕はお前と逢うこともなかったんだ。僕の運命は、――最初から決まってた」

「お前が憎かったのは本当だよ。だけど……。それだけじゃなかった」

「お前のことが好きだったよ。初めて、お前を見た時から」

「どんな方法を使ってでも、お前が欲しいと思ってしまった瞬間から、僕は、あいつの奴隷に成り下がってしまった」

「千鶴。僕のことを覚えていてくれるかい?」
「ええ。いつまでも」
「ふふっ。お前の無限の命に、僕の記憶が刻まれるのか……。悪くない」

「あなたは、もう充分戦った」

「お眠りなさい。私があなたを運んであげる」

「舞い上がりなさい。全てのこだわり、全ての迷いや恨みを解いて」


「天へ。高く、高く」


「哀れな人……。私の血が毒でしかないことも知らずに」
 千鶴は灰弩の頬に手を重ねた。
「見て。こんなに安らいだ顔をしている」
「君は――」
「私が死ぬ日は一体いつかしら」
「……」
「時々、まるで永遠という時の檻に囚われているようで、たまらない気持ちになるの」
「君はなぜ、そんな体に?」


「千鶴。君の口から聞きたい」
 それが鍵となる。
「お願いだ。聞かせてくれ。でないと――」
 叉雷は思い出すことができない。


「龍神である父が、人の母に生ませた子供が私よ」

 そして、叉雷は全てを手に入れた。
 龍。龍の娘。千鶴。甘露。天翔る龍の姿。
 虹色の奇跡が星を巡る。今、この瞬間も。
 ゆるやかな軌跡を描きながら。大らかに。

「うわっ……」
 凄まじい浮遊感だ。体が自然と浮き上がってしまうような。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

処理中です...