「叉雷の鱗」は、なぜエタったのか? -自作のエターナル小説について語る-

福守りん

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五章 千鶴

☆【5】捺夏と絽々、【6】屍鬼、【7】雷火

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※【5】は、まったく書いていない。
 節のタイトルから、捺夏と絽々のことを書きたかったんだろうなーということだけは、わかる。

※この話、ファンタジーの体はとっていますが、たぶんSFに近いんだと思います。
 旧時代の遺跡とか、オーパーツ(パソコンの部品とか)が出てきちゃうので。
 エターナルした小説で、ネタバレがどうとかいうのも、どうかと思うので、ばーっと書いてしまいます。
 ドラキュラやグール(ゾンビ)に敵対するものとして、龍や鳳凰がいます。
 ドラキュラやグールは外来種、龍や鳳凰は、もともと地球(地球なんかい!)にいた存在です。
 それとは別に、インキュバスとサキュバスがいて、それが……って、ここは、やめておきます。
 ちゃんと読んで下さってる方が、いらっしゃるかもしれないので。

 もうねえ、設定が壮大というか、大きくしすぎて、自分の手では扱えない感じが、ぷんぷんします。
 今だったら、書けるのかな……。いやー。ちょっと、無理かも。
 メインキャラ四人(叉雷、千鶴、捺夏、希莉江)は、今連載してる恋愛カテゴリの「バージン・クイーン」の四人と、ほぼイコールな気がします。
 わざとそうしたわけじゃないんですけど、それぞれ対応してる気がしてならない。
 なにも考えずに書くと、だいたいこういうキャラクターたちになる、っていう。


【6】屍鬼

一人で行こうとする千鶴を、叉雷が止める

「どこへ行くんだ?」
「……叉雷」
 虹色の目が咎めるように見上げてくる。
「行くな。君を死なせたくない!」
「私には、やらなければならないことがある」
 千鶴が云う。
「何を?」
「私が倒さなければ、多くの人が傷つく。ここで止めなければ」
「だったら、おれが行く」

「この場所で、ゆっくり五十数えるんだ」
「あなたは?」
「五十数えてもおれが戻らなかったら、君は先へ行け」
「……それは」
 できない、と云おうとしただろう唇を、叉雷は自分の手のひらで塞いでしまった。
「、ん」
「千鶴」
 低くひそめた声は、狭い洞穴の中で何重にも跳ね返る。
「君を失いたくない」
「――叉雷!」
 叉雷の手を跳ね上げて千鶴が叫ぶ。
「頼むよ。ここにいてくれ」
「あなたは、……」
「おれに君を護らせてくれ」

 護るべき者を護れず、危険を避け、保身のみに腐心して生きることに意味があるとは到底思えない。
 叉雷は自問する。何のための力だ。叉雷は、自らの力は人のためだけに用いるべきだと知っていた。決して、私利私欲のために行使してはならない。だからこそ、捺夏のために金を稼ぐ必要が無くなってからは、ひたすらに隠し通してきた。
 使うべき時を見誤ってはならない。
 ――今が、その時だ。

 叉雷の手が、飛天の刀身を鞘から抜き出す。白光りする美しい刃だった。


【7】雷火

 叉雷は辛うじて立っている。
 何度となく切り裂かれた肌からは、赤い糸のような血が幾筋も垂れていた。薄く開いた目は、とうに霞んでいる。揺らぐ視界には慣れているが、今だけは鮮やかな視界が欲しいと願う。


「なぜ戻ってきた」

「あなたの陰に隠れて、この場をやり過ごそうとした私が誤っていました」

「何の関係もないあなたを、私たちの諍いに巻き込んでしまった」
「千鶴」
 虹色の瞳が燃えるように輝いている。
「あなたは離れていて」


「おいで! 私は逃げも隠れもしない」
 千鶴の咆哮に、叉雷の全身がびくりと震える。咄嗟に身構えた叉雷が感じたものは、紛れもない恐怖だった。細い肩に殺気が漲っている。
 千鶴は何も持たずに立っていた。


「……千鶴!」

 それは凄惨な光景だった。
 白い頬にべったりと貼りつく朱色の液体。
 血塗れの少女が手から青白い稲光を放つ。その度に屍鬼の絶命の鳴き声が上がり、耳障りな反響を残して消えてゆく。

「君は一体――」
 いつしか瞬きも忘れ、その光景に見入っていた。

 叉雷は最早疑いもせずに思う。これは魔術なんかじゃない。千鶴自身の力だ。無尽蔵で、激しく、全てを焼き尽くすかのような雷火。


※「ヒロインがラスボス」のタグを回収。
 千鶴は、この世界では最も強いのです。
 そういうのが好きー。
 女子が最強とか、めっちゃ好きー。
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