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四章 幻の龍を追って

☆【4】灰弩、【5】予兆

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灰弩が塔から出る千鶴を追いかける


「千鶴さん」
 

「僕もついていっていいかな?」
「灰弩」


ここから、しばらく灰弩と千鶴はワンセット


   【5】予兆

捺夏と叉雷

「こんな所に何の用だよ?」
「いいから。黙ってついてこい」


「龍について詳しい方がいるんだそうだ」
「ふうん」
 捺夏は明らかに気のない返事をした。
「お前、嫌なら帰ったっていいんだぜ」
「えー! 嫌だよ。こんな所から一人で帰るのは」
「だったら、一々おれのやる事にぶーたれんなよっ。あんまりうるさくすると、こっから投げ捨てるぞっ!」
「いやーん。おれを捨てないでっ、叉雷っ!」
 わざとらしい女喋りとともに、叉雷の体にしなだれかかってくる。
「おれが云った言葉の一部だけを取って、好き勝手に答えるのはやめろっ。重いっ」
「絽々を預けたのは失敗だったなあ……」
 捺夏はぐっと後ろに頭をのけ反らせて、橙色に染まりつつある空に向かってぼやいた。
「同感」
 ぐったり疲れながら叉雷も同意する。
「今頃どうしてっかなあ? 絽々」
「きっと元気にしてるさ」
「ぐぬぬぬぬぬぬ」
「……何やってんだよ」
「絽々に電波を送ってみたよ。『元気にしてるかーっ』って」
「お前はアホだな」
「うぅーん。心配だよー」
「でも、こんなやばそうな所に連れて来る方がよっぽど心配だろ」
「云えてる」


「行こうぜ」



夜、目が痛む叉雷
全身がだるい
両腕が熱い
近くにいる千鶴に引っぱられてる?

「だ、……っか」
 捺夏の呑気な寝息がひどく遠くに聞こえた。


捺夏の体に触れると、腕の痛みが引く
捺夏は起きない
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