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二章 残響
☆【5】光
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※一応、可能な限り毎日更新します。
更新が遅れている時は、「あー、書き足してんのか」と思っていただけると幸いです。
雲雀の読み方は[ひばり]です。
「屍鬼の群れです!」
「屍鳥が混じっていますね」
「アルカードが呼んだのでしょう。屍龍の数が少ないのが、せめてもの慰めかしら」
「下がっていなさい。私が片づけます」
「っ、――」
雲雀の唇の端から、紅い血がじわりと垂れ落ちる。
「雲雀様!」
「……大丈夫」
「あなたは、無茶ばかりする……」
「陸糸、お願いがあるの」
「何でしょうか?」
「私を不二の頂へ連れて行って」
「何をなさるおつもりですか」
「アルカードは休眠するようだわ。紀凰たちが知らせてくれた」
「眠るのですか?」
「ええ。それも、彩楼の下で。目覚めるのは十年ほど先らしいわ。だから私も眠るつもりよ」
「なぜ」
「あなたたちは餓えている。試してみたいの。私の命が、あなたたちの糧になり得るのかどうか」
「雲雀様!」
「お願いよ。私を連れて行って」
「あなたが再び目覚めるまでの間、私に何をして過ごせと?」
「王を助けて、健やかに過ごして」
「無理です」
「あなたは、いつも私を信じてくれていた。私も、あなたを信じている」
「雲雀様……」
「お願いよ。もう時間がないの。この命が尽きる前に、早く」
更新が遅れている時は、「あー、書き足してんのか」と思っていただけると幸いです。
雲雀の読み方は[ひばり]です。
「屍鬼の群れです!」
「屍鳥が混じっていますね」
「アルカードが呼んだのでしょう。屍龍の数が少ないのが、せめてもの慰めかしら」
「下がっていなさい。私が片づけます」
「っ、――」
雲雀の唇の端から、紅い血がじわりと垂れ落ちる。
「雲雀様!」
「……大丈夫」
「あなたは、無茶ばかりする……」
「陸糸、お願いがあるの」
「何でしょうか?」
「私を不二の頂へ連れて行って」
「何をなさるおつもりですか」
「アルカードは休眠するようだわ。紀凰たちが知らせてくれた」
「眠るのですか?」
「ええ。それも、彩楼の下で。目覚めるのは十年ほど先らしいわ。だから私も眠るつもりよ」
「なぜ」
「あなたたちは餓えている。試してみたいの。私の命が、あなたたちの糧になり得るのかどうか」
「雲雀様!」
「お願いよ。私を連れて行って」
「あなたが再び目覚めるまでの間、私に何をして過ごせと?」
「王を助けて、健やかに過ごして」
「無理です」
「あなたは、いつも私を信じてくれていた。私も、あなたを信じている」
「雲雀様……」
「お願いよ。もう時間がないの。この命が尽きる前に、早く」
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