三百字 -三百字の短編小説集-

福守りん

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十数年後に書く、あとがき

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※このあとがきは、2019年に書いたものです。


 今読み返すと、「わー、漢字多いー」とか、「字数制限内にするために漢字を使ってないか?」とか、「この地の文で、その人物の視点から見ているのはおかしくないか?」とか、言いたいことは山ほどあるのですが、当時はこれでもがんばって書いていたので、こちらで後悔……じゃない、公開させてもらいました。

 ここから、いらん話を少しします。
 十代の頃から、絵や文をかいていましたが、数年おきにブランクがあったりして、必ずしもずっと続けていたわけではありませんでした。
 でも、今この年(三十九)になって、それでもまだなにかをかきたいという気持ちが自分の中にこんなにもあることに、わたし自身がびっくりしている。
 今、なにかをかいている時の気持ちは、焦りながらプロを目指していた頃とは全然ちがう。
 ようやく、焦らず、丁寧にかけるようになってきました。
 「あなたにプロは無理です」と言ってくれた編集者さんや、「人に伝わらなければ、インクの染みと同じ」と言ってくれた編集者さんには、とても感謝しています。
 ひとつの夢をあきらめることで、自分には無理だと思っていた夢を五つも(=恋愛、結婚、妊娠、出産、子育て)叶えることができた。
 届かなかった夢に懸命に向き合った日々は無駄じゃなかったと、今は、はっきり言える。
 かいていてよかったです。
 これからもかいてゆくと思います。
 本当にかきたい人は、どんな状況でもかくし、どれだけ中断していても、ひとたび再開してしまえば、以前と同じような情熱を持ってかける。
 そういうことが、実感としてわかるようになった。
 いつでもやめられるし、やめても誰からも責められない。
 アマチュアでいることって、実はすごく贅沢なことだということもわかってきました。
 夫からよく言われるのが、わたしは「アーティストであって、お金を稼ぐのには向いていない」。(アートと言えるようなものはかいてないけど、夫の中では、わたしはアーティストらしいです)
 プロになりたかったけれど、なれなかった人間だからこそ、かけるものがあるような気がしている。
 これから、どんな生き方をすることになっても、かき続けてゆこうと思う。
 なんでって……。

 かくことそのものが、生きているうちで、一番楽しいことだからー!

 なんだか、まとまりのない文を書いてしまったなあー。
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