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7.貧乏性の御曹司、鍋パーティーをする
≪隼人≫3
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梶本と篠崎の分の鍋を皿に入れて、居間に持っていった。
ついでに、おかわりについて聞いたら、なんと、キャサリンさん以外は、全員おかわり希望だった。嬉しかった。
全員の食事が終わったところで、ジェンガをすることになった。
「……これ、何箱あるの」
「三箱」
「待て、待て。積みきれないと思う。あと、危なくないか?」
「畳だから、大丈夫だろ」
「シリウス様じゃなくなってるし。キャラ崩壊してるよ」
「あっ」
篠崎のつっこみが、梶本にクリティカルヒットした。
「積んだなー」
三箱分のジェンガが積まれた。
「すでに、ぐらぐらしてるんだけど」
「よし。じゃんけんで、誰から抜くか決めよう」
「梶本からでいいよ」
「いいのか!」
「いいよ」
「これって、下から抜いて、上に置くんですよね」
「一番上からじゃなければ、どこから抜いてもいいよ」
護の質問には、飯田が答えた。
「倒した人が負け、ですか?」
「そうだね」
「罰ゲームとか、あるんですか?」
今度は俺に聞いてきた。
「ない……と思う。そういうゲームじゃない。
いつ崩れるかを、みんなで楽しむっていう……」
「いや、待て。それでは、つまらんだろう。
そうだな。このジェンガの塔を崩した者には、その者の初恋について、語ってもらうとしよう!」
「うげー」
ミャーがいやそうな声を上げた。
「めんどくさいな。誰? こいつ、呼んだの」
「そもそも、梶本に俺の家のことを話したのは、ミャーだろ」
「そうだった」
梶本から、飯田、キャサリンさん、塚原さん、護、ミャー、篠崎、俺の順で、ジェンガの板を抜いていくことになった。
四巡目までは、そこまで大変でもなかった。
五巡目からは、明らかに土台がぐらつき始めていた。
「下から、抜きすぎなんだよ」
飯田がぼやいた。ぼやいたわりには、さっと抜いて、上に置いてしまった。
このあたりから、嫌な予感がしていた。護とミャーは、性格が似ているのか、かなり大胆に、きわどいところを攻めてくる。
篠崎が倒さなかったら、俺が倒しそうだな、と思った。
「隼人さまの初恋話、聞きたいですけどね」
ぼそっと言うのは、やめろ!
無視しようとはした。なるべく上の方で、真ん中を抜けるところ……って、ねーじゃねーか!
しょうがないので、手前にある板を抜こうとした。
抜ききる前に、ずさーっと崩れ落ちた。
ものすごい音だった。うるさかった。
「はい。隼人の負けー」
ミャーが、笑顔で言ってきた。
「わかってる。いちいち、言わなくても」
「残念でしたね」
塚原さんになぐさめられた。本当に落ちこみそうになるから、やめてほしい……。
「形あるものは、必ず壊れ、崩れさる! 覚えておけ!」
梶本は、まだシリウス様をあきらめていなかった。
ついでに、おかわりについて聞いたら、なんと、キャサリンさん以外は、全員おかわり希望だった。嬉しかった。
全員の食事が終わったところで、ジェンガをすることになった。
「……これ、何箱あるの」
「三箱」
「待て、待て。積みきれないと思う。あと、危なくないか?」
「畳だから、大丈夫だろ」
「シリウス様じゃなくなってるし。キャラ崩壊してるよ」
「あっ」
篠崎のつっこみが、梶本にクリティカルヒットした。
「積んだなー」
三箱分のジェンガが積まれた。
「すでに、ぐらぐらしてるんだけど」
「よし。じゃんけんで、誰から抜くか決めよう」
「梶本からでいいよ」
「いいのか!」
「いいよ」
「これって、下から抜いて、上に置くんですよね」
「一番上からじゃなければ、どこから抜いてもいいよ」
護の質問には、飯田が答えた。
「倒した人が負け、ですか?」
「そうだね」
「罰ゲームとか、あるんですか?」
今度は俺に聞いてきた。
「ない……と思う。そういうゲームじゃない。
いつ崩れるかを、みんなで楽しむっていう……」
「いや、待て。それでは、つまらんだろう。
そうだな。このジェンガの塔を崩した者には、その者の初恋について、語ってもらうとしよう!」
「うげー」
ミャーがいやそうな声を上げた。
「めんどくさいな。誰? こいつ、呼んだの」
「そもそも、梶本に俺の家のことを話したのは、ミャーだろ」
「そうだった」
梶本から、飯田、キャサリンさん、塚原さん、護、ミャー、篠崎、俺の順で、ジェンガの板を抜いていくことになった。
四巡目までは、そこまで大変でもなかった。
五巡目からは、明らかに土台がぐらつき始めていた。
「下から、抜きすぎなんだよ」
飯田がぼやいた。ぼやいたわりには、さっと抜いて、上に置いてしまった。
このあたりから、嫌な予感がしていた。護とミャーは、性格が似ているのか、かなり大胆に、きわどいところを攻めてくる。
篠崎が倒さなかったら、俺が倒しそうだな、と思った。
「隼人さまの初恋話、聞きたいですけどね」
ぼそっと言うのは、やめろ!
無視しようとはした。なるべく上の方で、真ん中を抜けるところ……って、ねーじゃねーか!
しょうがないので、手前にある板を抜こうとした。
抜ききる前に、ずさーっと崩れ落ちた。
ものすごい音だった。うるさかった。
「はい。隼人の負けー」
ミャーが、笑顔で言ってきた。
「わかってる。いちいち、言わなくても」
「残念でしたね」
塚原さんになぐさめられた。本当に落ちこみそうになるから、やめてほしい……。
「形あるものは、必ず壊れ、崩れさる! 覚えておけ!」
梶本は、まだシリウス様をあきらめていなかった。
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