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2.貧乏性の御曹司、DIYで家をリフォームする

≪隼人≫3

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 ゴールデンウィークが終わって、翌日の金曜。
 来週に持ちこしたくない仕事を片づけていたら、帰りが遅くなってしまった。

「ごめん。夕飯、食べた?」
「食べました。てきとうに」

 冷蔵庫の中を見て、あれっ?と思った。
 見慣れない包みがあった。
 商店街にある肉屋の店名が、緑色の包装紙に印刷されている。
 包みを開けて、叫びだしそうになった。
 牛肉だった。値段のシールが貼ってあった。

 うわーっ。
 声を出さなかったのが、不思議なくらいだった。
 2500円の肉……。正気を失いそうだ。

「これ、どうしたの?」
「買いました。リフォームで、お疲れかと思って……」
 あー。
 「ふざけんなよ!」と怒鳴ることは、できなかった。この子は、俺の事情なんて、知らないわけだし……。
 俺の過去についても、なにひとつ、知るはずがなかった。
 だめだ。今の俺は、冷静じゃない。
 冷静さを失わないようにしないと……。
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