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17.バッド・サプライズ1
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長いキスをした。
くったりともたれかかってくる体を、肩と左腕で支えた。
首から胸を、右手で撫でていった。
祐奈が、小さく声をもらした。
「あ、だめ……」
「したくない?」
「こわいの。わたしと、したいんですよね?
かわいそうな人に、お金を出してあげて、ボランティアで、セックスもしてあげるとか、そういうのじゃ、ないですよね?」
祐奈の言葉は、脳の表面をつるっと滑っていった。
懸命に訴えている言葉を、理解してやりたかった。だが、できなかった。
理解不能としか言いようがない。
「えっ? ごめん。ちょっと、よく分からなかった」
「……ちがうんだったら、いいです」
「君と出会ってから、君以外の人とは、何もないよ。君に断られたら、困るのは俺の方なんだけど」
「わ、わかってます……。でも、わからなくなっちゃうの。
なにもかも、わたしに、都合がよすぎる気がして……」
「そんなことないよ」
ため息が出た。
「祐奈は、自分を下に置きすぎてる。俺と君は、対等な立場の人間だよ」
「そう……ですかね」
「そうだよ。さわっていい?」
「いやっ……。ここじゃ、だめ」
スカートの中に潜らせた手を、スカートの上から押さえようとしてくる。何の力も入っていない、かよわい仕草だった。白く、細い指に目を奪われた。
「れいじ、さん?」
「ごめん。つい、したくなって」
「どうして?」
「どうしてって……。君のことが好きだから」
他の理由は、思い浮かばなかった。
俺を見つめる祐奈の顔が、赤くなっていった。
「祐奈」
「なっ、なあに……」
「つれていきたい。いい?」
「いい、いいです。自分で、歩けます」
「分かった。行こうか」
寝室には、窓がない。
廊下側からの灯りで、ぼんやりと明るくはなるが、充分とは言えない。
スイッチではなく、リモコンで灯りをつけた。
全灯だと、一気に明るくなる。
祐奈は、俺のベッドに座りこんでいる。
困ったような顔をしていた。
「いや。はずかしいの……。もっと、暗くして」
「いいよ」
常夜灯まで落とした。
「これでいい?」
「うん……」
リモコンを棚に戻した。
「脱がせていい?」
「ううん……。自分で……」
白いブラウスのボタンを外していく。袖を抜いて、脱いでしまった。
赤いスカートに手をかけて、横のホックを外した。
「ごめん」
「……えっ?」
「出かけようとしてたんだよな。わざわざ、着がえてくれてたのに」
「ううん。どっちでも、よかったの。
ずっとパジャマとか、ルームウェアとかだと、だらしないかなって……」
「そんなことないよ。休日は、俺もそうだし」
「そうですけど。……礼慈さんも、ぬいで。はずかしいです」
「分かった」
俺のベッドの上に、二人で寝そべっている。
何度もキスをしているうちに、祐奈の緊張が和らいでいくのが分かった。
俺の体と祐奈の体が触れ合っている。心地よかった。
白い胸は大きくて、形がいい。両手で脇から包むと、何ともいえない感触だった。
「そんなふうに……しちゃ、いや」
「ごめん」
「ここ、好き?」
「嫌いな男は、あんまり、いないんじゃないかな」
「そうなの……」
「きれいだよ」
返事はなかった。恥ずかしがっているように見えた。
手で顔を隠そうとする仕草が、かわいかった。
「舐めてもいい?」
「う、うん……」
手と口で、胸に触れていった。
俺の指が沈むほどに、柔らかい。
この胸の奥で、祐奈の心臓が鼓動を打っている。
甘やかな吐息が、俺の顔をくすぐった。
「れいじさん、いや……。あっ、ん、んぅ」
左手は胸に置いたままで、右手を下げていった。
祐奈が身じろぐ。
いつもの祐奈とは、様子が違うような気がしていた。
抵抗されているわけではないが、受け入れてもらえているとは言い難かった。
気が乗らないのかもしれない。
「したくなかった?」
「ううん。したいです……」
「何か、気になることがある?
遠慮しないで、言って」
「ない……。だいじょうぶ」
「本当に?」
「ほんと、あっ、……あん」
指で愛撫した。祐奈の声が甘くなった。
「かわいい」
優しくしてあげたかった。
祐奈を怯えさせないように、注意を払った。
挿入する前に、いかせてあげたいと思っていた。
「いや、いや、あん……。いっちゃう。だめ」
「いっていいよ」
「あぁんっ。いや、いや……」
朝に近い時間にしたセックスは、祐奈の眠気を誘ったようだった。
ルームウェアを身につけると、ぐてっと横たわってしまった。
「眠いの?」
「んー……。そう、みたい」
「眠れなかった?」
「ううん……。うん。
はやく、ねたでしょ。よなかに、めがさめたの。
それから、すこし……おきてました。ずっとじゃ、ないです」
「そうか」
「ちょっとだけ、ねます。れいじさんは?」
「俺も、ここにいるよ」
大きな目が、問いかけるように見つめてくる。
何か、俺に言いたいことがありそうだった。
「なに?」と訊いても、教えてくれなかった。
くったりともたれかかってくる体を、肩と左腕で支えた。
首から胸を、右手で撫でていった。
祐奈が、小さく声をもらした。
「あ、だめ……」
「したくない?」
「こわいの。わたしと、したいんですよね?
かわいそうな人に、お金を出してあげて、ボランティアで、セックスもしてあげるとか、そういうのじゃ、ないですよね?」
祐奈の言葉は、脳の表面をつるっと滑っていった。
懸命に訴えている言葉を、理解してやりたかった。だが、できなかった。
理解不能としか言いようがない。
「えっ? ごめん。ちょっと、よく分からなかった」
「……ちがうんだったら、いいです」
「君と出会ってから、君以外の人とは、何もないよ。君に断られたら、困るのは俺の方なんだけど」
「わ、わかってます……。でも、わからなくなっちゃうの。
なにもかも、わたしに、都合がよすぎる気がして……」
「そんなことないよ」
ため息が出た。
「祐奈は、自分を下に置きすぎてる。俺と君は、対等な立場の人間だよ」
「そう……ですかね」
「そうだよ。さわっていい?」
「いやっ……。ここじゃ、だめ」
スカートの中に潜らせた手を、スカートの上から押さえようとしてくる。何の力も入っていない、かよわい仕草だった。白く、細い指に目を奪われた。
「れいじ、さん?」
「ごめん。つい、したくなって」
「どうして?」
「どうしてって……。君のことが好きだから」
他の理由は、思い浮かばなかった。
俺を見つめる祐奈の顔が、赤くなっていった。
「祐奈」
「なっ、なあに……」
「つれていきたい。いい?」
「いい、いいです。自分で、歩けます」
「分かった。行こうか」
寝室には、窓がない。
廊下側からの灯りで、ぼんやりと明るくはなるが、充分とは言えない。
スイッチではなく、リモコンで灯りをつけた。
全灯だと、一気に明るくなる。
祐奈は、俺のベッドに座りこんでいる。
困ったような顔をしていた。
「いや。はずかしいの……。もっと、暗くして」
「いいよ」
常夜灯まで落とした。
「これでいい?」
「うん……」
リモコンを棚に戻した。
「脱がせていい?」
「ううん……。自分で……」
白いブラウスのボタンを外していく。袖を抜いて、脱いでしまった。
赤いスカートに手をかけて、横のホックを外した。
「ごめん」
「……えっ?」
「出かけようとしてたんだよな。わざわざ、着がえてくれてたのに」
「ううん。どっちでも、よかったの。
ずっとパジャマとか、ルームウェアとかだと、だらしないかなって……」
「そんなことないよ。休日は、俺もそうだし」
「そうですけど。……礼慈さんも、ぬいで。はずかしいです」
「分かった」
俺のベッドの上に、二人で寝そべっている。
何度もキスをしているうちに、祐奈の緊張が和らいでいくのが分かった。
俺の体と祐奈の体が触れ合っている。心地よかった。
白い胸は大きくて、形がいい。両手で脇から包むと、何ともいえない感触だった。
「そんなふうに……しちゃ、いや」
「ごめん」
「ここ、好き?」
「嫌いな男は、あんまり、いないんじゃないかな」
「そうなの……」
「きれいだよ」
返事はなかった。恥ずかしがっているように見えた。
手で顔を隠そうとする仕草が、かわいかった。
「舐めてもいい?」
「う、うん……」
手と口で、胸に触れていった。
俺の指が沈むほどに、柔らかい。
この胸の奥で、祐奈の心臓が鼓動を打っている。
甘やかな吐息が、俺の顔をくすぐった。
「れいじさん、いや……。あっ、ん、んぅ」
左手は胸に置いたままで、右手を下げていった。
祐奈が身じろぐ。
いつもの祐奈とは、様子が違うような気がしていた。
抵抗されているわけではないが、受け入れてもらえているとは言い難かった。
気が乗らないのかもしれない。
「したくなかった?」
「ううん。したいです……」
「何か、気になることがある?
遠慮しないで、言って」
「ない……。だいじょうぶ」
「本当に?」
「ほんと、あっ、……あん」
指で愛撫した。祐奈の声が甘くなった。
「かわいい」
優しくしてあげたかった。
祐奈を怯えさせないように、注意を払った。
挿入する前に、いかせてあげたいと思っていた。
「いや、いや、あん……。いっちゃう。だめ」
「いっていいよ」
「あぁんっ。いや、いや……」
朝に近い時間にしたセックスは、祐奈の眠気を誘ったようだった。
ルームウェアを身につけると、ぐてっと横たわってしまった。
「眠いの?」
「んー……。そう、みたい」
「眠れなかった?」
「ううん……。うん。
はやく、ねたでしょ。よなかに、めがさめたの。
それから、すこし……おきてました。ずっとじゃ、ないです」
「そうか」
「ちょっとだけ、ねます。れいじさんは?」
「俺も、ここにいるよ」
大きな目が、問いかけるように見つめてくる。
何か、俺に言いたいことがありそうだった。
「なに?」と訊いても、教えてくれなかった。
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