119 / 206
11.スイート・キング5
5-2
しおりを挟む
パズルが完成した。
「できた?」
「うん」
「じゃあ、いいかな」
なにが?と思ってる間に、礼慈さんが立って、わたしのところに来た。
わたしの横に座って、手をのばしてくる。
「なあ、に」
「キスしたい。いい?」
「はい……」
長いキスをした。息が苦しくなった。
深呼吸をした。はあ、と息をついた。
胸に、大きな手がふれてくる。びくっとしてしまった。
「ん、……ここじゃ、だめ」
「寝室だったら、いい?」
「いい、けど。先に、トイレとか……」
「ごめん。行ってきて」
「はあい」
抱かれてしまった。
べつに、いやじゃなかったけど。急に、そういうことになって、それでも、すごく感じて、気持ちよくなってしまった。
礼慈さんは、いとおしそうな目で、わたしを見ていた。うれしかった。
少しだけ、頭がぼうっとしていた。
「大丈夫?」
「うん。だいじょうぶ」
「よかった」
「れいじさんの、はつこいは?」
「俺のは、いいよ」
「ずるい。ずるーい……」
ぺちっと、裸の胸を叩いた。わりといい音がした。
「ごめんね。いたかった?」
「ぜんぜん」
「誰ですか?」
「あきらめてないんだな。
小学校の、音楽の先生」
「……わ、わあ。ませてますね」
「だから、言いたくなかった」
はずかしそうだった。
二人で、お風呂に入った。
おそろいの、薄手のルームウェアを着て、リビングに行った。
ルイボスティーをコップに入れた。二人分。
ラグマットに座って、一緒に飲むことになった。
「紘一と歌穂さんの話、してもいい?」
「いいですけど……。わたしが、聞いてもいいことなら」
「うん。大丈夫だと思う。
紘一が弱ってる。歌穂さんがかわいくって、気が狂いそうなんだって」
「……それは、いいことですね」
「どうかな。あの、つまり……セックスしたいけど、大事にもしたいんだって。
だから、デートが苦行な時があるって」
「えぇー?」
「『えぇー?』だよな。俺は、紘一の気持ちも、分かるんだけど」
「わかるんですかっ?」
「分かるよ。かわいいと思ってる女の子と、何もせずに密室にいるとか。修行みたいだなと思う」
「そう……?」
少し考えてみた。歌穂は、バージンだから、うまくできるかなって、セックスのことを心配していた。
つまり、沢野さんとすることを考えてたってこと、だよね。
「歌穂は、いやがってないと思いますよ。たぶん……」
「うん。知ってる」
「なんで? なんで、知ってるの?」
「一月末に、紘一の部屋に二人で泊まっただろ。
祐奈が寝てる時に、歌穂さんと話してたんだよ」
「えー? ずるい……。
やきもち、やいちゃいます」
「それは、どっちに対して?」
「わかんない。両方、かも」
「歌穂さんにだけ妬くんじゃなくて、俺に対しても妬くの? 歌穂さんのことで?」
「だって。歌穂のことを一番よく知ってるのは、わたしです。……そう、思ってたんですけど。
きっと、もう、ちがいますよね。礼慈さんや沢野さんの方が、わたしよりも、歌穂のことを知ってるみたい」
「そんなことは、ないと思うけど」
「あっ、でも……。わたしは、歌穂の裸を見たことあるけど。沢野さんは、まだですよね」
「うん。そうだろうけど。普通は、女性同士でも、裸は見ないはずなんだけどな」
「ですかね……。わたしから、誘ってばっかりじゃないです。歌穂から、一緒に入ろうって、言ってくる時だって、あります」
「あの時は、どっちから言ったの?」
「わたしです」
「……そう」
「え、なんで、そんな感じなんですか。だめでした?」
「いや、だめとか……。すごいな、と思って」
「知らないお風呂に、ひとりで入るのが、こわくて……。ちょっと、わらいすぎですよっ」
「ごめん。小学生みたいだなって」
「ひっ、ひどい……」
「俺と紘一は、その話を聞いてから、無駄にどきどきしてた」
「えっ。ほんと?」
「本当だよ」
「えー……。そう言われると、はずかしいですね。もう、一緒には、入らないようにします……」
「待って。それは、俺が歌穂さんに恨まれる可能性があるから。君が勝手に決めるのは、やめてほしい」
「そう?」
「そうだよ」
「ふうん……? じゃあ、歌穂に、今度会った時に聞いてみます」
「いいよ。聞かなくて」
空になったコップを、礼慈さんが流しに持っていってくれた。
水の音が聞こえて、洗われちゃったなと思った。
「どうして、すぐに洗っちゃうの?」
「いけなかった?」
「わたし、役に立ってますか?」
「立ってるよ。俺のこれは、ひとり暮らしが長かったせいだと思う」
わたしを見て、ほほえんでいる。かっこよかった。
どこからどう見ても、イケメンだった。
今でも、もてるんだろうなと思った。
でも、他の人たちは知らない……はず。
恐竜でタワーを作って、子供みたいに笑う礼慈さんのことは。
「あのタワーは、あのまま?」
「そうだな。しばらく放っておこうと思う。
朝になったら、何体か、位置が変わってるかもしれないし」
「……えっ」
「冗談だよ」
「こわいです……」
「できた?」
「うん」
「じゃあ、いいかな」
なにが?と思ってる間に、礼慈さんが立って、わたしのところに来た。
わたしの横に座って、手をのばしてくる。
「なあ、に」
「キスしたい。いい?」
「はい……」
長いキスをした。息が苦しくなった。
深呼吸をした。はあ、と息をついた。
胸に、大きな手がふれてくる。びくっとしてしまった。
「ん、……ここじゃ、だめ」
「寝室だったら、いい?」
「いい、けど。先に、トイレとか……」
「ごめん。行ってきて」
「はあい」
抱かれてしまった。
べつに、いやじゃなかったけど。急に、そういうことになって、それでも、すごく感じて、気持ちよくなってしまった。
礼慈さんは、いとおしそうな目で、わたしを見ていた。うれしかった。
少しだけ、頭がぼうっとしていた。
「大丈夫?」
「うん。だいじょうぶ」
「よかった」
「れいじさんの、はつこいは?」
「俺のは、いいよ」
「ずるい。ずるーい……」
ぺちっと、裸の胸を叩いた。わりといい音がした。
「ごめんね。いたかった?」
「ぜんぜん」
「誰ですか?」
「あきらめてないんだな。
小学校の、音楽の先生」
「……わ、わあ。ませてますね」
「だから、言いたくなかった」
はずかしそうだった。
二人で、お風呂に入った。
おそろいの、薄手のルームウェアを着て、リビングに行った。
ルイボスティーをコップに入れた。二人分。
ラグマットに座って、一緒に飲むことになった。
「紘一と歌穂さんの話、してもいい?」
「いいですけど……。わたしが、聞いてもいいことなら」
「うん。大丈夫だと思う。
紘一が弱ってる。歌穂さんがかわいくって、気が狂いそうなんだって」
「……それは、いいことですね」
「どうかな。あの、つまり……セックスしたいけど、大事にもしたいんだって。
だから、デートが苦行な時があるって」
「えぇー?」
「『えぇー?』だよな。俺は、紘一の気持ちも、分かるんだけど」
「わかるんですかっ?」
「分かるよ。かわいいと思ってる女の子と、何もせずに密室にいるとか。修行みたいだなと思う」
「そう……?」
少し考えてみた。歌穂は、バージンだから、うまくできるかなって、セックスのことを心配していた。
つまり、沢野さんとすることを考えてたってこと、だよね。
「歌穂は、いやがってないと思いますよ。たぶん……」
「うん。知ってる」
「なんで? なんで、知ってるの?」
「一月末に、紘一の部屋に二人で泊まっただろ。
祐奈が寝てる時に、歌穂さんと話してたんだよ」
「えー? ずるい……。
やきもち、やいちゃいます」
「それは、どっちに対して?」
「わかんない。両方、かも」
「歌穂さんにだけ妬くんじゃなくて、俺に対しても妬くの? 歌穂さんのことで?」
「だって。歌穂のことを一番よく知ってるのは、わたしです。……そう、思ってたんですけど。
きっと、もう、ちがいますよね。礼慈さんや沢野さんの方が、わたしよりも、歌穂のことを知ってるみたい」
「そんなことは、ないと思うけど」
「あっ、でも……。わたしは、歌穂の裸を見たことあるけど。沢野さんは、まだですよね」
「うん。そうだろうけど。普通は、女性同士でも、裸は見ないはずなんだけどな」
「ですかね……。わたしから、誘ってばっかりじゃないです。歌穂から、一緒に入ろうって、言ってくる時だって、あります」
「あの時は、どっちから言ったの?」
「わたしです」
「……そう」
「え、なんで、そんな感じなんですか。だめでした?」
「いや、だめとか……。すごいな、と思って」
「知らないお風呂に、ひとりで入るのが、こわくて……。ちょっと、わらいすぎですよっ」
「ごめん。小学生みたいだなって」
「ひっ、ひどい……」
「俺と紘一は、その話を聞いてから、無駄にどきどきしてた」
「えっ。ほんと?」
「本当だよ」
「えー……。そう言われると、はずかしいですね。もう、一緒には、入らないようにします……」
「待って。それは、俺が歌穂さんに恨まれる可能性があるから。君が勝手に決めるのは、やめてほしい」
「そう?」
「そうだよ」
「ふうん……? じゃあ、歌穂に、今度会った時に聞いてみます」
「いいよ。聞かなくて」
空になったコップを、礼慈さんが流しに持っていってくれた。
水の音が聞こえて、洗われちゃったなと思った。
「どうして、すぐに洗っちゃうの?」
「いけなかった?」
「わたし、役に立ってますか?」
「立ってるよ。俺のこれは、ひとり暮らしが長かったせいだと思う」
わたしを見て、ほほえんでいる。かっこよかった。
どこからどう見ても、イケメンだった。
今でも、もてるんだろうなと思った。
でも、他の人たちは知らない……はず。
恐竜でタワーを作って、子供みたいに笑う礼慈さんのことは。
「あのタワーは、あのまま?」
「そうだな。しばらく放っておこうと思う。
朝になったら、何体か、位置が変わってるかもしれないし」
「……えっ」
「冗談だよ」
「こわいです……」
0
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる