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7.スイート・キング3

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「わたし、男の人が、こわくて。だから、大学も、女の子ばかりのところに行きたかったんです」
「こわかった? 今も、こわい?」
「そう、かも。わたし、へんな夢を見ることがあるんです」
「……夢?」
「うん。たぶん、高校の時に……部活の先輩のおうちで、みんなで見た、アダルトビデオのせいだと思うんですけど」
「見たことあるんだ」
「うん……。華道部で、女の子だけの部活だったから。先輩のおうちで、みんなで遊ぼうっていうことになって、集まった時に、恋愛の話とかをしてるうちに、そういうことになって……。
 ちゃんと見るのがこわくて、目を手で隠して、すきまから見る、みたいな感じでした」
「それで? どんな夢か、話してもらってもいい?」
「あのね……。わたしのまわりに、男の人がいて、ひとりじゃなくて、いっぱい……。それで、みんな裸なの。
 あなたと、……するまで、実際には、見たこともなかったのに、あの……あれが、たってて、そういう人たちに、囲まれてるっていう、すっごい、へんな夢。
 わたし、そんなふうに襲われたことなんか、ないのに。ものすごくこわくなって、目がさめるんです。
 わたしって、おかしいのかなって、ずいぶん、悩みました。本当は、そういうふうに、されたいんじゃないかって。
 でも、あのことがあってから、わかりました。
 されたいんじゃなくて、いつか、そういうふうにされることを、怖れてたんだって……」
 顔を横に向けて、礼慈さんを見た。きびしい顔をしていた。
「ごめんなさい。へんな話して」
「いや。君が怖れていたことが、現実になってしまったんだな。
 俺のことも、こわい?」
「ううん……。してる時に、たまに、こわいと思う時は、あるけど。それは、セックスに対するこわさで、あなたに対して、じゃない……」
「そうかな」
「この夢のこと、今まで、誰にも話したことなかったの。わたし、あなたにだけ話したことが、いっぱいあります」
「うん。ありがとう」
「あと、もうひとつ、話したいことがあります」
「なに?」
「あのね……。わたし、感染症のチェックを、してないです」
「うん」
「礼慈さんは? したこと、ある?」
「してるよ。年に一回。自費で」
「そうなんだ……。わたしも、したい」
「いいけど。祐奈は、俺以外とはしていないわけだから。俺が今年の検査でクリアーなら、心配いらないと思う」
「そうなの?」
「うん」
「でも、ちゃんとやります。セックス以外にも、感染ルートは、ある……気がするから」
「いいよ。一緒に行こうか」
「はい」
「どうする? まだ、日没まで、時間がありそうだけど」
「少し、ドライブしませんか。礼慈さんが、疲れてなかったら」
「いいよ。疲れてはいない」
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