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7.スイート・キング3
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「どのアトラクションに、最初に乗りたいとか、ある?」
「うん……。観覧車に、乗りたいです」
「いきなり?」
「え?」
「いや。わりと、メインイベントかなと」
「そ、そう? ごめんね。わたし、よく、わかってないの」
「いいけど。ジェットコースターとかは、乗れる?」
「乗れる……と思います。礼慈さんは?」
「乗りたい。何度も乗るのは、嫌だけど」
「じゃあ、行ってみましょう!」
ジェットコースターに乗った。へろへろになった。
じゃっかん、泣きそうでもあった。
「けっこー、こわいじゃないですかー……」
「大丈夫?」
「こわかった。足が、わらってます」
「大変だな。だっこする?」
「そこまでじゃ、ないです」
その次は、メリーゴーランドに乗った。ちょっと、はずかしかったけど、楽しかった。
お父さんとお母さんと、来たことがあるかもしれない……。ふっと、記憶のかけらが頭に浮かんだような気がした。二人とも、にこにこしていた。
ブランコみたいなのにも、乗ることにした。
中心にある、大きな柱のまわりを、ぐるぐる回りながら、ブランコごと、上に上がっていく。
遠心力が、すごい!
「きゃーあああーぁー」
こわいけど、たのしい! 風が、びゅんびゅん、顔にあたって、足もとも、すうすうしていた。
空が青くて、きれいだった。
「たのしいー」
わたしよりも内側で回ってる、礼慈さんを見た。笑っていた。
「やばい顔してる」
「えー、ひどーい」
「かわいいってこと」
「……」
あんまり楽しかったので、もう一回乗ることにした。礼慈さんは、「はい」と言って、つきあってくれた。
気になるアトラクションは、ぜんぶ乗ろうということになった。
お昼の時間になった。休憩できるベンチに座って、持ってきたお弁当を食べることにした。
ウィンナーと、厚焼き卵と、おかかのおにぎり。ブロッコリーとレタスとトマトのサラダ。それと、皮をむいて、切っただけのりんご。
礼慈さんは、時間をかけて、味わって食べてくれている。うれしかった。
「お弁当、作った方がいい?」
「普段のこと?」
「うん」
「いいよ。会社のビルの中に、ビル自体の食堂があって。昼食代の補助が出る」
「それって、会社からですか?」
「そう」
「すごい。そんなの、あるんですね」
「そんなに珍しい話じゃないよ」
「お昼代、いくら払ってるの? 礼慈さんは」
「百円」
「えー。お弁当よりも、そっちの方が、安いかも……」
「だと思う。作るって、言ってもらえるのは、嬉しいけど。
それを作る時間で、のんびり過ごしててほしい」
「たまに作るのも、だめですか?」
「作ってくれるの?」
「うん。……いつもは、できないかも、しれないけど」
「君が、無理をしないでできる範囲の中でだったら。喜んで、持っていくけど」
「じゃあ、挑戦してみます」
二人とも、食べおわった。
「うん……。観覧車に、乗りたいです」
「いきなり?」
「え?」
「いや。わりと、メインイベントかなと」
「そ、そう? ごめんね。わたし、よく、わかってないの」
「いいけど。ジェットコースターとかは、乗れる?」
「乗れる……と思います。礼慈さんは?」
「乗りたい。何度も乗るのは、嫌だけど」
「じゃあ、行ってみましょう!」
ジェットコースターに乗った。へろへろになった。
じゃっかん、泣きそうでもあった。
「けっこー、こわいじゃないですかー……」
「大丈夫?」
「こわかった。足が、わらってます」
「大変だな。だっこする?」
「そこまでじゃ、ないです」
その次は、メリーゴーランドに乗った。ちょっと、はずかしかったけど、楽しかった。
お父さんとお母さんと、来たことがあるかもしれない……。ふっと、記憶のかけらが頭に浮かんだような気がした。二人とも、にこにこしていた。
ブランコみたいなのにも、乗ることにした。
中心にある、大きな柱のまわりを、ぐるぐる回りながら、ブランコごと、上に上がっていく。
遠心力が、すごい!
「きゃーあああーぁー」
こわいけど、たのしい! 風が、びゅんびゅん、顔にあたって、足もとも、すうすうしていた。
空が青くて、きれいだった。
「たのしいー」
わたしよりも内側で回ってる、礼慈さんを見た。笑っていた。
「やばい顔してる」
「えー、ひどーい」
「かわいいってこと」
「……」
あんまり楽しかったので、もう一回乗ることにした。礼慈さんは、「はい」と言って、つきあってくれた。
気になるアトラクションは、ぜんぶ乗ろうということになった。
お昼の時間になった。休憩できるベンチに座って、持ってきたお弁当を食べることにした。
ウィンナーと、厚焼き卵と、おかかのおにぎり。ブロッコリーとレタスとトマトのサラダ。それと、皮をむいて、切っただけのりんご。
礼慈さんは、時間をかけて、味わって食べてくれている。うれしかった。
「お弁当、作った方がいい?」
「普段のこと?」
「うん」
「いいよ。会社のビルの中に、ビル自体の食堂があって。昼食代の補助が出る」
「それって、会社からですか?」
「そう」
「すごい。そんなの、あるんですね」
「そんなに珍しい話じゃないよ」
「お昼代、いくら払ってるの? 礼慈さんは」
「百円」
「えー。お弁当よりも、そっちの方が、安いかも……」
「だと思う。作るって、言ってもらえるのは、嬉しいけど。
それを作る時間で、のんびり過ごしててほしい」
「たまに作るのも、だめですか?」
「作ってくれるの?」
「うん。……いつもは、できないかも、しれないけど」
「君が、無理をしないでできる範囲の中でだったら。喜んで、持っていくけど」
「じゃあ、挑戦してみます」
二人とも、食べおわった。
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