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5.トリッキー・ナイト2
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祐奈と二人で、お風呂に入った。
広いお風呂場に、祐奈が興奮してるのがかわいかった。
「なんか、沢野さんらしいっていうか……。いちいち、おしゃれな感じ」
「わかる」
「このシャンプー、すごい高そう。髪が、さらさらになったの」
「お金持ちだよね。たぶん」
「ね。二人で、余裕で入れちゃう浴槽って、すごい」
「……歴代の彼女と、入ったんだろうね」
あたしの発言に、祐奈がびっくりしたような顔をした。
「それって、やきもち?」
「かなあ……。きっと、大人っぽい人たちと、つき合ってきたんだろうなって」
「そんなの、関係ない。今は、歌穂のことが好きなんだから」
祐奈は、きっぱりと言ってくれた。うれしかった。
午後六時になる前に、沢野さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「こんばんは……。お邪魔してます」
沢野さんは、気を失う人みたいに、ふらーっと体を傾けて、玄関の壁にもたれかかった。
「大丈夫ですか?」
「部屋、間違えたかと思った」
「え。なんでですか」
「女の子たちの、いやし空間が広がってる。やばい」
「やばくないですよ。べつに。ねえ?」
あたしの後ろにいる祐奈をふり返ってから、やばかったかもしれないなと思い直した。
肩より下まで伸びた髪は、結ばないで、肩を包むように、ふわっと下ろしている。すっぴんの顔は、もちろんかわいい。無地のルームウェアは、ぶかっとしている。体のラインが、はっきりとわかるような服じゃない。それなのに、祐奈の細さとか、胸のかたちが、服の上からでもわかった。
女のあたしから見ても、やばいくらいのかわいさだった。
「……やばいですね。あたしじゃなくて、祐奈が」
「歌穂ちゃんも、やばいよ。猫耳のフードがついたパジャマなんて、あるんだね」
「どこにでも、ありますよ。こんなの」
うそだった。通販で、がんばって探したやつだった。
洗濯機の使い方がわからなかったので、昨日のパジャマは洗えてない。これはトレーナーで、パジャマじゃなかったけど、いちいち訂正するのも面倒だったから、黙っていた。
「かわいい……。死にそう。
職場に戻ろうかな」
「なんでですか。沢野さんを、二人で待ってたんですよ」
「僕は、いいんだけどね。礼慈に殺されそうで、こわい。
礼慈は? 呼ぶの?」
「これから、連絡しようかと……。あの。わたしと礼慈さんが泊まったりしても、大丈夫でしょうか」
「いいよー。あれ。でも、待って。
ベッドが足りない……」
「あたしは、祐奈と同じベッドで大丈夫ですから」
「それは、まずい」
「まずいですかね」
「歌穂ちゃんと祐奈ちゃんが寝てる横で、礼慈が寝るのは、だめだ」
「はあ……」
「わかった。こうしよう。僕と礼慈が、僕の寝室で、一緒に……」
祐奈が、悲鳴みたいに「きゃー」と言った。
「予想外の反応なんだけど」
「えっ、やだ。だって、すごいあやしい感じ、します。それ」
「あやしくないよ。大学の頃は、飲みながらつぶれて、しょっちゅう雑魚寝してたし」
祐奈が、黙って、じっと考えるような様子になった。
しばらくしてから、口をひらいた。
「わかりました。お泊まりは、やめましょう」
「えー」
「やだー」
沢野さんと、あたしの声がかぶった。
「えっ。なんで? そんなに、がっかりすること?」
「礼慈は、たぶん車で来るし。そうすると、飲めないよね」
「飲ませたいんですか……?」
「いや。だって。たまには、飲みたいよ。一緒に」
「わ、わかりました。とにかく、電話します……」
広いお風呂場に、祐奈が興奮してるのがかわいかった。
「なんか、沢野さんらしいっていうか……。いちいち、おしゃれな感じ」
「わかる」
「このシャンプー、すごい高そう。髪が、さらさらになったの」
「お金持ちだよね。たぶん」
「ね。二人で、余裕で入れちゃう浴槽って、すごい」
「……歴代の彼女と、入ったんだろうね」
あたしの発言に、祐奈がびっくりしたような顔をした。
「それって、やきもち?」
「かなあ……。きっと、大人っぽい人たちと、つき合ってきたんだろうなって」
「そんなの、関係ない。今は、歌穂のことが好きなんだから」
祐奈は、きっぱりと言ってくれた。うれしかった。
午後六時になる前に、沢野さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「こんばんは……。お邪魔してます」
沢野さんは、気を失う人みたいに、ふらーっと体を傾けて、玄関の壁にもたれかかった。
「大丈夫ですか?」
「部屋、間違えたかと思った」
「え。なんでですか」
「女の子たちの、いやし空間が広がってる。やばい」
「やばくないですよ。べつに。ねえ?」
あたしの後ろにいる祐奈をふり返ってから、やばかったかもしれないなと思い直した。
肩より下まで伸びた髪は、結ばないで、肩を包むように、ふわっと下ろしている。すっぴんの顔は、もちろんかわいい。無地のルームウェアは、ぶかっとしている。体のラインが、はっきりとわかるような服じゃない。それなのに、祐奈の細さとか、胸のかたちが、服の上からでもわかった。
女のあたしから見ても、やばいくらいのかわいさだった。
「……やばいですね。あたしじゃなくて、祐奈が」
「歌穂ちゃんも、やばいよ。猫耳のフードがついたパジャマなんて、あるんだね」
「どこにでも、ありますよ。こんなの」
うそだった。通販で、がんばって探したやつだった。
洗濯機の使い方がわからなかったので、昨日のパジャマは洗えてない。これはトレーナーで、パジャマじゃなかったけど、いちいち訂正するのも面倒だったから、黙っていた。
「かわいい……。死にそう。
職場に戻ろうかな」
「なんでですか。沢野さんを、二人で待ってたんですよ」
「僕は、いいんだけどね。礼慈に殺されそうで、こわい。
礼慈は? 呼ぶの?」
「これから、連絡しようかと……。あの。わたしと礼慈さんが泊まったりしても、大丈夫でしょうか」
「いいよー。あれ。でも、待って。
ベッドが足りない……」
「あたしは、祐奈と同じベッドで大丈夫ですから」
「それは、まずい」
「まずいですかね」
「歌穂ちゃんと祐奈ちゃんが寝てる横で、礼慈が寝るのは、だめだ」
「はあ……」
「わかった。こうしよう。僕と礼慈が、僕の寝室で、一緒に……」
祐奈が、悲鳴みたいに「きゃー」と言った。
「予想外の反応なんだけど」
「えっ、やだ。だって、すごいあやしい感じ、します。それ」
「あやしくないよ。大学の頃は、飲みながらつぶれて、しょっちゅう雑魚寝してたし」
祐奈が、黙って、じっと考えるような様子になった。
しばらくしてから、口をひらいた。
「わかりました。お泊まりは、やめましょう」
「えー」
「やだー」
沢野さんと、あたしの声がかぶった。
「えっ。なんで? そんなに、がっかりすること?」
「礼慈は、たぶん車で来るし。そうすると、飲めないよね」
「飲ませたいんですか……?」
「いや。だって。たまには、飲みたいよ。一緒に」
「わ、わかりました。とにかく、電話します……」
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