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5.トリッキー・ナイト2

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「あ、そうだ」
「うん?」
「いちおう、泊まるつもりで来て」
「え、えぇー?! それは、ない」
「ないかな」
「だって、沢野さんの部屋でしょう。歌穂の部屋なら、いいけど……」
「いちおう。いちおうで、いいから」
「じゃあ、着がえとか、持っていくけど……。礼慈さんが、許可してくれないと思う……」
「あの人、意外とやきもち焼き?」
「たぶん……。そんな気がする。
 ひとつ、提案があるの」
「うん。なに?」
「礼慈さんも一緒なら、なにも言われない気がする」
「ああ! そうだね」
「そうしたらね、わたしがまず遊びに行って……。もし、時間が遅くなりそうだったら、礼慈さんのお仕事が終わる頃に、連絡してみる。それでいい?」
「うん」
「じゃあね。また、あとでね」

 買い物をしてる途中で、祐奈から電話がかかってきた。
 駅から、あたしがいるスーパーまで、歩いてきてくれた。
 食材と、保存用の袋やタッパーを買って、沢野さんの部屋に戻った。
 沢野さんの寝室のドアの前まで、祐奈をつれていって、ここだけは入らないようにと伝えた。
 冷蔵庫とか、冷凍庫で、一ヶ月くらいは保存できる、作りおきの料理を作るつもりだった。わからないことは、祐奈に聞こうと思っていた。
 あたしがひとつの料理を作る間に、祐奈は、みっつくらい作っていた。
 やっぱり、手際がいい。おっとりしたしゃべり方や、やわらかいふんいきに、だまされる人もいるだろうけど、あたしは知っている。
 祐奈はとても有能で、とても優秀な人だ。

「作った、ねえ」
「やばい。沢野さん、食べきれるかな」
「大丈夫、大丈夫」

 お昼は、作ったおかずの残りを食べた。
 祐奈が眠そうだったので、客間のベッドで、二人で昼寝をすることにした。
 祐奈の寝顔を見ているうちに、あたしも眠くなってしまって、いつのまにか寝ていた。
 起きたら、祐奈が部屋の掃除をしていた。
 沢野さんの寝室以外を、西東さんの部屋から持ってきた掃除グッズで、きれいにしてくれたらしい。
「ありがと……」
「ううん。お風呂の排水とか、目立たないところをやっておいたから」
「ごめん。祐奈に家事をさせようと思って、呼んだんじゃなかったのに」
「わたしが、勝手にしたことだから。気にしないで」
「ここからは、だらだらしよう」
「うん」
「もう、お風呂に入っちゃう?」
「いいのかな……」
「いいよ。怒らないと思う」
「一緒に、入る?」
「いいの?」
「うん」
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