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2.スイート・キング1
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「あっ、あっ、いっちゃう……あぁ、んっ」
いった。いっしゅん、なにもかもが、まっ白になった。
息がくるしい……。
「いけた?」
「ああ、あぁ……」
わたしの中には、まだ、礼慈さんの指が入ったままだった。
「おねがい、いれて。はやく……」
「いいよ」
指が引き抜かれる。
あっと思った。寝室に行かないと、ないものがある。
まさか。つけないで、するの……?
「だめっ。できない……」
「どうして?」
「あっ、あれが……ないです」
「コンドームのこと?」
「う、うん」
「あるから。大丈夫」
「どこに?」
「ここ。帰ってきてから、ポケットに入れておいた」
礼慈さんのスラックスのポケットから、本当に出てきた。
「なっ、なんで? なんで、いれたの?」
「したかったから」
「い、いつから……?」
「うーん。正直に言うと、紘一と別れて、二人でデートしてた時から」
「えぇえ……」
「分からなかった?」
「う、ん」
「つけるから。待ってて」
「はい」
つけないでしたら、どうなるのかな。……暗いささやきが、わたしの頭の中で聞こえた。
赤ちゃんができたら、結婚してもらえるかもしれない。
強く、心をとらえた考えを、あわてて、うち消した。
そんなこと、考えちゃいけない……。
この人の子供を、生みたい、だなんて。
どう考えても、高望みでしかなかった。
礼慈さんが、あきてしまうまでの、わりきった関係だと思っていたかった。そうでないと、どこまでも多くを望んで、期待してしまいそうだった。
カフェで、礼慈さんを見ていた人たちの顔を思いうかべようとした。うまくいかなかった。
わたしも、あの人たちと同じ。なにも変わらない。
ただ、少しだけ、運がよかっただけ。
「入れるよ」
「ん、んっ……」
「痛くない?」
「ない、です」
本当は、少し痛かった。でも、言わなかった。
言ってしまったら、礼慈さんは、やめてしまうと思ったから。
「あっ、いや」
プルオーバーのすそから、手が入ってきた。大きな手が、下着の上から、わたしの胸にふれてくる。
「めくっていい?」
「は、はい」
胸の上まで、めくられてしまった。パンツとおそろいの、ピンクベージュの下着は、着ふるしていて、レースがけばだっているはずだった。あんまり、かわいくは見えないだろうなと思った。
「寒い?」
「う、ううん……」
「上は、ここまでにしようか」
「はい……」
下着に気をとられてるうちに、奥まで、入られていた。
その、存在の確かさに、呼吸を忘れそうになった。
いる。わたしの中に……。うそみたいだった。
「動いていい?」
「うん。れいじさんのからだ、あったかい……」
「祐奈もだよ」
いった。いっしゅん、なにもかもが、まっ白になった。
息がくるしい……。
「いけた?」
「ああ、あぁ……」
わたしの中には、まだ、礼慈さんの指が入ったままだった。
「おねがい、いれて。はやく……」
「いいよ」
指が引き抜かれる。
あっと思った。寝室に行かないと、ないものがある。
まさか。つけないで、するの……?
「だめっ。できない……」
「どうして?」
「あっ、あれが……ないです」
「コンドームのこと?」
「う、うん」
「あるから。大丈夫」
「どこに?」
「ここ。帰ってきてから、ポケットに入れておいた」
礼慈さんのスラックスのポケットから、本当に出てきた。
「なっ、なんで? なんで、いれたの?」
「したかったから」
「い、いつから……?」
「うーん。正直に言うと、紘一と別れて、二人でデートしてた時から」
「えぇえ……」
「分からなかった?」
「う、ん」
「つけるから。待ってて」
「はい」
つけないでしたら、どうなるのかな。……暗いささやきが、わたしの頭の中で聞こえた。
赤ちゃんができたら、結婚してもらえるかもしれない。
強く、心をとらえた考えを、あわてて、うち消した。
そんなこと、考えちゃいけない……。
この人の子供を、生みたい、だなんて。
どう考えても、高望みでしかなかった。
礼慈さんが、あきてしまうまでの、わりきった関係だと思っていたかった。そうでないと、どこまでも多くを望んで、期待してしまいそうだった。
カフェで、礼慈さんを見ていた人たちの顔を思いうかべようとした。うまくいかなかった。
わたしも、あの人たちと同じ。なにも変わらない。
ただ、少しだけ、運がよかっただけ。
「入れるよ」
「ん、んっ……」
「痛くない?」
「ない、です」
本当は、少し痛かった。でも、言わなかった。
言ってしまったら、礼慈さんは、やめてしまうと思ったから。
「あっ、いや」
プルオーバーのすそから、手が入ってきた。大きな手が、下着の上から、わたしの胸にふれてくる。
「めくっていい?」
「は、はい」
胸の上まで、めくられてしまった。パンツとおそろいの、ピンクベージュの下着は、着ふるしていて、レースがけばだっているはずだった。あんまり、かわいくは見えないだろうなと思った。
「寒い?」
「う、ううん……」
「上は、ここまでにしようか」
「はい……」
下着に気をとられてるうちに、奥まで、入られていた。
その、存在の確かさに、呼吸を忘れそうになった。
いる。わたしの中に……。うそみたいだった。
「動いていい?」
「うん。れいじさんのからだ、あったかい……」
「祐奈もだよ」
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