上 下
21 / 206
2.スイート・キング1

1-9

しおりを挟む
「あっ、あっ、いっちゃう……あぁ、んっ」

 いった。いっしゅん、なにもかもが、まっ白になった。
 息がくるしい……。

「いけた?」
「ああ、あぁ……」
 わたしの中には、まだ、礼慈さんの指が入ったままだった。
「おねがい、いれて。はやく……」
「いいよ」
 指が引き抜かれる。
 あっと思った。寝室に行かないと、ないものがある。
 まさか。つけないで、するの……?
「だめっ。できない……」
「どうして?」
「あっ、あれが……ないです」
「コンドームのこと?」
「う、うん」
「あるから。大丈夫」
「どこに?」
「ここ。帰ってきてから、ポケットに入れておいた」
 礼慈さんのスラックスのポケットから、本当に出てきた。
「なっ、なんで? なんで、いれたの?」
「したかったから」
「い、いつから……?」
「うーん。正直に言うと、紘一と別れて、二人でデートしてた時から」
「えぇえ……」
「分からなかった?」
「う、ん」
「つけるから。待ってて」
「はい」
 つけないでしたら、どうなるのかな。……暗いささやきが、わたしの頭の中で聞こえた。
 赤ちゃんができたら、結婚してもらえるかもしれない。
 強く、心をとらえた考えを、あわてて、うち消した。
 そんなこと、考えちゃいけない……。
 この人の子供を、生みたい、だなんて。
 どう考えても、高望みでしかなかった。
 礼慈さんが、あきてしまうまでの、わりきった関係だと思っていたかった。そうでないと、どこまでも多くを望んで、期待してしまいそうだった。
 カフェで、礼慈さんを見ていた人たちの顔を思いうかべようとした。うまくいかなかった。
 わたしも、あの人たちと同じ。なにも変わらない。
 ただ、少しだけ、運がよかっただけ。

「入れるよ」
「ん、んっ……」
「痛くない?」
「ない、です」
 本当は、少し痛かった。でも、言わなかった。
 言ってしまったら、礼慈さんは、やめてしまうと思ったから。
「あっ、いや」
 プルオーバーのすそから、手が入ってきた。大きな手が、下着の上から、わたしの胸にふれてくる。
「めくっていい?」
「は、はい」
 胸の上まで、めくられてしまった。パンツとおそろいの、ピンクベージュの下着は、着ふるしていて、レースがけばだっているはずだった。あんまり、かわいくは見えないだろうなと思った。
「寒い?」
「う、ううん……」
「上は、ここまでにしようか」
「はい……」
 下着に気をとられてるうちに、奥まで、入られていた。
 その、存在の確かさに、呼吸を忘れそうになった。
 いる。わたしの中に……。うそみたいだった。
「動いていい?」
「うん。れいじさんのからだ、あったかい……」
「祐奈もだよ」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】淫乱メイドは今日も乱れる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:127pt お気に入り:87

巨乳の淫魔に誘拐されて一日中ザーメンを搾り取られる話

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:135

【R18】マッサージ店の可愛い店員とセックスした件

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:25

【R18】メイドはご主人様のオナニーを見てしまった

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:17

異世界おまんこ天国!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:115

処理中です...