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『リヴァイアサンの魚介醤油ラーメン』4
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二人ともホルモンラーメンをすっかり食べ終わり、満足そうに一息ついていた。
龍拓は軽く片付けをしてテーブルの席に着くと青色の包丁を眺める。
「そういえばリプイ、この包丁は一体何なんだ?
説明をしてくれ」
リプイは真剣な面持ちで包丁を見つめる。
「それは魔力壊包丁というもので、前回の魔王との戦いで致命傷を与えたと言われているわ」
「そんな凄いものなのか!
確かに凄まじい切れ味だったが・・・・・・。でも、何でリプイが持っているんだ?」
「前に会ったヤーハンを覚えてる?」
「ああ。麺の材料を買った店の店主だろ」
「そうよ。彼は前回の魔王討伐へ向かった勇者パーティーの一人なの」
「えっ! あの爺さんが!」
「で、引退した時に仲が良かった私にくれたって訳」
目を見開く龍拓の反応にシュリルは笑みを浮かべる。
「しかも、ヤーハンは龍拓と同じで勇者をめちゃくちゃスキルアップさせる料理人だったんだぜ!」
「そうなのか・・・・・・。
そんな凄い人なら最初から教えてくれれば良かったのに。
でも、何でそんな人がメイン通りから離れた場所でひっそりと店をやってたんだ?」
シュリルとリプイは表情を曇らせる。
「それは私たちが原因なの・・・・・・。
三年前に起こった事件の罪を被ったせいで国から与えてもらっていた豪邸を追い出されてしまった」
「事件?
詳しく聞かせてくれ」
リプイは悔しそうに歯を食いしばる。
「私たちが町を覆うバリアに穴を開けたから、その隙に一匹のワイバーンが侵入して大火事を起こしたのよ・・・・・・。
幸いにも死者は出なかったんだけど、事件以来私たちは町の人たちから恨まれていた。
全てはアイツの差し金だってのに!」
「そのアイツっていうのが、この前会ったいけ好かない勇者の所にいた魔法使いか」
「そうよ! シファは私たちを陥れるために嘘をついた」
「嘘って一体どんな?」
「あの日、隕石が町に落ちるって言ったのよ。
それで、ギルド最上階にある魔力迎撃砲という兵器を使って私とシュリルは隕石の破壊をしようとしたの。
魔力迎撃砲を起動させると、町全体のエネルギーが使われるからバリアが弱まるのよ」
龍拓は不思議そうにリプイを見る。
「でも、どうしてそんな話を信じたんだ?」
感極まってリプイの瞳には涙が溜まる。
「それは。親友だと思ってたからよ・・・・・・」
深呼吸すると、リプイは涙がこぼれない様に上を向いた。
「シファと私は魔術学校で出会った。
私たちは幼馴染だったけど、シファは私よりもどこかしっかりしていてお姉さんみたいだったわ。
学生時代はいつも一緒で、困った時は私を助けてくれるお姉ちゃんみたいな存在だったの。
まぁ、そう思ってたのは私だけだったみたいだけど・・・・・・」
龍拓はリプイの頬に涙が伝うのを見て、ティッシュペーパーを渡す。
「辛い様だったら、別に言わなくて良いぞ」
ティッシュで涙を拭くと、リプイは首を横に振る。
「いいえ。この際、ちょうど良い機会だわ。
気持ちの整理もつくし、私たちと行動する以上は龍拓も知っておかないと行けない。
シファは魔術の才能が抜群で、入学して直ぐに教科書に載っている魔法は直ぐに網羅してしまったわ。
それに比べて私は、ずっと回復魔法以外の魔法は出来なかった・・・・・・。
私はずっとクラスで笑い者にされていたわ。
そんな時に手を差し伸べてくれたのがシファだったの」
龍拓はリプイの目を見ながら真剣に話を聞く。
「でも、全てはあの日に変わった。
進路を学校に提出する日、私は回復魔法が学校の誰よりも優れていたから、国から医療研究機関へ入らないかっていう誘いが来たの。
それも、シファと出会って私は得意な回復魔法を極める努力をしたんだ。
理由はいつも人からシファは人より優れた得意なものがあったから人が集まっていた。
だから、私も自分の出来ることを磨いた」
「それは良い考えだな。俺も料理以外興味なくて、勉強はからっきしだったからな!」
「俺も勉強はダメだ!」
二人の反応にリプイはクスッと笑うと、涙が止まる。
その様子を見た二人は安堵の表情を浮かべた。
「誘いが来て、私は嬉しかったわ! 初めて自分の能力が認められて、活かせるチャンスにで会えたんですもの」
涙は収まり、リプイは冷静な表情を浮かべる。
「シファは無論、進路は勇者パーティに属して魔法使いの道を目指した。
放課後、シファに国からの誘いが来た話をしたら、彼女は失望した様に私を見下ろして距離を取る様になったの。
今思うと、きっとシファは自分より全て劣っている私が好きだったのよ。
そして、お互いが別の道を歩むと思っていた時、シファから連絡が来たのよ」
重苦しい雰囲気から龍拓は思わず息を呑む。
「私が国の医療研究機関へインターンシップに行って直ぐの事だったわ。
久しぶりに会わないって。
何か異変を感じていたんだけど、久しぶりに友人から連絡が来たことが嬉しすぎて、誘いに乗ってしまったの。
これが、私の人生で一番の間違いね・・・・・・。
ここからはさっき話した事件に繋がる」
「そのシファってのが酷いヤツだってのは分かったんだが、一体目的は何なんだ?
リプイを貶める理由が分からん。進む道も違うし・・・・・・」
「さっき言ったけど、シファは自分より全てにおいて劣っている私でいて欲しかったんだと思う。
きっと、自分より回復魔法が出来る私は気に食わないから、能力を活かすチャンスを壊したかった」
話を聞いていた龍拓は顔を青ざめさせる。
「怖っ! これがメンヘラってヤツなのか・・・・・・」
「メンヘラ?」
「こっちの話だ。気にしないでくれ」
「ええ。続きなんだけど、誘われた場所が私たちの思い出の場所で、学校近くのカフェだったんだ」
リプイは心の奥底へしまっていた記憶を呼び起こす。
To be continued...
龍拓は軽く片付けをしてテーブルの席に着くと青色の包丁を眺める。
「そういえばリプイ、この包丁は一体何なんだ?
説明をしてくれ」
リプイは真剣な面持ちで包丁を見つめる。
「それは魔力壊包丁というもので、前回の魔王との戦いで致命傷を与えたと言われているわ」
「そんな凄いものなのか!
確かに凄まじい切れ味だったが・・・・・・。でも、何でリプイが持っているんだ?」
「前に会ったヤーハンを覚えてる?」
「ああ。麺の材料を買った店の店主だろ」
「そうよ。彼は前回の魔王討伐へ向かった勇者パーティーの一人なの」
「えっ! あの爺さんが!」
「で、引退した時に仲が良かった私にくれたって訳」
目を見開く龍拓の反応にシュリルは笑みを浮かべる。
「しかも、ヤーハンは龍拓と同じで勇者をめちゃくちゃスキルアップさせる料理人だったんだぜ!」
「そうなのか・・・・・・。
そんな凄い人なら最初から教えてくれれば良かったのに。
でも、何でそんな人がメイン通りから離れた場所でひっそりと店をやってたんだ?」
シュリルとリプイは表情を曇らせる。
「それは私たちが原因なの・・・・・・。
三年前に起こった事件の罪を被ったせいで国から与えてもらっていた豪邸を追い出されてしまった」
「事件?
詳しく聞かせてくれ」
リプイは悔しそうに歯を食いしばる。
「私たちが町を覆うバリアに穴を開けたから、その隙に一匹のワイバーンが侵入して大火事を起こしたのよ・・・・・・。
幸いにも死者は出なかったんだけど、事件以来私たちは町の人たちから恨まれていた。
全てはアイツの差し金だってのに!」
「そのアイツっていうのが、この前会ったいけ好かない勇者の所にいた魔法使いか」
「そうよ! シファは私たちを陥れるために嘘をついた」
「嘘って一体どんな?」
「あの日、隕石が町に落ちるって言ったのよ。
それで、ギルド最上階にある魔力迎撃砲という兵器を使って私とシュリルは隕石の破壊をしようとしたの。
魔力迎撃砲を起動させると、町全体のエネルギーが使われるからバリアが弱まるのよ」
龍拓は不思議そうにリプイを見る。
「でも、どうしてそんな話を信じたんだ?」
感極まってリプイの瞳には涙が溜まる。
「それは。親友だと思ってたからよ・・・・・・」
深呼吸すると、リプイは涙がこぼれない様に上を向いた。
「シファと私は魔術学校で出会った。
私たちは幼馴染だったけど、シファは私よりもどこかしっかりしていてお姉さんみたいだったわ。
学生時代はいつも一緒で、困った時は私を助けてくれるお姉ちゃんみたいな存在だったの。
まぁ、そう思ってたのは私だけだったみたいだけど・・・・・・」
龍拓はリプイの頬に涙が伝うのを見て、ティッシュペーパーを渡す。
「辛い様だったら、別に言わなくて良いぞ」
ティッシュで涙を拭くと、リプイは首を横に振る。
「いいえ。この際、ちょうど良い機会だわ。
気持ちの整理もつくし、私たちと行動する以上は龍拓も知っておかないと行けない。
シファは魔術の才能が抜群で、入学して直ぐに教科書に載っている魔法は直ぐに網羅してしまったわ。
それに比べて私は、ずっと回復魔法以外の魔法は出来なかった・・・・・・。
私はずっとクラスで笑い者にされていたわ。
そんな時に手を差し伸べてくれたのがシファだったの」
龍拓はリプイの目を見ながら真剣に話を聞く。
「でも、全てはあの日に変わった。
進路を学校に提出する日、私は回復魔法が学校の誰よりも優れていたから、国から医療研究機関へ入らないかっていう誘いが来たの。
それも、シファと出会って私は得意な回復魔法を極める努力をしたんだ。
理由はいつも人からシファは人より優れた得意なものがあったから人が集まっていた。
だから、私も自分の出来ることを磨いた」
「それは良い考えだな。俺も料理以外興味なくて、勉強はからっきしだったからな!」
「俺も勉強はダメだ!」
二人の反応にリプイはクスッと笑うと、涙が止まる。
その様子を見た二人は安堵の表情を浮かべた。
「誘いが来て、私は嬉しかったわ! 初めて自分の能力が認められて、活かせるチャンスにで会えたんですもの」
涙は収まり、リプイは冷静な表情を浮かべる。
「シファは無論、進路は勇者パーティに属して魔法使いの道を目指した。
放課後、シファに国からの誘いが来た話をしたら、彼女は失望した様に私を見下ろして距離を取る様になったの。
今思うと、きっとシファは自分より全て劣っている私が好きだったのよ。
そして、お互いが別の道を歩むと思っていた時、シファから連絡が来たのよ」
重苦しい雰囲気から龍拓は思わず息を呑む。
「私が国の医療研究機関へインターンシップに行って直ぐの事だったわ。
久しぶりに会わないって。
何か異変を感じていたんだけど、久しぶりに友人から連絡が来たことが嬉しすぎて、誘いに乗ってしまったの。
これが、私の人生で一番の間違いね・・・・・・。
ここからはさっき話した事件に繋がる」
「そのシファってのが酷いヤツだってのは分かったんだが、一体目的は何なんだ?
リプイを貶める理由が分からん。進む道も違うし・・・・・・」
「さっき言ったけど、シファは自分より全てにおいて劣っている私でいて欲しかったんだと思う。
きっと、自分より回復魔法が出来る私は気に食わないから、能力を活かすチャンスを壊したかった」
話を聞いていた龍拓は顔を青ざめさせる。
「怖っ! これがメンヘラってヤツなのか・・・・・・」
「メンヘラ?」
「こっちの話だ。気にしないでくれ」
「ええ。続きなんだけど、誘われた場所が私たちの思い出の場所で、学校近くのカフェだったんだ」
リプイは心の奥底へしまっていた記憶を呼び起こす。
To be continued...
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