転生しても、私の特異体質は治らない

とうか

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色のついた世界

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「初めましてお嬢様」

勇気をだして開いた世界にはとても優しい笑顔をした2人が映っていた。

何も見えずに、何も起こらずただただ2人の笑顔が見える。

ほらっといってジョエルが部屋の外を、公爵邸を案内してくれた。もちろんアルも一緒に。

すれ違う人達と目が合っても何も起きず、皆優しく挨拶をしてくれる。なんて暖かく優しい世界なのだろうか。



「…ここでは自分を偽ることも隠すこともなく気を使う必要も無いのですよお嬢様。」


何気ない一言にどこかしら心が軽くなった気がした。自由に生きていいと言われたみたいで。

『こんな……』


こんな幸せなことがあっていいのだろうか、前世でも今世でも自由には生きられないと思っていたのに、こんなに幸せな気持ちを抱いて良いのだろうか。


ポロポロ流れる涙を気づかれないように手で拭っていたが、ジョエルは私の背中を優しくさすってくれた。その優しさがとても嬉しく初めて、心の底から泣いた。
泣いて、泣いて、泣き疲れて眠ってもジョエルは優しく抱き締めてくれていた。
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