転生しても、私の特異体質は治らない

とうか

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青年

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心地よい気持ちで目が覚める。
見える景色はいつもと変わらず暗いはずであったが、視える景色はとても暖かい。
目隠し越しでもわかる程のものだ。

『あぁ、もうあの暗い檻の中ではないのね』


心なしか心が落ち着く。落ち着いてくると目が覚めた時のことを思い出す。
医者の人の前で吐いてしまったことを思い出し、服を確認してみるが濡れているところはない。誰かが着替えさせてくれたのか、そうであったら申し訳ない。

あれからどのくらいの時間がたったのだろうか。体を起こしてベットに座っては見るものの、自分の足が思うように動かずに立てはしなかった。人の気配が全くせず、この部屋には私以外の人はいないのなら目隠しを取ってしまってもいいかな。

慣れない手つきで目隠しを取っていき、つむっていた目を開く。

『久しぶりの感覚ね』

この前の時とは違い人も居らず色の宿った世界。なんて美しんだろう。

『ずっと一人でいられたら幸せなのに』

儚く消える自分の声に自傷的になるも、どうしようもないことを知っている私の頬を静かに涙が伝う。

「泣いているのか?どこか痛むのか?」

いつの間に部屋に入ってきたのか、全く気付かなかった。
10歳前後であろう青年が私のもとへ歩いてくる。

私はそっと目隠しをして青年が歩いてくるのを待った。
どこか優しい独特な声を持った青年だ。

「君はいくつなの?」

子供らしい質問に私は手を使って答える。両手をめいいっぱい広げて8歳だと。
精神年齢は前世の記憶もあり大人かもしれないが、この世界ではまだ8年しか生きていない子供である。そのうち二年は檻の中で過ごしたし、子供らしいことは何もしたことがない。こうやって近い年の子と話すことでさえ、初めてだ。
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