生まれたからにはアイデンティティ壊されたくないよね!

虹の番人兼シチ

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ガイル編

2.捨てられた人たち

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2.捨てられた人たち

数日前。
ジェームズ、ライアン、リリー、ルーナは島から出発する準備をしているいた。他の島の人たちも手伝いをしている。
この島には小さな村が存在していた。この村に住んでいる人達は捨てられた人たちだ。この島は大陸から遠く離れていて嵐も多く近寄りずらいのだ。そこで孤児や行き場を失った人達が捨てられる場所になってしまっていた。しかし、村の人達はそんな傷を持ちながらも幸せに暮らしていた。しかし、ある青年が言った。
「島を出たい」
ジェームズ・バトラーだ。村の人達は快くジェームズの気持ちを受け入れた。しかし、どうやって島を出るか船なんてないしあったとして嵐がいつ来るかわからない。天候に詳しい人間なんてそもそもいない。ジェームズが島を出たいと言ったのは彼が16のまだまだ子供だった時だ。
ある日大きな船が嵐の日に流れ着いた。村の人達は驚いたが中にけが人がいるのかもしれない。そう思い総出で船を引き上げ中を確認したしかし誰もいなかった。海に流されて死んでしまったか。その時声が聞こえた。村の中で1番年老いたばあやが聞き取ったのだ。
「赤ん坊の泣き声じゃ!」
船の奥に行くと毛布に包まれ固くて固定された箱にその子はいた。毛布には名前が刺繍されている。
それが、セシルだった。


それから13年。あの日流れ着いた船を修理し幸い船に少し知識を持つ人もいたため。動かし方も理解出来た。そして、出発の前日。
「行きたい!行きたい!僕も行く!」
「ダメだって言ってるじゃないか!何度言ったらわかるんだい!」
村中に響き渡る子供の声と女性の声。セシルはジェームズ達と村をでたいと駄々を捏ねていた。セシルの育て親のアレンは島から出ようとするセシルを止めていた。
「なんで!なんでダメなの!」
「あんたはまだ子供じゃないの!」
「リリーもライアンとルーナも子供じゃん!僕とそんな変わらないじゃん!」
「あんたはまだ13でしょ!せめて15になってからにしなさい!」
「でもその時は船ないじゃん!」
2人の声が村に響き渡るがいつもの日常なため微笑ましい表情で村の人達はセシルを見ていた。
「そんなに言うならばあやに聞いてみなさい!」
「わかった!ばあや!」
セシルはすぐに村長であるコリー・ベルの元へ向かった。
ばあやは村の中でも長寿でたくさんの知識を持っている。その為村のみんなはばあやを頼るのだ。村の中心にあるばあやの家にセシルはなんの呼び掛けもせずに扉を開けた。
「ばあや!明日の出発、僕も行っていい!?」
元気よく聞くセシルにばあやにとって微笑ましく思えた。しかし、
「だめじゃ」
「え…」
ばあやにさえも否定されたセシルを悲しい顔をした。ばあやの隣にはジェームズもいる。
「ジェームズ!僕も連れてってよ!」
「お前なぁ、今婆さんが言っただろ」
頼みの綱も失われセシルを俯く。
「セシル。おいで」
そんなセシルにばあやは声をかける。セシルは不貞腐れながらも素直ばあやのそばに座る。
「なんで…」
頬を膨らませながら俯くセシル。まだまだ子供だ。
「いいかい?セシル。お前がこの島から出たい。その気持ちはよく分かる。しかし、村のみんなが反対するじゃろう。アレンもダメと言ったはずじゃ」
「でもでも!」
セシルはまだ食い下がった。
「なぁ、セシル。ばあやの言うことは聞いといた方がいいぞ」
呆れたようにジェームズが言う。
「でもぉ」
「お前が島から出るのを反対する理由はちゃんとある」
「僕が子供だからでしょ?」
セシルが涙目でばあやを見た。ばあやは一瞬黙るが首を横に振った。
「それもあるのじゃが違う」
「じゃあ、何!僕はリリーより早く動くし!ルーナより力あるし!ライアンよりケンカ強いよ!ジェームズは毎日お酒ばっかで昼まで起きてこないし!」
ジェームズが隣でため息をつく。ばあやは目を細めセシルの頭を撫でる。
「大きくなったの」
セシルはそんなばあやに戸惑いを隠せないでいた。
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