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第一章
3.国王陛下
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3.国王陛下
「陛下、アオイ様を連れてまいりました」
「入りなさい」
中からは初老の声が響き思った以上に優しい声で面食らっていると扉が開く。
「アオイ様、どうぞ」
中に入り扉を開けたのは中にいた執事だということがわかった。部屋の中は書斎のようでテーブルの横でたっている男がいた。歳は50代くらいだろうか。服装は王様というより会社の一社員が出迎えてくるような格好だ。スーツというよりは少し違うが王族という雰囲気がない。
「ようこそ、我がネージュ国にお越しくださり感謝の念を申し上げます。アオイ殿ですね?どうぞおかけください。シャルロット、お茶を」
「はい、かしこまいりました」
かなり柔らかい雰囲気の王様だな私に合わせてくれているのだろうか。
「えと、王様、ですか?」
あまりにもそんな雰囲気がなくて聞いてしまった。すると後ろの執事が笑う。
どうやら私の反応は予想したいたようだ。
王様はクスリと笑い私に優しい目を向けてくれる。
「はい、私が正真正銘のエルネスト・ラ・グラス国王です」
「あー、よろしく」
とりあえず納得して私はソファに座る。シャルロットがちょうどお茶を出してくれたようで何となく口に含んだ。
エルネストは向かいに座り私をじっと見つめた。
「呼んだのはほかでもなくアオイ殿の処遇についてです」
「うん」
「アオイ殿が良ければこの国で戸籍を作り国民として過ごしていくという提案があるのですがもちろんこの国に不満というのであれば他の安全な国で過ごしてもらうということもできます。ですが私どもも全く別の世界から来たという未知の存在を自由にさせるにはあまりにも無責任と責められてしまいます。どうかご理解をお願いします」
「元の世界に戻りたいんだけど、どうすればいい?」
「それは出来んのじゃ」
その声と同時に扉からエティエンヌが入ってきた。
「できないって?」
「この世界とアオイ殿の世界を繋げるのは世界の協定で禁止されておる」
「詳しく言うと?」
「別の世界となればそう問題は無いのじゃがアオイ殿の世界となると他の国も黙ってはいない。特に教会はこの国を潰すつもりで攻めて来るじゃろう」
「は!?なんでっ?」
「アオイ殿の世界は神聖領域と呼ばれる世界で簡単に手を出せるものではありません」
エルネストが答えてくれた。いや、まぁ別に自分の世界に思入れはないけどそこまでとは。てか、そんなすごいとこじゃないでしょ、私の世界。
「そうなんだ…。仕方ないか、この国で暮らしていくよ」
「本当に申し訳ない。この国での保護を約束します。まずは書類について書いていただきたいのですが」
「陛下、少し待っていただきたい」
エルネストがなにか書類を出そうとするとエティエンヌが止めた。
「戸籍を作る前にアオイ殿に自分を守る力をつけて頂きたい。戸籍を使ってしまえば他の同盟国には情報は伝わってしまう。アオイという名のはこの国にしては珍しすぎるしわかるものにはすぐバレてしまうじゃろ」
エティエンヌの言葉にエルネストは少し考え私を見る。
「……そう、だな。ではエティエンヌ。頼めますか?」
「お任せ下さい。陛下」
「アオイ殿の安全を第一に考えてください」
「わかっておる」
話が終わり私は書斎を出た。エティエンヌはエルネストと話があるようでその場に残りシャルロットと執事が私の傍に着いた。と言っても部屋に戻るだけだし1人でも大丈夫なんだけど。
「えーと、」
私は執事を見つめる。
「ドニ・ゴランです。よろしくお願いします」
「うん、よろしく。アオイだよ」
「では、アオイ様これから昼食になります。私どもが案内致しますのでご安心ください」
「ありがと~」
そこはかなり大きな空間だった。多分王族が食事するのだろう。中に既にクリスタとアリスがいた。
「あ!アオイちゃん!!」
ぱあぁっと笑顔になりパタパタとこちらに走ってくる。
「やっほ、姫様」
「アリスでいーよ!一緒食べよ!」
出てきたのはかなり豪勢な料理でとても美味しかった。一つ一つの料理をアリスが説明するから運んできたメイドさんが困っていた。
「アオイ殿」
いち早く食べ終わったクリスタが私を呼ぶ。
「陛下との話はどうだった?」
「無事終わったよ。あんま王様って雰囲気しなかったな」
「あぁ、私も陛下の前では気が抜けてしまうのだ」
「だよね。私も親戚のおじさんと話してる気分だった」
「ねぇねぇ、アオイちゃん!」
「どうした?」
食事をしている最中にアリスが私の左腕を揺すってくる。少し食べにくい。
「この後街案内!するよね?」
「うん、私も行きたい」
「やった!」
「申し訳ございません。アオイ様」
その声にパッとアリスが振り返り私も追ってシャルロットを見つめた。
「エルネスト国王から暫く王宮での待機を命じられております」
「あー、まぁさっきの話の流れじゃあそーなるか」
「はい、ですので今日は王宮の案内をアリス様と行ってみませんか?付き人として執事のドニを」
「ひめさま……、アリス、それでもいい?」
アリスはあからさまに不機嫌そうにしていたが私と一緒に入れることで文句はないようだった。
「アオイちゃんの街案内はあたしが1番だよ!」
「承知しております」
シャルロットが頷くとアリスは早速私の手を引っ張り部屋を出る。
振り返るとシャルロットがクリスタに何かを伝えていた。
「クリスタ殿下、クロヴィス殿下が………」
クロヴィス殿下?ということは王子か王女かな。名前的に王子っぽいけど。
名前だけで内容は聞き取れなかった。
「陛下、アオイ様を連れてまいりました」
「入りなさい」
中からは初老の声が響き思った以上に優しい声で面食らっていると扉が開く。
「アオイ様、どうぞ」
中に入り扉を開けたのは中にいた執事だということがわかった。部屋の中は書斎のようでテーブルの横でたっている男がいた。歳は50代くらいだろうか。服装は王様というより会社の一社員が出迎えてくるような格好だ。スーツというよりは少し違うが王族という雰囲気がない。
「ようこそ、我がネージュ国にお越しくださり感謝の念を申し上げます。アオイ殿ですね?どうぞおかけください。シャルロット、お茶を」
「はい、かしこまいりました」
かなり柔らかい雰囲気の王様だな私に合わせてくれているのだろうか。
「えと、王様、ですか?」
あまりにもそんな雰囲気がなくて聞いてしまった。すると後ろの執事が笑う。
どうやら私の反応は予想したいたようだ。
王様はクスリと笑い私に優しい目を向けてくれる。
「はい、私が正真正銘のエルネスト・ラ・グラス国王です」
「あー、よろしく」
とりあえず納得して私はソファに座る。シャルロットがちょうどお茶を出してくれたようで何となく口に含んだ。
エルネストは向かいに座り私をじっと見つめた。
「呼んだのはほかでもなくアオイ殿の処遇についてです」
「うん」
「アオイ殿が良ければこの国で戸籍を作り国民として過ごしていくという提案があるのですがもちろんこの国に不満というのであれば他の安全な国で過ごしてもらうということもできます。ですが私どもも全く別の世界から来たという未知の存在を自由にさせるにはあまりにも無責任と責められてしまいます。どうかご理解をお願いします」
「元の世界に戻りたいんだけど、どうすればいい?」
「それは出来んのじゃ」
その声と同時に扉からエティエンヌが入ってきた。
「できないって?」
「この世界とアオイ殿の世界を繋げるのは世界の協定で禁止されておる」
「詳しく言うと?」
「別の世界となればそう問題は無いのじゃがアオイ殿の世界となると他の国も黙ってはいない。特に教会はこの国を潰すつもりで攻めて来るじゃろう」
「は!?なんでっ?」
「アオイ殿の世界は神聖領域と呼ばれる世界で簡単に手を出せるものではありません」
エルネストが答えてくれた。いや、まぁ別に自分の世界に思入れはないけどそこまでとは。てか、そんなすごいとこじゃないでしょ、私の世界。
「そうなんだ…。仕方ないか、この国で暮らしていくよ」
「本当に申し訳ない。この国での保護を約束します。まずは書類について書いていただきたいのですが」
「陛下、少し待っていただきたい」
エルネストがなにか書類を出そうとするとエティエンヌが止めた。
「戸籍を作る前にアオイ殿に自分を守る力をつけて頂きたい。戸籍を使ってしまえば他の同盟国には情報は伝わってしまう。アオイという名のはこの国にしては珍しすぎるしわかるものにはすぐバレてしまうじゃろ」
エティエンヌの言葉にエルネストは少し考え私を見る。
「……そう、だな。ではエティエンヌ。頼めますか?」
「お任せ下さい。陛下」
「アオイ殿の安全を第一に考えてください」
「わかっておる」
話が終わり私は書斎を出た。エティエンヌはエルネストと話があるようでその場に残りシャルロットと執事が私の傍に着いた。と言っても部屋に戻るだけだし1人でも大丈夫なんだけど。
「えーと、」
私は執事を見つめる。
「ドニ・ゴランです。よろしくお願いします」
「うん、よろしく。アオイだよ」
「では、アオイ様これから昼食になります。私どもが案内致しますのでご安心ください」
「ありがと~」
そこはかなり大きな空間だった。多分王族が食事するのだろう。中に既にクリスタとアリスがいた。
「あ!アオイちゃん!!」
ぱあぁっと笑顔になりパタパタとこちらに走ってくる。
「やっほ、姫様」
「アリスでいーよ!一緒食べよ!」
出てきたのはかなり豪勢な料理でとても美味しかった。一つ一つの料理をアリスが説明するから運んできたメイドさんが困っていた。
「アオイ殿」
いち早く食べ終わったクリスタが私を呼ぶ。
「陛下との話はどうだった?」
「無事終わったよ。あんま王様って雰囲気しなかったな」
「あぁ、私も陛下の前では気が抜けてしまうのだ」
「だよね。私も親戚のおじさんと話してる気分だった」
「ねぇねぇ、アオイちゃん!」
「どうした?」
食事をしている最中にアリスが私の左腕を揺すってくる。少し食べにくい。
「この後街案内!するよね?」
「うん、私も行きたい」
「やった!」
「申し訳ございません。アオイ様」
その声にパッとアリスが振り返り私も追ってシャルロットを見つめた。
「エルネスト国王から暫く王宮での待機を命じられております」
「あー、まぁさっきの話の流れじゃあそーなるか」
「はい、ですので今日は王宮の案内をアリス様と行ってみませんか?付き人として執事のドニを」
「ひめさま……、アリス、それでもいい?」
アリスはあからさまに不機嫌そうにしていたが私と一緒に入れることで文句はないようだった。
「アオイちゃんの街案内はあたしが1番だよ!」
「承知しております」
シャルロットが頷くとアリスは早速私の手を引っ張り部屋を出る。
振り返るとシャルロットがクリスタに何かを伝えていた。
「クリスタ殿下、クロヴィス殿下が………」
クロヴィス殿下?ということは王子か王女かな。名前的に王子っぽいけど。
名前だけで内容は聞き取れなかった。
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