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【最終章】
【36】最低勇者と最高の仲間
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呻き声を放つロイ。
『うごごっ……がぁーーー!!!』
神ケッツァーは静観しながら、こう考えていた。
<悪に支配なんて、今のロイだったらありえねー話だ。じゃーこれは……??
まさか!?いや、あり得る!十二分にあり得る!だとしたら……おいおい、面白すぎるだろうがよ!>
魔王の回りには闇のオーラが纏わり付く。
黒き羽が大きく羽ばたき、牙も伸び、爪も鋭く伸びていた。
その姿は紛れもなく史上最強と言わせるだけの魔王の姿があったのだ。
そして魔王ロイは嘗ての友、神ケッツァーへ話し始める。
『これが冥府の王ハーデスより授かった能力だ。神よ、冥土の土産に最初で最期になる私の真の姿を見せてやろう』
その言葉を後にして魔王ロイは更なる進化を始める。
黒き2枚の羽は1枚は、まるで天使のように白く変化していく。
変化と同時にオーラも闇と光属性が織り混ぜられていった。
その白き羽で女王イルネスを包み正気を取り戻させる。
光と闇を操る事が出来る魔帝ロイの誕生であった。
『どうだ?神よ。今、私は最高の力を手にした。殺り合うのであるなら、胸を貸してやってもいいぞ。どうする?ケッツァー!』
威嚇してくる、魔帝ロイ。
不意にケッツァーは口を開く。
『それが本気じゃねーだろ?本気を出さねーなら戦う価値もない。あの時と同じく、また同じことの繰り返しだ。もし、それが本気ならば、話にならん。雑魚は口を開くな』
『気付いておったか……流石だな。
いいだろう……これが!余の本気だ!!』
先程とは比べ物にならない程、エネルギー量が増大していく。
魔界が、人間界が、大地が震えだした。
『フルパワーだーーー!!!はぁはぁはぁ……来いよ、最低勇者!』
『やはりな、自我は残っているようだずっと俺と戦いたかったんだな。いいよ。戦ってやるよ。だが、お前との喧嘩はこれで最後だぞ』
………………
…………
……
一言だけ呟き、ケッツァーの目つきが変わる。
『フルパワー!!!』
フールと守護天使、ヴィスキとイルネスが、この世界そのものに全力結界防壁を幾重にも張り巡らす。
それでも、魔界が人間界が大地が天界に至る大気全てが震える。
必死で最悪を阻止しようとするヴィスキたち。
『ヴィスキ、フール。もう少しだけ耐えてくれ』
『仰せのままに!!我が神よ!御存分に!!』
『さぁ始めようか!俺とお前の最初で最後の兄弟ゲンカを!』
『ああ!今回ばかしは、一瞬では終わらせてやらねーぞ!』
2人の戦闘が始まった。
それは、魔帝ロイにとっては、壮絶な戦いになってしまう。
ケッツァーもロイから受ける傷はあるものの、超回復で即時に再生する。
終始劣勢なロイではあったものの、何処か楽しそうに戦っていた。
同じくケッツァーも腕を切断されたりしながらも超回復で即時に再生を繰り返し、戦闘を続けていた。
ケッツァーも終始楽しそうに戦っていたのだ。
この2人の姿を見る限り、神と魔帝の戦いとは、誰も思えなかった。
そう、それはまるで……
最低勇者と最高の仲間と行う兄弟ゲンカのように見えた。
拳がぶつかり合うだけで大気が揺れる。
そんな中でもケッツァーには余裕が見えていた。
そう器が違うのだ。
ヴィスキとフールも体力の限界が近いと悟った、ケッツァーは戦いを終わらせるべく音速のスピードで、魔帝ロイへ近付き、思いっきり抱き締める。
<もういいんだよ。後は昔のように楽しく生きよう>
回りの者には、そう言った声が聞こえてきた気がした。
その瞬間、ロイは正気を取り戻す事に成功した。
『な、何してんだよケッツァー。気持ち悪いなー。ハグなら違う奴にしろよな』
『ああ、そうだな。だが、今はこれでいいんだ……敗者のお前を勇者魔帝ロイへ任命する。同じくイルネスもだ!』
『な、何考えてんだよ!そんな事したら、この世の理が!』
『この世の理?そんなの知るか』
ケッツァーは大きく息を吸い込み、大きな声で宣言をした。
『俺は新しき神であるケッツァー!!この世の理を今!変えてやった!!文句がある奴らは俺を越えてから、言いやがれ!!
出来ねーなら頭を垂れてろ!!』
その場に居た者たちは呆れて言葉が出なかった。
しかし、そこには嘗ての笑顔も戻っていた。
神(最低勇者)ケッツァー
皇后(変態勇者)フール
アルハラ勇者ヴィスキ
魔帝ロイ、皇后イルネス。
立場は変わったものの、絆は変わらない。
『ロイたちはどうすんだ?やっぱりこっちで暮らすのか?』
『ああ、そうだな。色々考えたけど、やはり俺たちはここで暮らすよ。腐っても魔王だからな。先代の墓守もあるしな。
たまには、遊びに来いよ!神だからって疎遠にはならないでくれよ!』
『勿論だ。ヴィスキもいるしな。仲介役でヴィスキを移動できるようにしておくよ』
『ま、待て!!それは……!!』
一瞬ヴィスキが悪い顔を見せる。
『楽しい宴席になりそうだな……毎回』
『いやーーー!!!』
何はともあれ、これにて一件落着。
その後、ケッツァーと共に天使たちと勇者たちは、天界へ戻る。
それから10日後━━━
ケッツァーは正式な授与式を経て神の座に君臨する。
第一天使はウリエル。
第二天使はガブリエル。
第三天使がミカエルとなった。
フールは相変わらず神が相手でも、変態を剥き出し。
ヴィスキに至っては魔帝ロイと神ケッツァーへの度重なるアルハラ。
魔帝ロイに関しては居留守を最近使ってるとか……
そしてケッツァーは、魔王から世界を救った勇者として奉られていた。
最低勇者ケッツァーとして……
『勇者は仕事でやってたんでね。ボランティアじゃないんで』
職業勇者はボランティアではありません!
完
『うごごっ……がぁーーー!!!』
神ケッツァーは静観しながら、こう考えていた。
<悪に支配なんて、今のロイだったらありえねー話だ。じゃーこれは……??
まさか!?いや、あり得る!十二分にあり得る!だとしたら……おいおい、面白すぎるだろうがよ!>
魔王の回りには闇のオーラが纏わり付く。
黒き羽が大きく羽ばたき、牙も伸び、爪も鋭く伸びていた。
その姿は紛れもなく史上最強と言わせるだけの魔王の姿があったのだ。
そして魔王ロイは嘗ての友、神ケッツァーへ話し始める。
『これが冥府の王ハーデスより授かった能力だ。神よ、冥土の土産に最初で最期になる私の真の姿を見せてやろう』
その言葉を後にして魔王ロイは更なる進化を始める。
黒き2枚の羽は1枚は、まるで天使のように白く変化していく。
変化と同時にオーラも闇と光属性が織り混ぜられていった。
その白き羽で女王イルネスを包み正気を取り戻させる。
光と闇を操る事が出来る魔帝ロイの誕生であった。
『どうだ?神よ。今、私は最高の力を手にした。殺り合うのであるなら、胸を貸してやってもいいぞ。どうする?ケッツァー!』
威嚇してくる、魔帝ロイ。
不意にケッツァーは口を開く。
『それが本気じゃねーだろ?本気を出さねーなら戦う価値もない。あの時と同じく、また同じことの繰り返しだ。もし、それが本気ならば、話にならん。雑魚は口を開くな』
『気付いておったか……流石だな。
いいだろう……これが!余の本気だ!!』
先程とは比べ物にならない程、エネルギー量が増大していく。
魔界が、人間界が、大地が震えだした。
『フルパワーだーーー!!!はぁはぁはぁ……来いよ、最低勇者!』
『やはりな、自我は残っているようだずっと俺と戦いたかったんだな。いいよ。戦ってやるよ。だが、お前との喧嘩はこれで最後だぞ』
………………
…………
……
一言だけ呟き、ケッツァーの目つきが変わる。
『フルパワー!!!』
フールと守護天使、ヴィスキとイルネスが、この世界そのものに全力結界防壁を幾重にも張り巡らす。
それでも、魔界が人間界が大地が天界に至る大気全てが震える。
必死で最悪を阻止しようとするヴィスキたち。
『ヴィスキ、フール。もう少しだけ耐えてくれ』
『仰せのままに!!我が神よ!御存分に!!』
『さぁ始めようか!俺とお前の最初で最後の兄弟ゲンカを!』
『ああ!今回ばかしは、一瞬では終わらせてやらねーぞ!』
2人の戦闘が始まった。
それは、魔帝ロイにとっては、壮絶な戦いになってしまう。
ケッツァーもロイから受ける傷はあるものの、超回復で即時に再生する。
終始劣勢なロイではあったものの、何処か楽しそうに戦っていた。
同じくケッツァーも腕を切断されたりしながらも超回復で即時に再生を繰り返し、戦闘を続けていた。
ケッツァーも終始楽しそうに戦っていたのだ。
この2人の姿を見る限り、神と魔帝の戦いとは、誰も思えなかった。
そう、それはまるで……
最低勇者と最高の仲間と行う兄弟ゲンカのように見えた。
拳がぶつかり合うだけで大気が揺れる。
そんな中でもケッツァーには余裕が見えていた。
そう器が違うのだ。
ヴィスキとフールも体力の限界が近いと悟った、ケッツァーは戦いを終わらせるべく音速のスピードで、魔帝ロイへ近付き、思いっきり抱き締める。
<もういいんだよ。後は昔のように楽しく生きよう>
回りの者には、そう言った声が聞こえてきた気がした。
その瞬間、ロイは正気を取り戻す事に成功した。
『な、何してんだよケッツァー。気持ち悪いなー。ハグなら違う奴にしろよな』
『ああ、そうだな。だが、今はこれでいいんだ……敗者のお前を勇者魔帝ロイへ任命する。同じくイルネスもだ!』
『な、何考えてんだよ!そんな事したら、この世の理が!』
『この世の理?そんなの知るか』
ケッツァーは大きく息を吸い込み、大きな声で宣言をした。
『俺は新しき神であるケッツァー!!この世の理を今!変えてやった!!文句がある奴らは俺を越えてから、言いやがれ!!
出来ねーなら頭を垂れてろ!!』
その場に居た者たちは呆れて言葉が出なかった。
しかし、そこには嘗ての笑顔も戻っていた。
神(最低勇者)ケッツァー
皇后(変態勇者)フール
アルハラ勇者ヴィスキ
魔帝ロイ、皇后イルネス。
立場は変わったものの、絆は変わらない。
『ロイたちはどうすんだ?やっぱりこっちで暮らすのか?』
『ああ、そうだな。色々考えたけど、やはり俺たちはここで暮らすよ。腐っても魔王だからな。先代の墓守もあるしな。
たまには、遊びに来いよ!神だからって疎遠にはならないでくれよ!』
『勿論だ。ヴィスキもいるしな。仲介役でヴィスキを移動できるようにしておくよ』
『ま、待て!!それは……!!』
一瞬ヴィスキが悪い顔を見せる。
『楽しい宴席になりそうだな……毎回』
『いやーーー!!!』
何はともあれ、これにて一件落着。
その後、ケッツァーと共に天使たちと勇者たちは、天界へ戻る。
それから10日後━━━
ケッツァーは正式な授与式を経て神の座に君臨する。
第一天使はウリエル。
第二天使はガブリエル。
第三天使がミカエルとなった。
フールは相変わらず神が相手でも、変態を剥き出し。
ヴィスキに至っては魔帝ロイと神ケッツァーへの度重なるアルハラ。
魔帝ロイに関しては居留守を最近使ってるとか……
そしてケッツァーは、魔王から世界を救った勇者として奉られていた。
最低勇者ケッツァーとして……
『勇者は仕事でやってたんでね。ボランティアじゃないんで』
職業勇者はボランティアではありません!
完
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