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【序章】

【9】大群の魔王軍と戦う勇者

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 いつものように野営(野宿ともいう)をしているケッツァー達は、ビッチ担当……
 もとい、主に彼らの生活向上担当になるフールが料理を作っていた。
 意外と言えば失礼になるのだが、この女出来る女であった。究極に飯が上手いのだ。
 コイツは、また、意外だよね……

『お前意外と女子力高いな』

『当然!私の売りは"女子力"の高さと"性欲"の高さよ!』

『コラコラコラ!
 ケッツァー、煽るな!コイツはピー音が必要なことしか喋らん!』

『ケッツァーとロイって客観的に見てもイケメンだよね。
 はぁ……ムラムラする……』

『せんでいい!』

 ピピピ。

 ケッツァーの依頼機とフールの依頼機に反応が出る。

 《依頼内容》
<東の山脈に大群の魔王軍が集結。
 その数5万。早急に討伐されたし。>

『これ、嘗てない数だな。ロイ、どう考える?』

『この感じ……恐らく、イルネスだな。
 アイツが動いたか。
 気を付けろ、いくらお前が強くても彼女の生魔しょうまに当てられると、勝てない』

『へー。楽しそうじゃん!』

『ねーねー。
 そいつは私が狩っていい?』

『あ?いいよ。好きにしな』

『え?狩る?いやいや、君たち話聞いてた?危険なんだよ?』

『ロイ、大丈夫だって!アイツに任せとけって!』

『イルネスは病気の塊だぞ!』

『私だって嘗ては性病持ってたし。似た者同士じゃん。仲良くなれるかもね!
 ケッツァー、新しい仲間ゲット出来るかも?』

『おっ!それは素敵なことだな!ロイの盟友か……よし!仲間にするぞ!』

『おー!じゃーチャチャッと雑魚を浄化するね!』

『キモいキモい。お前らの会話がキモいわ!5万だぞ!分かってんのか?』

『ん?大丈夫だって。信じて体育座りしてなさいな』

 そんな感じで、どうでもいい会話を続けているうちに目的地へ到着。
 今回の依頼に集まった勇者は────
 ケッツァー達のみであった。

『ま、こうなるわな』

『そだね』

『軟弱者たちが……』

『ロイ、仕方ないよ。でもね、ここにはさ……男最強の勇者と女最強の勇者がいるんだから、安心して体育座りしてなさい』

 頼りになりすぎる!最強勇者たち降臨!
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