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【青年期編】
【25】練兵練兵練兵!!!
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前王の国葬も終わり、俺はレーニア陛下の命令を幾日も幾日も淡々と遂行していた。
弱卒兵たちは最低でも親衛隊レベルにしないといけないのでね。
あの後、家に帰って穏やかな我が妻と会えると思っていたのだが、まさかの追加命令を食らったわけだ。
「そうそう、言い忘れてたけど最低でも新兵を親衛隊くらいまで強くしといてね。
そのくらいザハルなら簡単でしょ?」
「お、おう」
この嫌とは言えない空気を出す妻。
これはあれか?鬼嫁ってやつか?
ジェンノ王国では俺たちが新たに作った暗黙のルールが存在する。
夫である俺だけは、如何なる命令であっても女王の命令に従うこと。
夫である俺が従っていればさ、皆も自然と女王を立て威厳と権威が出てくるからってことだね。
まぁレーニアは勇者でもあるから、ジェンノ王国の人々全員からの信頼は非常に高いんだけどね。
でもさ、信頼と権威は別の話なんだよね。
信頼しか持たれてなかったらさ、信頼関係が崩壊したら謀反が起きるけどね、権威と威厳があれば止めることが出来るんだよ。
だからさ、俺はこの国と妻のために全面協力してるわけだね。
万が一国が、世界が、アイツの敵になっても俺は最後までアイツの味方だけどね。
デレんなって?
うるせーやい!たまにはいいじゃないの。
愛とは不思議なものなのだよ。
前世で40歳にもなって結婚もしてなかった俺が言うのは、何の説得力もないけどな!
ただそういうわけで、今は毎日毎日、新兵と弱卒兵を鍛えて鍛えて鍛え抜いている。
そっちではもう令和だよね?
だからさ、さすがにわかってるよ。
昭和のノリで練兵してないよ!
楽しく、優しく、時に厳しく。
訓練が終われば、俺と一緒に飯行きたい奴は行って、全奢りで飲み食いさせてる。
飯に行くのも強制じゃないよ。
俺も昭和の人間だったからさ、本当にあのノリが辛かったんだよね。
俺が思うによ、体は鍛えられても心は鍛えられないと思うんだよ。
そりゃあさ、全然鍛えられないこともないけど、人にはそれぞれキャパってものがあって、それを超える負荷を掛け続けると誰であっても壊れる可能性がある。
それを現代社会の人々も、もっと理解するべきだと思うけどな。
だから俺はしないって心に決めてるぜ。
それもあって今のジェンノ王国は今までと比べて、俗に言うホワイト企業になったと思うよ。
それは実際に古参や中堅の兵から声が上がってるらしい。
素敵なことだよね。
日々の練兵を繰り返していると、空気の読めないアイツが久々にやって来た。
「おうおう!やってんじゃねーか!俺も混ぜてくれよ、ザハル」
「お久しぶりですね。父上」
「久しぶりだな!いやーお前の所の訓練が面白そうだと聞いて、自分の隊を放り投げてパピーが来てやったんだぜ」
「そうなんですね。ただ、それは父上の職務を投げ出してサボってるということですよね?」
「まぁそうとも言うな!ワッハッハッハ!」
キアのイライラが犇々と伝わってくる。
これはいかん。
「捕らえて下さい」
「え?えーーー!?
な、な、何!?ザハル!待て待て待て!!」
「ジェンノ王国女王陛下の勅命を無視し、サボっていると言質が取れた以上は、流石に捕えるしかないでしょうよ」
「いやいやいや、待てって!」
「取り敢えず頭を冷やしてもらうために、牢に入れておいて」
「はっ!」
「ま、ま、待ってって!ザハル!いや、ザハルさま!待ってください!」
「なんですか?」
「直ぐに職務をまっとうするので!どうか辱めを受けさせないでください。
妻とエコーの汚点になっちまう!」
「そう思うんだったら最初からしっかりしてくださいよ。
解放していいよ」
「ふぅ……助かった」
「今後は言動を少し改めてください。エコーのためにもね。
危うく肉刑に処するところでしたよ」
「目が笑ってないじゃないかお前……
昔はあんなに可愛かったのに」
「父上……何の刑がお望みですか?」
「はっ!失礼いたしました!
直ぐ勅命に従います!」
「はーい。そうしてください。
あ、父上、エコーにこれを渡しといてください。こっちは父上の分で、こっちは母上にお願いします」
「うおぉぉぉーーー!!!超激レアな爆煙葉っぱじゃないか!
もらっていいのか!?こんな激レアな葉っぱを!」
「ええ、余るほどありますし。
また欲しくなったらいつでも言ってください。ただし、職務を全うすることが条件ですよ」
「勿論だとも!うわぁぁぁ、エコーも喜ぶぞ!ベリー用の菓子もこんなにあるのか!
暫くは楽しめるな!ありがとうザハル」
「いいえ。では、ちゃっちゃと行ってください。それとも私のザハルズブートキャンプ(ハードモード)で黄泉の国を体験したいなら、ここに居ててもいいですが」
父上はその言葉を聞くと瞬殺で帰って行った。なんでも、そのキツさをレーニアからチラッと聞いていたらしく、顔面蒼白になり腰を抜かしながら消えていった。
本当は真面目に鍛えたいとも思ってるんだけどね。
今の父上のやり方では、これ以上何も見込みがないからさ……
俺にとっては大切な父親だ。
無駄死になんてしてほしくないわけだよ。
別に死亡フラグを立てた訳じゃないからね。
あんなんでも、まだジェンノ王国では強い方なんだから。
でも最近は衰えて来てるかもね。
正直今ではディゼル君の方が圧倒的に強い。
ディゼル君は元々、親父の副将だったんだけどさ、メンタル豆腐だから俺が引き取ったわけさ。
親父の破天荒さに悩み倒してたからさ。
あんなグロッキーな顔を見たらさ、流石に申し訳なくなったよ。
しかしディゼル君は不思議なもんで、戦になれば鋼のメンタルに変貌する。
ちなみにディゼル君は今、俺が受けた勅命である練兵を手伝ってくれている。
現状のハートは鋼タイム中のようだ。
安心安心。
鎧を身にまとったら肉食系男子になり、鎧を脱いだら草食系男子に変貌するんだよね。
まぁいつもいつも一生懸命な男だから、俺も全力でサポートしてるんだけどね。
頑張りすぎて疲れないように、目を見張っておく必要もあるんだけどね。
まぁそんな訳で俺は来る日も来る日も連敗を繰り返し、約半年間に渡り全兵士の訓練が完了した。
全員が見違えるような強さと、イキイキとした顔に変わってくれた。
なんとか半年以内に練兵が完了して実に良かった。
近く大きな戦も起きるだろうしね……
俺は練兵終了を報告するために、レーニアの元へ訪れると、レジェンダが家畜……ではなく社畜と化して鬼のように働いていた。
「レーニア、終わったよ」
「ありがとう。意外と早かったわね」
「色々手伝ってくれた人達も居たからだよ」
「なによりだわ」
「ちょっとあんた!妾になんか変なスキルを付け足したでしょ!!」
「当然だろうが」
「なによ!何したのよ!もう仕事がしたくてしたくて仕方ないじゃないのよ!」
「いい事じゃねーか」
「よくないわよ!どんなに体が限界を告げてても、使命感で勝手に動いてしまうのよ!
地獄よ地獄!」
「まぁそれが社畜だからなー。
うん。頑張りたまえ」
「お願いだから解放してもらえませんか?」
「ちなみに残業時間どんくらい?」
「わかんないわよ!60時間は絶対やってるわ!」
「なんだ、まだまだじゃねーか。
俺が社畜してた頃は80時間を軽く超えてたぜ。
なので罰続行ってことで」
「ちょ、ザハル……私も学生だったから詳しい労働時間とか分かんないんだけど、60時間も結構なんじゃないの?」
「結構だよ。だけどコイツは、そもそも奴隷落ちしなかっただけでも感謝されるべき魔物なんだ。
高待遇な生活をしていて働き過ぎくらいで文句言っちゃいかん!
本当の地獄はサビ残80時間以上の猛者を言う」
「変態じゃないの!?そんな奴!」
「いや、別に変態なのはそいつではない。
会社だ」
「従ってる時点で変態よ」
「従わざる得ない状況とは考えられないオツムなんだな。お前って。だからダメなんだよ」
「私なら突っぱねるわ」
「じゃーこの状況を突っぱねてみろよ」
「出来ないから困ってるんじゃない!」
「過酷な労働を強いられてる人は、まさにお前と同じ状況にあるってことだ。
やはりお前はもう少し人の痛みを知るべきだ」
「始祖さま……」
「あんたも痛々しい目で見ないでちょうだいよ!」
「レーニア。俺はお前の勅命に従い任務を遂行したが、お前は何してたんだ?半年も時間があったのに、コイツはゴミのままじゃねーか」
「何を言っても聞いてくれないの」
俺は久しぶりに苛ついた。
「もういい。縛。衛兵!このネズミを俺の研究所へぶち込んどけ!」
「ちょ!何すんのよ!触れるな!妾に触れるな!」
「連れていけ」
「ザハル、そこまでしなくても……それに魔王軍らしき姿も最近目撃されてるし、今後必要な知識になるんじゃないの?」
「別部屋で情報を聞き出せばいい。仕事もそこでさせる。アイツは今までの行いに向き合い、地獄を見て心底反省する必要がある。
いくら始祖でも負の遺産は必要ない。
それよりお前の言う通り魔王軍なんだが、可能性は十二分にあるぞ」
「もし魔王軍が相手なら私も出ないとね。
あれを倒せるのは私しかいないから」
「いや、まだ出て来んだろ。もし出てきたら転移でお前を迎えに行く。
まだ極力出陣は避けろ」
「分かったわ。なに?心配してくれてるの?」
「う、うるせーなー」
「ふふ、照れちゃって、かわいい」
「やめろ恥ずかしい!」
と、まぁ冗談抜きで魔王軍・第三勢力・人の国・それぞれが何となく動きが活発化してきたように思う。
数年以内に大きな戦が起きるだろう。
エコーのエニリカスは間に合うのだろうか……
レーニアは生き残ってるだろうか……
親父やお袋は……
本当にいろんな思いが俺の頭の中をぐるぐると何重にも渦巻いている。
俺自身もう少しで身に付きそうなスキルがある。
その名もスキル剥がし。
相手のスキルを剥がして自分のものにするって技なんだけど、これゲットしたらレジェンダ消せるんだよなー……
弱卒兵たちは最低でも親衛隊レベルにしないといけないのでね。
あの後、家に帰って穏やかな我が妻と会えると思っていたのだが、まさかの追加命令を食らったわけだ。
「そうそう、言い忘れてたけど最低でも新兵を親衛隊くらいまで強くしといてね。
そのくらいザハルなら簡単でしょ?」
「お、おう」
この嫌とは言えない空気を出す妻。
これはあれか?鬼嫁ってやつか?
ジェンノ王国では俺たちが新たに作った暗黙のルールが存在する。
夫である俺だけは、如何なる命令であっても女王の命令に従うこと。
夫である俺が従っていればさ、皆も自然と女王を立て威厳と権威が出てくるからってことだね。
まぁレーニアは勇者でもあるから、ジェンノ王国の人々全員からの信頼は非常に高いんだけどね。
でもさ、信頼と権威は別の話なんだよね。
信頼しか持たれてなかったらさ、信頼関係が崩壊したら謀反が起きるけどね、権威と威厳があれば止めることが出来るんだよ。
だからさ、俺はこの国と妻のために全面協力してるわけだね。
万が一国が、世界が、アイツの敵になっても俺は最後までアイツの味方だけどね。
デレんなって?
うるせーやい!たまにはいいじゃないの。
愛とは不思議なものなのだよ。
前世で40歳にもなって結婚もしてなかった俺が言うのは、何の説得力もないけどな!
ただそういうわけで、今は毎日毎日、新兵と弱卒兵を鍛えて鍛えて鍛え抜いている。
そっちではもう令和だよね?
だからさ、さすがにわかってるよ。
昭和のノリで練兵してないよ!
楽しく、優しく、時に厳しく。
訓練が終われば、俺と一緒に飯行きたい奴は行って、全奢りで飲み食いさせてる。
飯に行くのも強制じゃないよ。
俺も昭和の人間だったからさ、本当にあのノリが辛かったんだよね。
俺が思うによ、体は鍛えられても心は鍛えられないと思うんだよ。
そりゃあさ、全然鍛えられないこともないけど、人にはそれぞれキャパってものがあって、それを超える負荷を掛け続けると誰であっても壊れる可能性がある。
それを現代社会の人々も、もっと理解するべきだと思うけどな。
だから俺はしないって心に決めてるぜ。
それもあって今のジェンノ王国は今までと比べて、俗に言うホワイト企業になったと思うよ。
それは実際に古参や中堅の兵から声が上がってるらしい。
素敵なことだよね。
日々の練兵を繰り返していると、空気の読めないアイツが久々にやって来た。
「おうおう!やってんじゃねーか!俺も混ぜてくれよ、ザハル」
「お久しぶりですね。父上」
「久しぶりだな!いやーお前の所の訓練が面白そうだと聞いて、自分の隊を放り投げてパピーが来てやったんだぜ」
「そうなんですね。ただ、それは父上の職務を投げ出してサボってるということですよね?」
「まぁそうとも言うな!ワッハッハッハ!」
キアのイライラが犇々と伝わってくる。
これはいかん。
「捕らえて下さい」
「え?えーーー!?
な、な、何!?ザハル!待て待て待て!!」
「ジェンノ王国女王陛下の勅命を無視し、サボっていると言質が取れた以上は、流石に捕えるしかないでしょうよ」
「いやいやいや、待てって!」
「取り敢えず頭を冷やしてもらうために、牢に入れておいて」
「はっ!」
「ま、ま、待ってって!ザハル!いや、ザハルさま!待ってください!」
「なんですか?」
「直ぐに職務をまっとうするので!どうか辱めを受けさせないでください。
妻とエコーの汚点になっちまう!」
「そう思うんだったら最初からしっかりしてくださいよ。
解放していいよ」
「ふぅ……助かった」
「今後は言動を少し改めてください。エコーのためにもね。
危うく肉刑に処するところでしたよ」
「目が笑ってないじゃないかお前……
昔はあんなに可愛かったのに」
「父上……何の刑がお望みですか?」
「はっ!失礼いたしました!
直ぐ勅命に従います!」
「はーい。そうしてください。
あ、父上、エコーにこれを渡しといてください。こっちは父上の分で、こっちは母上にお願いします」
「うおぉぉぉーーー!!!超激レアな爆煙葉っぱじゃないか!
もらっていいのか!?こんな激レアな葉っぱを!」
「ええ、余るほどありますし。
また欲しくなったらいつでも言ってください。ただし、職務を全うすることが条件ですよ」
「勿論だとも!うわぁぁぁ、エコーも喜ぶぞ!ベリー用の菓子もこんなにあるのか!
暫くは楽しめるな!ありがとうザハル」
「いいえ。では、ちゃっちゃと行ってください。それとも私のザハルズブートキャンプ(ハードモード)で黄泉の国を体験したいなら、ここに居ててもいいですが」
父上はその言葉を聞くと瞬殺で帰って行った。なんでも、そのキツさをレーニアからチラッと聞いていたらしく、顔面蒼白になり腰を抜かしながら消えていった。
本当は真面目に鍛えたいとも思ってるんだけどね。
今の父上のやり方では、これ以上何も見込みがないからさ……
俺にとっては大切な父親だ。
無駄死になんてしてほしくないわけだよ。
別に死亡フラグを立てた訳じゃないからね。
あんなんでも、まだジェンノ王国では強い方なんだから。
でも最近は衰えて来てるかもね。
正直今ではディゼル君の方が圧倒的に強い。
ディゼル君は元々、親父の副将だったんだけどさ、メンタル豆腐だから俺が引き取ったわけさ。
親父の破天荒さに悩み倒してたからさ。
あんなグロッキーな顔を見たらさ、流石に申し訳なくなったよ。
しかしディゼル君は不思議なもんで、戦になれば鋼のメンタルに変貌する。
ちなみにディゼル君は今、俺が受けた勅命である練兵を手伝ってくれている。
現状のハートは鋼タイム中のようだ。
安心安心。
鎧を身にまとったら肉食系男子になり、鎧を脱いだら草食系男子に変貌するんだよね。
まぁいつもいつも一生懸命な男だから、俺も全力でサポートしてるんだけどね。
頑張りすぎて疲れないように、目を見張っておく必要もあるんだけどね。
まぁそんな訳で俺は来る日も来る日も連敗を繰り返し、約半年間に渡り全兵士の訓練が完了した。
全員が見違えるような強さと、イキイキとした顔に変わってくれた。
なんとか半年以内に練兵が完了して実に良かった。
近く大きな戦も起きるだろうしね……
俺は練兵終了を報告するために、レーニアの元へ訪れると、レジェンダが家畜……ではなく社畜と化して鬼のように働いていた。
「レーニア、終わったよ」
「ありがとう。意外と早かったわね」
「色々手伝ってくれた人達も居たからだよ」
「なによりだわ」
「ちょっとあんた!妾になんか変なスキルを付け足したでしょ!!」
「当然だろうが」
「なによ!何したのよ!もう仕事がしたくてしたくて仕方ないじゃないのよ!」
「いい事じゃねーか」
「よくないわよ!どんなに体が限界を告げてても、使命感で勝手に動いてしまうのよ!
地獄よ地獄!」
「まぁそれが社畜だからなー。
うん。頑張りたまえ」
「お願いだから解放してもらえませんか?」
「ちなみに残業時間どんくらい?」
「わかんないわよ!60時間は絶対やってるわ!」
「なんだ、まだまだじゃねーか。
俺が社畜してた頃は80時間を軽く超えてたぜ。
なので罰続行ってことで」
「ちょ、ザハル……私も学生だったから詳しい労働時間とか分かんないんだけど、60時間も結構なんじゃないの?」
「結構だよ。だけどコイツは、そもそも奴隷落ちしなかっただけでも感謝されるべき魔物なんだ。
高待遇な生活をしていて働き過ぎくらいで文句言っちゃいかん!
本当の地獄はサビ残80時間以上の猛者を言う」
「変態じゃないの!?そんな奴!」
「いや、別に変態なのはそいつではない。
会社だ」
「従ってる時点で変態よ」
「従わざる得ない状況とは考えられないオツムなんだな。お前って。だからダメなんだよ」
「私なら突っぱねるわ」
「じゃーこの状況を突っぱねてみろよ」
「出来ないから困ってるんじゃない!」
「過酷な労働を強いられてる人は、まさにお前と同じ状況にあるってことだ。
やはりお前はもう少し人の痛みを知るべきだ」
「始祖さま……」
「あんたも痛々しい目で見ないでちょうだいよ!」
「レーニア。俺はお前の勅命に従い任務を遂行したが、お前は何してたんだ?半年も時間があったのに、コイツはゴミのままじゃねーか」
「何を言っても聞いてくれないの」
俺は久しぶりに苛ついた。
「もういい。縛。衛兵!このネズミを俺の研究所へぶち込んどけ!」
「ちょ!何すんのよ!触れるな!妾に触れるな!」
「連れていけ」
「ザハル、そこまでしなくても……それに魔王軍らしき姿も最近目撃されてるし、今後必要な知識になるんじゃないの?」
「別部屋で情報を聞き出せばいい。仕事もそこでさせる。アイツは今までの行いに向き合い、地獄を見て心底反省する必要がある。
いくら始祖でも負の遺産は必要ない。
それよりお前の言う通り魔王軍なんだが、可能性は十二分にあるぞ」
「もし魔王軍が相手なら私も出ないとね。
あれを倒せるのは私しかいないから」
「いや、まだ出て来んだろ。もし出てきたら転移でお前を迎えに行く。
まだ極力出陣は避けろ」
「分かったわ。なに?心配してくれてるの?」
「う、うるせーなー」
「ふふ、照れちゃって、かわいい」
「やめろ恥ずかしい!」
と、まぁ冗談抜きで魔王軍・第三勢力・人の国・それぞれが何となく動きが活発化してきたように思う。
数年以内に大きな戦が起きるだろう。
エコーのエニリカスは間に合うのだろうか……
レーニアは生き残ってるだろうか……
親父やお袋は……
本当にいろんな思いが俺の頭の中をぐるぐると何重にも渦巻いている。
俺自身もう少しで身に付きそうなスキルがある。
その名もスキル剥がし。
相手のスキルを剥がして自分のものにするって技なんだけど、これゲットしたらレジェンダ消せるんだよなー……
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