レベルが上がりにくい鬼畜な異世界へ転生してしまった俺は神スキルのお陰で快適&最強ライフを手にしました!

メバル

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【青年期編】

【24】ネズミが知る世界の形

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 ゲージ……基、ハリネズミのお部屋は普通に豪華な部屋だった。
 なんだよ!高待遇じゃねーか!
 俺なんて1人部屋じゃねーんだぞ!
 ずっと嫁と一緒だしよ。

 なんか腹立つからネズミ駆除する罠でも部屋の至る所に配置しておこう。
 引っかかっていたがる姿を高みの見物とさせていただこうじゃないか!

 けどさ、ずっと引っかかってる事があるんだよね。
 アイツの言う全てが無駄になるって言い方。
 どういうことなのか、問いただす必要がありそうだな。

「ネズミー、ネズミは居るかねー?」

「ギャーイタタタタタ!助けてー!外してー!足もげる!」

「何だ居るじゃん。居るなら返事しろよ」

「あんたこの状況見て良く冷静に叱責できるわね!」

「トラップに引っかかるお前が悪い。
 自業自得だ」

「何が自業自得よ!あんたの仕業でしょうが!」

「そうだけど」

「そうだけど……じゃないわよ!
 外しなさいよ!」

「命令してんの?」

「後生だから外してください!」

「ちっ!しゃーねーなー」

 俺は内心、大爆笑していたんだよねー。
 笑いを堪えるのに必死だったよ。

 駆除成功してんじゃんって。
 おい、笑える。駆除されてる。笑える。

 ハリネズミの悲鳴を聞きつけた女王も登場し、鼻が爆発しそうなほど笑いを堪えてる姿が、また面白さを助長する。

「レ、レジェンダ様、だ、大丈夫ですか?」

「見てわかるじゃろ!大怪我じゃよ!」

「お前自然治癒持ってんだろ?
 さっさと治せばいいじゃねーか」

「持ってないわい!あのなぁそういうスキルってのは人知を超えたものしか、所持していない代物なんだぞ」

「魔物堕ちまでしても無能かよ」

「黙らっしゃい!」

「ねぇ、ザハル……治してやんな」

「えぇ~……」

「ではこうしましょう。女王命令です。
 ザハル・ジェンノに命ずる。始祖さまの怪我を今直ぐ責任を持って治癒しなさい」

「ちっ……仰せのままに」

 本当にしゃーなしだよ。しゃーなしに、こんなネズミに治癒なんて勿体ないの極みだ。

「えーっと、主……自業自得なのでは?」

「だってよぉ、治癒持ってると思うじゃん普通」

「ま、まぁ確かに。確かに想像以上に無能でしたね」

「はい、治癒完了。
 おい、ネズミ。丁度ここには機密事項を共有できる者達が勢揃いしてる。
 お前の言う、全てが無駄になるって話を聞かせてもらおうじゃねーか」

「ふぅ……足が取れるかと思ったわい」

「それと話すならキモいから人型で話せ」

「分かったわい!」

 こいつの人型の見た目は大体20歳前後、金髪で巻き髪のセミロングって感じだ。
 この世界では中の下くらいの見た目だと思われる。
 可愛いか可愛くないかで言えば可愛いんじゃない?ってくらいだ。

「んで、何で全てが無駄なんだ?何が起きるんだよ」

「あんたも知っての通りこの世界は、勇者と魔王の為に作られた世界と言っても過言ではないの。
 結局の所、善良な勇者が魔王に勝てば一時的にでも世界が平和になる。
 でもね、変な奴が勇者として認められ、魔王に勝ってしまった場合は、世界は魔王が居ないにも関わらず混迷を極めるの。
 勿論、魔王が勝った場合は例外なく街は焦土と化す」

「それで?」

「鈍いわねあんた!だから!結局同じことを繰り返すこの世界では、どんなに国を繁栄させても無意味ってこと!」

「それって別に転生前の世界もある意味では同じじゃないの?
 それに、誰も調和って方法を取らないで、そうなる事が当たり前って決めつけてるからじゃないのか?」

「それはそうなんだけど、それだけじゃないのよ。
 第三勢力がこの世界には存在するの。
 その名をオスクリダド。
 勇者でも魔王でも相手にならないほど強大な勢力。
 少数精鋭という話もあれば億単位の戦力があるとも言われる勢力。
 まさに真相は闇の中。
 妾も長いこと生きてるけど、見たことも遭遇したこともないわ。
 ただこれだけは言われてるの。
 絶対に遭遇してはいけない勢力で、会ったら最後。死が約束されてるわ」

「始祖さま……何なんですか、その勢力は……」

 なんとなく思い当たるフシがあるのはキアも同じだった。

「主、それって」

「ああ、間違いないだろうね」

「ねぇザハル、どうしよう……私、怖いわ」

「ん~、それ多分俺会ってるわ」

「えええーーー!!!」

「嘘でしょ!あんた!何で生きてんのよ!」

「生きてて悪いのかよ!いや、まぁ死にかけたよ。ガチで」

「そうですね。あれは強すぎましたね」

「何か喋ったの!?」

「喋ったと言うか、最初から目を付けられてるような感じだったなぁ。
 そいつは末端の使者だとは思うけど、クソ強かった。
 何か、あの方とか言ってたから、命令されて俺の実力を測りに来たって感じだったな。
 まぁギリギリ倒せたけど」

「え?」

「は?」

「ん?」

「いやいやいや!倒せたの!?倒せるの!?」

「あんたどんだけ化け物よ!聞いたことないわよ!」

「知らねーよ。
 でもまぁ……奴らはまた来るぜ。
 俺もその為にもっともっと強くならないとなぁ~」

「なに楽しんでんのよ」

「楽しいとは少し違うかな。
 ただ、俺ももう黙っちゃ居られないだけだよ。
 仲間を殺されたからな。
 奴らが何であろうと、俺は奴らを許さない」

「ザハル……」

「安心しろレーニア。王国に迷惑がかかるような真似はしない。
 あくまでもこの問題は俺とオスクリダドって勢力の問題だ」

「あんた頭のネジあるわけ?
 イカれてるわ、完全に」

「自分の無能に気づかず、忠臣を全部失い、国・国民・友・家族の全てを捨て、魔物堕ちした貴様には言われたくない!
 これ以上俺に舐めた口を聞くならば、この場で消し炭にしてやるが、それが貴様の本位か?」

「悪かったわよ」

「次は本気で殺す。
 忘れるな……俺は友や家族を侮辱されることは好きではない」

「はい。すみませんでした」

「ザハル……始祖さまも悪気はないと思うの」

「悪気があろうとなかろうと、言葉には物凄い力があることを、コイツは知るべきだ。
 ただ長く生きただけ。中身は子どものまま。
 言葉ってのはな、人を笑わせることもできれば、人を幸せにすることも出来る。
 ただその反面、人を不快にする事もできれば、人を殺すことだって出来るんだ。
 コイツはもっと、こういう基本的な所から学び直す必要がある」

「そ、そうだね……ザハルの言う通りだよ」

「おいレジェンダ。お前はこれからレーニアから教養を学べ。人として、始祖として、もっと人に愛される存在になれ」

「はい」

 完全に意気消沈しているネズミ。
 これで少しでも変われるといいよね。

「さて、話も終わったし、俺は……」

「あ、ザハル!ちょっと待った!」

 俺の自由な行動を察したレーニア。

「ん?なにかな?」

「あんた、またどっかに出かけようとしたでしょ?」

「いや、まぁそんなことはないとも言える」

「あのね、軍の演習をしてくれない?
 最近兵が増えてありがたいんだけど、まだまだ軟弱でね。
 育成にはすごい時間がかかると思うけどさ、私は女王で忙しいし、始祖さまのお勉強タイムもあるし、あんたは暇でしょ?」

「暇じゃないわい!俺はあくまでも自分の労働時間内に全ての仕事を終わらせてるだけだぞ」

「知ってるよ。だからこそ、手が空いてるよね?」

「プライベートの充実を求む」

「じゃあ仕方ないわね」

「ホッ……」

「ジェンノ王国女王陛下の名の下にザハル・ジェンノへ命を下す!
 我が国の全兵を鍛え直しなさい!」

「えーーー!!!どんだけ時間がかかると思ってんだよ!」

「女王の命に従わないとでも?」

「クソきたねー……身命をとして女王の命に従います」

「うん!よろしい!」


 二人っきりの時は実に可愛らしい女ではあるが、レーニアには2面性がある。

 そう、我が国の女王は、ドSである。
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