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【青年期編】

【21】ダンジョン探索再開と女王からのおつかい(終)

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 ――70階層ボス部屋前――

 集ったチャレンジャーたち。
 恐らく、いや間違いなく現状でこの世界に置ける最強戦力。
 客観的に見ても圧巻の絵面。
 自分を含めた周囲にいる仲間たちを見渡し、俺は羊羹を左手にタバコを右手に持ち少し物思いにふけっていた。

「うーん。中々圧巻な絵面だな。
 本日の羊羹とタバコがより一層美味く感じるぜ」

「えっと、ザハルさぁ。
 この圧迫したメストを何も感じないの?」

「手応えありそうな奴が出てきそうだな。ってくらいには感じるぞ」

「はぁ……一体君はどこまで強くなってるんだい。
 僕たち魔物は押し潰されそうだよ」

「この中で一番レベルが高い私でも、マイム、同じ気持ちよ。
 これは化け物よ」

「同じくだ。
 最初に会ったときからお前の強さは異次元だっだが、成人してより一層つよくなってるな。
 末恐ろしい人間だよ、お前は」

「マイム、さっき言ったことを覚えてるな?」

「うん。
 手出し厳禁だね」

「まぁそんな感じだ。
 恐らくここのボスは本来の階層ボスではない。
 お前たちの言う別勢力である可能性がある。
 無用なトラブルは避けとけ」

「かしこ」

「よし!一服も終わったことだし、やるとするか!」

 俺はそう言い終わると、ボス部屋に手をかけ一気に開いた。
 中に居たボスは明らかに今までの復習として出て来るような相手ではなかった。
 思った通りだ。だが……

「ん?なんだコイツ。
 ハリネズミ?これ絶対ハリネズミだよね」

「そうですね。
 カフェとかに居そうな感じですね」

「いや、居るんだよ。日本では。
 えーとこれ、何か色々思うところもあるんだけど、コイツと戦う理由が俺にはなくなったんだが……」

「ん?どうしてですか?」

「うんとな。おい、ネズミ!お前喋れるだろ!
 なんか話せ」

「何というお下品な冒険者なんですこと」

「やっぱり……」

「どういう事ですか?」

「えーとな。これだよ。探してたやつ」

「え?」

「だから、コイツがレジェンダだ」

「えー!?ハリネズミが!?」

「あんた達さっきからハリネズミ、ハリネズミ五月蝿うるさいわね!
 そうか、あんた達も転生者ね。
 そしてあんたは王国に関わる人間ってとこかしら?」

「ああ。そうだ。
 妻が女王って事で一応王国の一族ってことになるな」

「なんだ。ただの種馬たねうまね」

「言い方がクソ腹立つけど、間違ってもない」

「あんたさぁ、この世界が一体どんなものなのか分かって生きてるの?
 どうせ何も知らず女王を娶り、何にも考えずに生きてる口でしょう?」

「何にも考えてねー訳ではねーが、確かにお前の言う通り、第二の人生は好き勝手思う存分に生きてやろうとは思ってるな。
 だが、自分が考えてる以上に思った通りには進まず、気付いたら勇者と関わり、気付いたら魔物の仲間達が出来て、気付いたら同じ転生者で勇者の女王と結婚していた感じだ。
 本位ではないが、なってしまったものは今の状況をしっかりと受け止め、守るべきものを守り、それを含めて自分の人生を楽しめればと考えてる」

御託ごたくを……それだけの力を持っていながら、無駄に過ごすことは大罪と知るがいい」

「うるせーよ。
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「減らず口を。
 確かにお前の言う通りだ。
 当時の王国を守る為に圧倒的な力が必要だった。
 しかし、転生者にも関わらず、大した能力も与えられず苦労した記憶しかない。
 与えられた能力は、どんなに痩せた土地でも食材を栽培できる能力だけだった。
 使えるタイミングなんて限られてる。
 これが使えても強国になんでできない。
 強国にしたところで勇者しか倒せない魔王が現れ、勇者が負けて死んでしまったら、また全てをリセットされる。
 お前にこの地獄が分かるか?
 この無駄な無限ループに何の意味がある?
 だから私は圧倒的な力を求めた。
 お前の言うレジェンダを生贄にしてな」

「あのさ、御託はいいとか、減らず口を叩くなとお前ごときに度々言われてるんだけどさ、それこそ御託はいいからよ、さっさと始めないかい?
 結局お前がここに居座ってる以上は先に進めないし、俺はレジェンダを連れて帰らないといかんし、お前の話長いし。
 だからさ、さっさと死合しあおうや」

「よかろう。
 貴様を殺し肉を喰らい私はさらなる高みへ上り詰めるとしよう」

「先に言っとくわ。お疲れ」

「いいだろう。ならば貴様に最大の敬意を込めて最初から全力で相手をしてやろう。
 実に200年ぶりに本気を出せる相手と認められたことは、貴様の誇りに思っていいぞ」

「はいはい。よし。準備完了。
 キア、皆のことを宜しくな」

「承知しております。
 主、どうぞご存分に」

「ああ」

 この会話を最後にハリネズミの気配が変わり人型に変化した。
 見た目は人の背中に針がいっぱい付いてるだけ。
 なぜこの見た目を選んだんだろう、こいつ。

 そう考えていると背中の針を1本抜き、剣として再利用するようだ。

 うん、まさにSDGsだね!

 どのくらい強いのか大体分かるけど、敢えて俺も全力で戦うつもりだ。
 というか、久しぶりのガチ戦闘で恐らく手加減が出来ない。
 というのが本音である。

 俺は来る前に王宮で食ってた団子の棒を不意に取り出し、スキルで強化と延長をし1本の木刀を作り出した。
 木刀なんだけど、超鋭利に作ったからスパンといきまっせ。

 両者は睨み合うことなく激しい打ち合いが始まった。
 少なくともレベル150以上の者同士が打ち合うスピードは音速を超え、仲間の魔物たちには全く目で追えない事は当然ではあるが、キアにもまた同じことが言えた。

「なんというスピードと音。
 マイム、クラーヌ、ナスビ!
 全員魔物化に戻り、防御だけに専念しなさい!
 一撃でも当たれば即死します!」

「わかった!皆急いで!
 僕が回復もできる五重ごじゅうシールドを張るからナスビは鋼糸を何百にも重ねて張り巡らせて!
 広くなくていい!狭くていいから!
 クラーヌは全ての防御壁に再生スキルを!」

「分かったわ!」

「分かったぞ!」

「マイム、いい判断です。
 では私も。反鏡防壁カウンターシールド

 反鏡防壁はキアの得意スキルである。
 全ての攻撃は鏡に反射され全て攻撃者にカウンターとして跳ね返る。
 これもチートスキルに違いないが、それでもキアは不安を消せずにいた。


 “主の攻撃は跳ね返せない”


 キアはザハルの一部でもある。
 いわば一体なのである。それゆえに跳ね返す事は即ち自分にも当たるということになる。
 なのでキアは魔物たちに反鏡防壁を張り、自身は分身を消しザハルの体に戻る判断をした。
 これにより魔物たちは120%の安全が約束された。
 圧倒的ファインプレイ!


 その間も戦闘は激化を増し、いつの間にかハリネズミは二刀流になっていた。
 一方ザハルは色んなスタイルの剣術を試していた。
 フェンシングスタイルだったり、侍スタイルだったり、西洋スタイルだったりなど。
 ザハルはある意味で全力戦闘をしていた。
 ある意味でね。

 ハリネズミは追い詰められていた。
 どう動いても、変化を加えても全く通用しなかった。
 レジェンダを生贄にしてまでも手にした身の丈に合わぬ力。
 ハリネズミの心は完全に折れてしまった。

「ん?もう終わり?」

「なぜだ……なぜ!何も通用しない!
 なぜ何も出来ない!全てを捨ててまで手にした力なのに!
 私の思いはなんだったのだ……」

「何って、お前がボンクラだった。ってだけだろうよ」

「なんだと!?」

「お前さぁ、お前にとっての力って敵と戦うことだけが力なの?
 どんなに世界がリセットされてもさ、土地を肥やしてどんなものでも食材を作れるスキルなんて、相当な神スキルだぞ」

「それでは敵国に対抗出来ぬではないか!」

「だまらっしゃい!クソハリネズミ!」

「クソ!?」

「なぜ食材が豊富な大国として確立しなかった?
 戦が続く世界において、食材は何より人の命を繋ぎ止めるピースだ。
 お前がそう考えて行動していれば、無血で降伏させることも容易だったはずだ!
 何より国民が飢えで苦しむことも無かっただろう。
 現女王の父である先王の時代から、ようやく少しずつ配給が進み出してきているが、まだまだ国民全員に行き届いていない。
 お前が馬鹿な道に走らなければ、今この国の人々は笑顔に満ち溢れていただろう!
 人は食べることで肉体的にも精神的にも生気に満ち溢れるものだ!
 お前は俺に大罪を犯してると言ったな?
 だが俺から言わせてみると、人々から食を奪ったお前こそ世界の大罪人だ!
 恥を知れ!!」

「ならば私はどうすればよいのだ。
 もはや人間でもなくなった私に何が出来るというのだ」

「戻ってこい。魔物になっても地上に出れる。
 こいつ等がそうだ。
 それにお前は元々階層ボスじゃねーだろ?
 いつでも出れんじゃん」

「戻ってもよいのか?迷惑にならんか?」

「お前が災いを齎すならば俺が止める。
 お前は逆立ちしても俺には勝てんしな」

「そ、そうじゃな。確かに勝てん。
 そち、名前は何と申す?」

「ザハル。ザハル・ジェンノだ」

「ジェンノ……懐かしい響きじゃ。
 妾の名は、いや、もうどうでもいいことだ」

「そうだな。ハリネズミでいいんじゃね?
 だってハリネズミだし」

「アッサリとした冷酷無慈悲な事を言う奴よ」

「うるせーよ。さぁ行くぞ。
 皆も一旦戻るぞー」

「オッケー」

「お前さぁ実際の小動物ハリネズミくらいに小さくなれるわけ?
 そのデカさ転生者としては、ただのホラーなんだけど」

「そんなもの朝飯前よ」

 ハリネズミはそう言い終わると、ちんちくりんの小動物にまで小さくなった。
 イメージとしてはカフェなどに居るサイズね。

「その前に71階層に踏み入っとこう」

 その後俺たちはボス部屋を出て71階層を踏破しダンジョンを後にした。
 そうしないと、またボス部屋からスタートになるからね。
 仲間の成長を促す意味を込めればボス部屋からスタートする方がいいんだけど、面倒じゃない?
 理由はそれだけさ。

 その後、マイムたちはシガレット領の森に戻って行った。
 ちなみに俺はネズミが苦手なのでキアに人型化してもらいキアの肩にハリネズミは乗り王国への帰路に着いた。
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