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【青年期編】
【19】ダンジョン探索再開と女王からのおつかい(前)
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レーニアと結婚し数日が経っていた。
まだ喪が明けてないので披露宴はできていない。
なので、その間は特に重要なことも無かったので、久しぶりにダンジョン探索と洒落込むことにした。
そうだ、結婚してからの俺はというと、プライベートタイムは妻と楽しく過ごしつつ、あまり以前と変わらずラフな生活をしている。
所謂、仕事タイムでは女王を支える寡黙で漆黒のザハルというポジションに収まっている。
女王配下の将たちには威厳を保ち、自身は女王を公私ともに支える忠実な側近という名目で知れ渡っている。
恐らくこの認識でいてもらうのが、国にとってもレーニアにとっても1番納まりがつくというところだろう。
うん。好きにしてくれ。
肩書など興味がない。
そんなことより数年ぶりのダンジョン探索だ。
正直ワクワクが止まらない。
マイム達を連れて久々にダンジョンに潜る画策をしていると、レーニアに感付かれてしまった。
気配を消せる俺としたことが、どうやら楽しみになり過ぎですっかりスキルを発動することを忘れていたようだ。
凡ミスしちまった。
「何ソワソワしてんのよ。
あんたまさか1人でダンジョンへ行く気でしょう!」
「い、いや……そんなことないよ」
「絶対そうでしょ!あんたが、そんな穏やかな話し方してる時は何か隠している時以外ないじゃない!
大体あんた分かりやすいんだから、隠しても無駄よ。
それに私には”見抜く者”ってスキルがあることも忘れないでね」
「そうだったー!
あ、いや、行かないよ。
行かない。うん。行かないんじゃない?」
「なんで疑問形になってんのよ!
もうブレブレじゃない!
はー……もういいわ。貴方にもたまには息抜きが必要よね。
じゃあ1つだけ私からの依頼みたいなものを受けてくれない?」
「ん?なんだね?」
「私のお祖父さま時代、魔王軍に奪われたっていうジェンノ王国の国宝があるの。
名をレジェンダ。
どんな物か実物を見たことがないから良く分からないんだけど、王家に纏わる人なら自然と理解できるものらしいの。
もし見つけることができたら、取り返し的て欲しいのよ」
「自然と理解できるて……
ヒントゼロでどうやって見つけんだよ。
まぁいいや、もし見つけたら奪っていてやるよ」
「ありがとう。私や当然だけど、お義父さんたちのレベルでは太刀打ちできないって聞いてるわ。
あんたは大丈夫って分かってるけど、一応気を付けてね。
居なくなられると……」
「大丈夫だ。
俺は居なくならない。
お前は公務と勇者の仕事をしていろ。
レジェンダの件、引き受けた」
「うん」
「あ、そうだ。
俺がいない間、お前の護衛は必要か?
必要ならキアの分身を置いていくぞ」
「え?キアちゃんの分身?
もし付けてくれるなら、それほど心強いことはないけど……いいの?」
「ああ」
俺はキアに護衛の件を伝えキアの分身をレーニア専属護衛として配置し、俺はマイムたちの元へ向かった。
マイムは俺の姿に気付くと、物凄い爽やかな笑顔で手を振ってきた。
本当にまぁイケメンな姿で羨ましい限りだよ。
中身が魔物なのにイケメンって、やっぱり卑怯だよね!不公平だ!
俺は何か腑に落ちない気持ちを堪え、皆と懐かしのダンジョン探索へ向かうのである。
思えば50階層ボスのエグい相手と戦って以来だなー。
あれは半端なかった……
やって参りました!51階層!
と、息巻いて入ったはいいものの、あくまでもイレギュラーが起きたのは階層ボスだけであり後の階層に出現する魔物は至って普通の魔物であった。
全く持って張り合いのないというか、普通すぎて、弱すぎて面白みを見いだせず、そのまま60階層の階層ボスまで到達してしまった。
うん。俺たち全員が強くなり過ぎてしまったようだね。
これ、ワンチャンだけどさマイムだけとか、魔物単体で勝てちゃうんじゃないの?
って思ってたけど、そこは流石の階層ボス。
まだまだ魔物単体では相手にもならない御様子。
とはいえ、マイム・クラーヌ・ナスビッチの3体で戦いジェット◯トリームアタックならぬコンボを叩き込み、ボスを瀕死のところまで追い詰めることができた。
上々!
後は任せんしゃい!
凄く弱いと言ってしまったけど、アイツ等が3体で戦っても倒せない相手と考えれば、まぁやはりそれなりに強いのであろう。
王国にいる部隊が全軍で戦っても人間たちでは即死だろうなー。
そう考えれば、強いと言っていいのかもね。
対レーニアだったらどうかなー……
まだまだ良くて五分ってところかもね。
「はい、皆ご苦労さま。取り敢えず、そいつを喰って次に進むよー」
「らじゃー」
といっても、まぁまぁデカい。
ビッチの魔物体型時と比べても3倍くらいある。
ちなみにビッチの魔物体型時は2m程あるから、アイツもまたデカい部類に入る。
言うてデーモンスパイダーが元の種類だから、そりゃデカくても不思議ではない。
実際このダンジョンが何階層まであるのかしらんけど、仮に100として、一応のハーフ階層までは終了したことになる。
現在俺たちは65階層まで進んでおり、階層にいる雑魚魔物がグンと強くなった。
64階層まではあんまり変化を感じなかったんだけどね。
しかし本当にまぁレジェンダだっけ?
欠片も見つかる気がしないんだけど。
絶対深い階層にないでしょ!
今回は現実世界で24時間、ガッツリ潜るつもりなのでちゃんと探すけどさ、絶対ないやろ!
そもそも魔物に奪われたって、魔王軍の話だよね。
ダンジョン関係あるのかい?って話になるよね……
まぁいいや。
レジェンダは後回し。
どんな物体かも知らんし。
そもそも物体かどうかも怪しいし。
今回はアイツらの活動限界まで探索を続ける。
それを最優先事項としてダンジョン探索を続けることにしよう!
うん。
レジェンダなんて知らね。
まだ喪が明けてないので披露宴はできていない。
なので、その間は特に重要なことも無かったので、久しぶりにダンジョン探索と洒落込むことにした。
そうだ、結婚してからの俺はというと、プライベートタイムは妻と楽しく過ごしつつ、あまり以前と変わらずラフな生活をしている。
所謂、仕事タイムでは女王を支える寡黙で漆黒のザハルというポジションに収まっている。
女王配下の将たちには威厳を保ち、自身は女王を公私ともに支える忠実な側近という名目で知れ渡っている。
恐らくこの認識でいてもらうのが、国にとってもレーニアにとっても1番納まりがつくというところだろう。
うん。好きにしてくれ。
肩書など興味がない。
そんなことより数年ぶりのダンジョン探索だ。
正直ワクワクが止まらない。
マイム達を連れて久々にダンジョンに潜る画策をしていると、レーニアに感付かれてしまった。
気配を消せる俺としたことが、どうやら楽しみになり過ぎですっかりスキルを発動することを忘れていたようだ。
凡ミスしちまった。
「何ソワソワしてんのよ。
あんたまさか1人でダンジョンへ行く気でしょう!」
「い、いや……そんなことないよ」
「絶対そうでしょ!あんたが、そんな穏やかな話し方してる時は何か隠している時以外ないじゃない!
大体あんた分かりやすいんだから、隠しても無駄よ。
それに私には”見抜く者”ってスキルがあることも忘れないでね」
「そうだったー!
あ、いや、行かないよ。
行かない。うん。行かないんじゃない?」
「なんで疑問形になってんのよ!
もうブレブレじゃない!
はー……もういいわ。貴方にもたまには息抜きが必要よね。
じゃあ1つだけ私からの依頼みたいなものを受けてくれない?」
「ん?なんだね?」
「私のお祖父さま時代、魔王軍に奪われたっていうジェンノ王国の国宝があるの。
名をレジェンダ。
どんな物か実物を見たことがないから良く分からないんだけど、王家に纏わる人なら自然と理解できるものらしいの。
もし見つけることができたら、取り返し的て欲しいのよ」
「自然と理解できるて……
ヒントゼロでどうやって見つけんだよ。
まぁいいや、もし見つけたら奪っていてやるよ」
「ありがとう。私や当然だけど、お義父さんたちのレベルでは太刀打ちできないって聞いてるわ。
あんたは大丈夫って分かってるけど、一応気を付けてね。
居なくなられると……」
「大丈夫だ。
俺は居なくならない。
お前は公務と勇者の仕事をしていろ。
レジェンダの件、引き受けた」
「うん」
「あ、そうだ。
俺がいない間、お前の護衛は必要か?
必要ならキアの分身を置いていくぞ」
「え?キアちゃんの分身?
もし付けてくれるなら、それほど心強いことはないけど……いいの?」
「ああ」
俺はキアに護衛の件を伝えキアの分身をレーニア専属護衛として配置し、俺はマイムたちの元へ向かった。
マイムは俺の姿に気付くと、物凄い爽やかな笑顔で手を振ってきた。
本当にまぁイケメンな姿で羨ましい限りだよ。
中身が魔物なのにイケメンって、やっぱり卑怯だよね!不公平だ!
俺は何か腑に落ちない気持ちを堪え、皆と懐かしのダンジョン探索へ向かうのである。
思えば50階層ボスのエグい相手と戦って以来だなー。
あれは半端なかった……
やって参りました!51階層!
と、息巻いて入ったはいいものの、あくまでもイレギュラーが起きたのは階層ボスだけであり後の階層に出現する魔物は至って普通の魔物であった。
全く持って張り合いのないというか、普通すぎて、弱すぎて面白みを見いだせず、そのまま60階層の階層ボスまで到達してしまった。
うん。俺たち全員が強くなり過ぎてしまったようだね。
これ、ワンチャンだけどさマイムだけとか、魔物単体で勝てちゃうんじゃないの?
って思ってたけど、そこは流石の階層ボス。
まだまだ魔物単体では相手にもならない御様子。
とはいえ、マイム・クラーヌ・ナスビッチの3体で戦いジェット◯トリームアタックならぬコンボを叩き込み、ボスを瀕死のところまで追い詰めることができた。
上々!
後は任せんしゃい!
凄く弱いと言ってしまったけど、アイツ等が3体で戦っても倒せない相手と考えれば、まぁやはりそれなりに強いのであろう。
王国にいる部隊が全軍で戦っても人間たちでは即死だろうなー。
そう考えれば、強いと言っていいのかもね。
対レーニアだったらどうかなー……
まだまだ良くて五分ってところかもね。
「はい、皆ご苦労さま。取り敢えず、そいつを喰って次に進むよー」
「らじゃー」
といっても、まぁまぁデカい。
ビッチの魔物体型時と比べても3倍くらいある。
ちなみにビッチの魔物体型時は2m程あるから、アイツもまたデカい部類に入る。
言うてデーモンスパイダーが元の種類だから、そりゃデカくても不思議ではない。
実際このダンジョンが何階層まであるのかしらんけど、仮に100として、一応のハーフ階層までは終了したことになる。
現在俺たちは65階層まで進んでおり、階層にいる雑魚魔物がグンと強くなった。
64階層まではあんまり変化を感じなかったんだけどね。
しかし本当にまぁレジェンダだっけ?
欠片も見つかる気がしないんだけど。
絶対深い階層にないでしょ!
今回は現実世界で24時間、ガッツリ潜るつもりなのでちゃんと探すけどさ、絶対ないやろ!
そもそも魔物に奪われたって、魔王軍の話だよね。
ダンジョン関係あるのかい?って話になるよね……
まぁいいや。
レジェンダは後回し。
どんな物体かも知らんし。
そもそも物体かどうかも怪しいし。
今回はアイツらの活動限界まで探索を続ける。
それを最優先事項としてダンジョン探索を続けることにしよう!
うん。
レジェンダなんて知らね。
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