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無価値と言われた人間の息子が有能過ぎでした

【4】圧巻の秀光

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 秀光の攻撃は厄災ジルエドに全く効いていない。
 逆にジルエドの攻撃で簡単に秀光は吹っ飛ぶ。
 端から見れば、秀光劣勢は火を見るより明らかであった。
 だが秀光は驚異的なモンスターである、厄災ジルエドを前に全く怯んではいなかった。
 それどころか少し笑っているように見えた。

『秀光、何故余裕をかましてる……あれは、化け物だぞ』

『そうだね。
 でもね、何かウズウズして堪らないんだ。
 俺にとって初めての強敵だろ?
 負けるかもしれない相手って考えると、何処かで《それはあり得ない》って自分が生まれるんだ』

『全く……やっぱりお前は健汰の息子だよ。
 冷静ながらも熱い闘争心、末恐ろしいが、実に頼もしい』

『そうかな?自分では分からないよ。
 ただ、こいつの動きには慣れてきた。くー、終わらせようか』

 そう言うと秀光は紅羅真に膨大なオーラを流し込んだ。
 紅羅真が紅蓮を纏い輝きだし、秀光自身も紅蓮のオーラを纏い紅羅真と一体化した。
 これにより、秀光の意思で自在に紅羅真が攻撃出来るようになった。
 15歳の時に秀光が編み出した奥義である。
 健汰の眷属神たちと手合わせを繰り返していたが、奥義を見せた事は1度もない。

 理由は簡単である。奥義を使えば、ルドラを除いて眷属神でも秀光に勝てないからである。

 勿論、アルテやビバルにも奥義を見せたことがなかった。
 ジルエドが姿を見せたときに秀光は奥義を実践で使いたくなったのである。
 故に、神界へ帰し今の状況を作り上げたのである。

『久しぶりにこの姿になったね。
 この程度の相手なら2割程度の力でいいだろう。
 くー、紅蓮攻撃アル・アングリフ!』


 言葉を持たず理性がないジルエドが2人の姿を見て圧倒的な恐怖により動きが止まってしまう。
 何も出来ず紅蓮攻撃を全て受けてしまい、外皮は剥がされ核を潰され消滅した。
 完全な消滅を確認し秀光は一体化を解いた。
 直後に、アルテとビバルが毒耐性のあるウランを連れて戻ってきた。

『え?
 秀光……まさかジルエドを1人で倒しちゃったの??
 毒は大丈夫??』

『うん。大丈夫だよ。
 ウラン叔母さんが来るとは思わなかったよ』

『秀光、大丈夫?』

『秀光、大事ないか?』


『ああ、問題ないよ。
 全て消滅させた。
 それよりさぁ、考えたんだけど……調査するより不穏分子は全て撫で斬りでいいんじゃないかな?
 恐らく調査しても何も出ないし、ジルエドが出てきたタイミングも抜群に丁度いいよね?絶対変だよ』

『そうだな、俺もその考えに賛成だ。アルテはどうだ?』

『うん。そうしよう』

『じゃー決まりだな。
 って事になったから、ウラン叔母さん、父さんに伝えといて。
 それと、魔人族の反乱に叔母さんは関係ないから……元気だしてね』

『フフフ。ありがとう。
 秀光……健太には、私から報告しておくから安心しなさい。
 秀光、ビバル、アルテ、紅羅真、宜しくね』

『ウラン!大丈夫かい??迎えに来たよ!』

『ダーリン大丈夫よ。
 迎えに来てくれてありがとう。戻りましょう』


 ウランとラスクは滞在時間5分程度で神界に戻っていった。
 その道中でウランとラスクは今回の秀光たちの事を話していた。

『ウラン、秀光はどうだった?』

『うん。合格ね。
 あの子はハッキリ言ってルドラ級に強いわよ』

『ビバルとアルテは?』

『ビバルは頭脳派ね、お父さんは、この世界のバカ代表なのに……不思議なものよね。
 アルテは集団戦闘を得意とするでしょうね』

『流石だね、あの短時間で、そこまで見抜くとは』

『ほんと、末恐ろしい子たちだわ。
 あ、ダーリン早く戻らないと!
 今日は孫の授業参観に行く日よ!』

『じゃあ皆、準備はいいかな?
 もう、面倒だから、魔人族の領域に乗り込もう』

『よし、行こう!』

『さっさと終わらせて神界に戻りましょう!』
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