亜人種と俺

メバル

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【2】エルフと人間の挙式

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 嘗てエルフと人間が結婚した例はあるのだろうか?

 体も癒えてボイルに連れられレイグの背にスレイと乗せられた。
 どうやら人間のような式ではなく山の神に元に行き、お互いで汲んだ水を交換して飲むと儀式で終了だそうだ。
 これは山の神への報告にもなっているらしい。
 知らないので言われるがまま着いていく。

『ドラゴンって早いなぁ。それに風が気持ちいい。もう山を2つも越えたよ』

『そうか気持ちよくてなによりだ。
 あと2つ程越えた所にある。
 そこには危険な魔物もいるが安心せい。
 我とボイルが居るからの』

『建琉、体は大丈夫?寒くない?』

『うん、大丈夫だよ。ありがとう』

『くー!見せてつけてくれるじゃねーか!
 俺も早く伴侶が欲しいものよ!レイグも嫁さんいるしなー』

『ボイルなら大丈夫だよ。
 君は優しくて猛々しいから直ぐに見つかるよ』

『おまえに言われると不思議と、そう思えてくるな。
 ありがとな』

『そろそろ降りるぞ。我も竜人型になるかの。
 100mくらい先に見えるのが儀式の場所だ。
 我はダークドラゴン故にあの場所には近づけん。
 後ろは任せろ、ボイル、建琉とスレイを頼むぞ』

『わかっている。さぁ行こう。
 よし、まずは二礼するんだ。では跪いて水を汲め。
 お互いで汲んだ水を交換しろ。それを3回に分けて飲み干すんだ。そのまま立ち上がり一礼するんだ。
 うん、これでお前たちは夫婦だ』

 時間にして5分程だっただろうか。
 だが、その1つ1つに重みを感じた。俺の寿命が尽きるまで……
 いや、尽きても愛し続けると自分に誓った。

『スレイ1秒でも長く一緒に生きようね』

『うん。建琉と出会えて幸せです』

『戻ろうか。おい!レイグ戻ろう!』

『わかった、雑魚は一掃した。こいつら帰って食おう』

 レイグはまた巨大なドラゴンになり戻っていく途中、赤竜が飛んできた。

『おう、ルージュか!引っ越しの準備は終わったのか?』

『はい旦那様』


 ならば共に参ろう。
 卵もそろそろ羽化しそうだな。
 我らの子が待ち遠しいのー。
 名は男ならぱヴァイスとルドラがいいのー。
 紹介が遅れたな。この男は人間ではあるが害はない。
 我が親友であり義兄弟だ。
 建琉よ、こっちの赤いのは我妻ルージュだ。
 仲良くしてやってくれな。

『奧さんか。子供はいつ生まれそうなんだ?』

『もうあと、数日よ。さぁもう着きそうだ。下に降りるぞ』

 村人たちが拍手で歓迎してくれた。
 嬉しかった。何もかもが初めての経験。
 建琉は生きていることの喜びを初めて知ったのである。
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