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「咲、これが本場インドのカリーだ!! 物凄い匂いだが食べてみよう!!」
「なにやら色といい香りといい凄いですねコレ! 横須賀で口にしたカリーとはまるで別物。どんな味がするのやら」
またアカギさんが変わったものを家に持って帰ってきました。全く本当に探究心の塊なんだからっ。
「あまり、旨そうには見えないよな?」
これは食べ物なのかなんなのか。茶色いような赤いような黒いような液体というか、んー、なんと説明して良いやら……。説明するのも難しい。
「では、いただきます」
スプーンですくって二人同時に本場インドのカリーとやらを食べてみる。
「……辛い!!」
アカギさんが大声を上げた。そうかしら、私にはあまり……ぃぃいいいい後からジワリジワリとやってきましたああああ~!
「かっ、辛いいいいいい~!! アカギさん、お水を下さいまし~!! これはまたワサビとは違った辛さですね!!」
「辛いぞコレー!! おお、ほら!」
あわあわとしながらアカギさんがコップに水を注いで差し出して下さいました。ああ、水ってありがたい。火照った口の中が無事に冷えてくれました。
「はあ……。でもなんだか、これはこれでご飯の進みそうな味やも」
散々叫んだ後に言っても説得力に欠けるやもしれませんが、慣れてみると妙に癖になる味。辛いのに一口二口とまた口に入れてしまう。……しかし暑い!! 辛さに汗がどんどん吹き出てきます!! いけない、こんな汗を掻きながら食事する妻などアカギさんに嫌われてしまう。ハンカチーフで拭きましょう、パタパタと。
「む~……。しかし俺も同感だな。この辛さ、慣れたらなかなかだし、妙に癖になる」
あら、大変。貴方の方こそ凄い汗。その流れる滝のような汗を横から拭うとアカギさんは「すまない」と苦笑いした。
「ねえアカギさん、これは美味しい! 美味しいですよ! これもきっと広まる筈です!」
「だな。色々な組み合わせも出来そうだし」
「ブレッドと食べても白米と食べても、なんにでも合いそうですね」
「おお、ブレッドか! いいな、合いそうだ! その組み合わせは考えていなかった! ……ところで咲、明日どこかに出掛けようか? 休みが取れそうなんだ」
な、なんですって? 口をモグモグと動かしながらついでのように言ったアカギさんの言葉に胸が躍った。
「本当ですか!? それは嬉しい!! 是非に連れて行って下さいな!!」
嬉しいっ。アカギさんとお出掛けだなんて!!
「何処に行きたい? 昼は天ぷらそばでも食おう」
「ああ、いいですね! ……さて、どうしましょう、急に言われたものですから何も考えていませんで……。ん~、活動写真を見たい気も致しますし、呉服店を見たい気も。嗚呼、迷います!」
「ならば両方行こう! 一日を目一杯使おう! きっと楽しい!」
「ほんまですか!? 嬉しい!! アカギさんと活動写真に呉服店……!!」
「あまり構ってやれないからなあ。休みぐらい大事にしなきゃ逃げられてしまう」
私の肩を抱き寄せるアカギさん。そんな私が逃げるだなんて思ってもないくせに。
「何を申しますか。この咲がアカギさんの下を離れるなど考えられません。お慕い申しております、アカギさん」
大学にて初めて出会い、以来私は貴方様しか見ていない。貴方様も私だけを見てきて下さった。仕事は忙しいでしょう、でもそれは愛国心が故。貴方様は言った、日本をもっと住み良い国にしてみせると。誰も彼もが幸せに暮らせる国にしてみせると。
私は、貴方様のその真っ直ぐな志が大好きなのです。
「咲……」
って、まだ食事中なのに貴方という人は何故私を押し倒されるのですか!?
「あっ……アカギさん、そんないきなり、ああ……!」
求められること、実は満更でもない自分が気恥ずかしいです。
「なにやら色といい香りといい凄いですねコレ! 横須賀で口にしたカリーとはまるで別物。どんな味がするのやら」
またアカギさんが変わったものを家に持って帰ってきました。全く本当に探究心の塊なんだからっ。
「あまり、旨そうには見えないよな?」
これは食べ物なのかなんなのか。茶色いような赤いような黒いような液体というか、んー、なんと説明して良いやら……。説明するのも難しい。
「では、いただきます」
スプーンですくって二人同時に本場インドのカリーとやらを食べてみる。
「……辛い!!」
アカギさんが大声を上げた。そうかしら、私にはあまり……ぃぃいいいい後からジワリジワリとやってきましたああああ~!
「かっ、辛いいいいいい~!! アカギさん、お水を下さいまし~!! これはまたワサビとは違った辛さですね!!」
「辛いぞコレー!! おお、ほら!」
あわあわとしながらアカギさんがコップに水を注いで差し出して下さいました。ああ、水ってありがたい。火照った口の中が無事に冷えてくれました。
「はあ……。でもなんだか、これはこれでご飯の進みそうな味やも」
散々叫んだ後に言っても説得力に欠けるやもしれませんが、慣れてみると妙に癖になる味。辛いのに一口二口とまた口に入れてしまう。……しかし暑い!! 辛さに汗がどんどん吹き出てきます!! いけない、こんな汗を掻きながら食事する妻などアカギさんに嫌われてしまう。ハンカチーフで拭きましょう、パタパタと。
「む~……。しかし俺も同感だな。この辛さ、慣れたらなかなかだし、妙に癖になる」
あら、大変。貴方の方こそ凄い汗。その流れる滝のような汗を横から拭うとアカギさんは「すまない」と苦笑いした。
「ねえアカギさん、これは美味しい! 美味しいですよ! これもきっと広まる筈です!」
「だな。色々な組み合わせも出来そうだし」
「ブレッドと食べても白米と食べても、なんにでも合いそうですね」
「おお、ブレッドか! いいな、合いそうだ! その組み合わせは考えていなかった! ……ところで咲、明日どこかに出掛けようか? 休みが取れそうなんだ」
な、なんですって? 口をモグモグと動かしながらついでのように言ったアカギさんの言葉に胸が躍った。
「本当ですか!? それは嬉しい!! 是非に連れて行って下さいな!!」
嬉しいっ。アカギさんとお出掛けだなんて!!
「何処に行きたい? 昼は天ぷらそばでも食おう」
「ああ、いいですね! ……さて、どうしましょう、急に言われたものですから何も考えていませんで……。ん~、活動写真を見たい気も致しますし、呉服店を見たい気も。嗚呼、迷います!」
「ならば両方行こう! 一日を目一杯使おう! きっと楽しい!」
「ほんまですか!? 嬉しい!! アカギさんと活動写真に呉服店……!!」
「あまり構ってやれないからなあ。休みぐらい大事にしなきゃ逃げられてしまう」
私の肩を抱き寄せるアカギさん。そんな私が逃げるだなんて思ってもないくせに。
「何を申しますか。この咲がアカギさんの下を離れるなど考えられません。お慕い申しております、アカギさん」
大学にて初めて出会い、以来私は貴方様しか見ていない。貴方様も私だけを見てきて下さった。仕事は忙しいでしょう、でもそれは愛国心が故。貴方様は言った、日本をもっと住み良い国にしてみせると。誰も彼もが幸せに暮らせる国にしてみせると。
私は、貴方様のその真っ直ぐな志が大好きなのです。
「咲……」
って、まだ食事中なのに貴方という人は何故私を押し倒されるのですか!?
「あっ……アカギさん、そんないきなり、ああ……!」
求められること、実は満更でもない自分が気恥ずかしいです。
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