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四章
ハーレム×ラプソディ⑥(了)
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__ワァァァァ……ッ!!
戦いが始まってしまったか。
二人の決闘、気にならないわけではない。ここからだとすこし遠いな。
「みつけましたぁ!!」
城の屋上にて、なにやら再び来訪者だ。
エルフの精霊神フローラ。どうやら今度は本物みたいだな。
「ここにいたんですかぁ。はやく罵ってくださぃセツカちゃん。ふーちゃんだけ働きすぎて疲れちゃいました~!」
「どういうことか説明しろ」
「……こういうことですぅ」
「まさか!? かなりの時間が経過しているのに、間に合ったのか? ありえない。死んだ人間は……」
「対象は特殊な身体の持ち主ですぅ。欠片になった魔力を集め合わせました。やっと精霊神らしいこと、できましたかねぇ」
「よくやったフローラ。この豚野郎」
「はぁぁぁぁっ!? ありがたきお言葉ぁ!! 褒美としていつ妊娠させてくれますかぁ?」
「そんな約束できるか!! いちいちパワーワードをぶちこむな!!」
フローラが持ってきた『モノ』は、普通ならばとっくに消え去ってしまったはずの存在。
だが、ここにあるということは。
あるならできる。そう、『殺す』スキルをもつ俺ならば。
『殺す』スキル。世界の理を『殺し』破壊しろ。
今はたった一人の、笑顔を忘れた少女のために。
●承知しました。『殺し』ます…………。
・・・
決闘を終えて。
立ち上がったミリアはすっきりとした顔で微笑んだ。
体のあちこちが痛み、すこしも動かせそうにないや。
「……悔いはないや」
「どうぞミリアさん」
「レーネちゃん。ありがとう」
先に立ち上がっていたレーネに手を引かれ、ミリアは立ち上がる。
歓声と拍手につつまれ、会場が沸き立った。
まったく人ごとだと思って、勝手に盛り上がるんだから。
……なんでこんないい子と戦ってたんだっけ?
ミリアは考えてみても、答えがでなかったのであった。
ただはっきりとしたのは、想いの力で競り負けたということ。
そっか。この戦いはそういうの決めるために。
セツカの一番近くにいる資格を争って決める対決だったんだっけ。
あたしたち、たいへんなときなのに何やってんだか。
でも、決めないと前に進めないよね。おめでとうレーネちゃん。
「そっか」
結局、あたしはまた負けた。
あたしの人生は負けてばかりだね、お母さん。
「でも、あまりくやしくないかも(うそだ)」
「……?」
「レーネちゃんに負けたのならくやしくない(うそ)。心から認めるよ(うそだ……)。あなたがセツカの一番だって(ほんとにうそばっか)。あたしなんかより、レーネちゃんがセツカにふさわしい」
「あたりまえです。わかりきったことですよ」
辛辣な言葉がレーネの口から発せられる。
仕方がない。
あたしは負けたのだから。
ミリアは唇をかみしめ、ただ地面に涙をこぼし続けるのみだ。
しかしレーネ続ける。
「わたしが一番で、ミリアさんはその次です。この決闘で、はっきりときまりましたね? では、正式に家族になりましょう?」
「…………へ?」
……ちょっとまって。
ミリアはわけがわからないという顔であんぐり口をあける。
強い想いをぶつけあったんだよ?
負けたほうはすっぱり諦めるとかそういう話なのでは?
「フェネク族は、つよさでこどもをつくるじゅんばんをきめるのです。だから、ミリアさんはわたしの次ですね。これはあくまでわたしのいけんですので、ほかの女の子ともめると思います。そのさいはその方たちとも決闘をしてじゅんばんを勝ち取ってくださいね?」
「はい!?!?」
「あれ、言ってませんでした?」
「聞いてないよ!!」
「じゃあいま言います。ご主人さまと最初にけっこんできるのはわたし、そのあとがミリアさんたちです。たたかってきまりました。これは大切なきまりなのでおぼえておいてくださいね?」
「そんな…話だったの?」
「だって、ミリアさんは4年もご主人さまのそばにいてズルいし、そのせいで順番があやふやですし」
「ええええ!? つうか……ハーレムなのはいいの!?」
「は? なにをわけのわからないことを言っているのですか? ご主人さまの器なら、ハーレムをハーレムとはよびません。むしろハーレムを『殺し』て、日常にするとおもいますが?」
「うぅぅ……なんだろう同意しちゃうのがすごいくやしい。確かにセツカならハーレムを普通にこなしそうだわ」
「ね?」
「はぁぁぁっ。なんていうか……もう」
ミリアはふらりとめまいを引き起こす。
まさか殺し合いみたいな雰囲気で決闘をしたのって、ただの順番決めのため!?
ミリアはまさに命をかけたつもりで挑んだというのに、レーネは最初からそんなつもりなかったと?
ていうかハーレム黙認してたの!? どっしり構えすぎじゃない!?
正妻つええ……。純粋そうな顔で耳をぴょこぴょこ動かして顔をのぞきこんでくるレーネが一番ぶっとんでいた。
ミリアは考える。
他の女の子がセツカと仲良くするの、本当はちょっぴり嫌なんだけど。
でも、レーネちゃんたちに限ってはそんなに嫌悪感がなかったかもしれない。
むしろ、セツカとかわいい女の子たちに囲まれて逆にハッピーセット的な?
つまり、これって。
「あたし、なんだか深刻に考えすぎてた?」
「ミリアさんのいいところは、そういう明るいところですよ。ご主人さまもそんなミリアさんが好きなはず」
「そう……かな?」
「たいせつなはなしがあります。フローラさんがうごいてくれたんです」
「いったい何を……」
「ミリア」
聞き覚えのある声が、ミリアの耳に届けられる。
思わず振り向くと、そこには黒猫を抱くセツカの姿があった。
「よくがんばったですー。私の娘は一等賞なのですよー」
「え!?」
「……ここですよ、ミリア」
セツカの腕の中から、懐かしい声が聞こえてくる。
思わず姿を探すために、ミリアは首が取れんばかりに周囲を見回した。
いない。
母の姿はどこにもない。
「小さく、なっちゃったのですー」
「もしかして、セツカの腕の中にいる子猫が……お母さん!?」
まさに子猫といってもいいかもしれない。
はかない命の鼓動は、確かに人の言葉を発していた。
圧倒的なまでの力を誇る少年は大事そうにその猫を抱き抱えながら、申し訳なさそう頭を下げる。
「すまん。死んでから時間が経過しすぎていて、この身体のイメージに定着させるのが精一杯だった。元の姿には戻らない」
「ぜんぜんですー。セツカ様は、私を欠片から拾い上げてくださったのですー。それはとんでもない労力と集中力が必要だったでしょうに……こんな私のために、もう一度我が子に会いたいだけの私のために」
「セツカ……っ」
「ペニーワイズの思念の強さで、数年も空中で魔力が漂っていたということだ。ミリアに会いたいという一心で、フローラが見つけられるほどの量を維持しながらな。俺というより、こいつが異常だ」
「恥ずかしいですー」
前足で顔を洗う黒猫は、確かに母の口調で、母の思考で、母の記憶を持ち合わせて照れてみせた。
そんなのズルイじゃん。幸せすぎじゃん。
ミリアはフリーズしてしまったように固まり、瞳からは涙だけポロポロと落ちてくる。
とめどなくいつまでも溢れてくる。
止めたくても止められない。すごすぎる。
あたしの悲しみのぜんぶ、セツカに『殺され』ちゃったんだ。
ミリアはセツカの元へと駆け寄り、そっと黒猫を受けとる。
優しく抱き締め、蓄え続けた感情をすべて吐き出すミリア。
「お母さん、会いたかった。会いたかったよぉぉっ!!」
「よしよし。ミリアは甘えんぼさんですからねー」
「あのね、あのねお母さん。あたし、すきなひとができた。好きな人ができたのっ!!」
「うんうん。聞かせて?」
「あたしね、初めて恋をしたの。そしたら、他にも相手を好きな人がいて……それでもね、負けたくなくて、でもあたしはいつも迷惑かけてばかりだし、空回りばっかりなの」
「そうだったの。ミリアはおっちょこちょいねー」
「でも、好きなの!! ほんとうに、セツカのこと好きなの!! 負けちゃったけど、本当に好きなんだよ!!」
「大丈夫。自慢の娘だもの。セツカ様は言っていたわ。笑顔にしたい人がいるから、生き返ってくれないかーって。もちろん、私は二つ返事でオッケーしたわよー。だって、私の娘は笑顔が世界一素敵なんだものー」
「お母さん……っ」
「愛しているわミリア。笑って!! しっかりしなさいなー」
黒猫は微笑んでいるように見えた。
ミリアは背中を思いっきり叩かれ、押されたような感覚を味わう。
感情が真っ赤に爆発し、止められなくなる。
「すき……っ。セツカ、すきっ!! 大好きなの!!」
「お、おいミリアこんな場所で」
「あたし、セツカのこと大好き!! 愛してるーっ!! みんなに伝えたい。ほんとに、ほんとに愛してるからぁーっ!!」
「ばっか、みんなが見てるんだぞ!? すこしば場所をわきまえて……」
「セツカだ~いすきっ!!」
__ウォォオオオオオ!!
少女のはばかりのない告白に、燃えるような盛り上がりをみせる民衆。
会場は謎の感動と一体感につつまれる。
これでよかったのだろうかと少年が疑問に感じたのは言うまでもない。
だが、真っ赤に目を腫らした真っ赤な髪の少女は、輝く太陽のような笑顔を振りまいてくれている。
静か……というよりは狂詩曲みたいな一日だった。ハーレムなんかしたら毎日がこうかもしれない。
「にゃれにゃれですねー」
「おい」
台詞を黒猫に奪われた少年は、赤髪の少女に思いっきり抱きつかれたのち。
順番にうるさいケモミミ少女や、出番の少なかった、いきりたつ美少女たちに揉みくちゃにされるのであった。
戦いが始まってしまったか。
二人の決闘、気にならないわけではない。ここからだとすこし遠いな。
「みつけましたぁ!!」
城の屋上にて、なにやら再び来訪者だ。
エルフの精霊神フローラ。どうやら今度は本物みたいだな。
「ここにいたんですかぁ。はやく罵ってくださぃセツカちゃん。ふーちゃんだけ働きすぎて疲れちゃいました~!」
「どういうことか説明しろ」
「……こういうことですぅ」
「まさか!? かなりの時間が経過しているのに、間に合ったのか? ありえない。死んだ人間は……」
「対象は特殊な身体の持ち主ですぅ。欠片になった魔力を集め合わせました。やっと精霊神らしいこと、できましたかねぇ」
「よくやったフローラ。この豚野郎」
「はぁぁぁぁっ!? ありがたきお言葉ぁ!! 褒美としていつ妊娠させてくれますかぁ?」
「そんな約束できるか!! いちいちパワーワードをぶちこむな!!」
フローラが持ってきた『モノ』は、普通ならばとっくに消え去ってしまったはずの存在。
だが、ここにあるということは。
あるならできる。そう、『殺す』スキルをもつ俺ならば。
『殺す』スキル。世界の理を『殺し』破壊しろ。
今はたった一人の、笑顔を忘れた少女のために。
●承知しました。『殺し』ます…………。
・・・
決闘を終えて。
立ち上がったミリアはすっきりとした顔で微笑んだ。
体のあちこちが痛み、すこしも動かせそうにないや。
「……悔いはないや」
「どうぞミリアさん」
「レーネちゃん。ありがとう」
先に立ち上がっていたレーネに手を引かれ、ミリアは立ち上がる。
歓声と拍手につつまれ、会場が沸き立った。
まったく人ごとだと思って、勝手に盛り上がるんだから。
……なんでこんないい子と戦ってたんだっけ?
ミリアは考えてみても、答えがでなかったのであった。
ただはっきりとしたのは、想いの力で競り負けたということ。
そっか。この戦いはそういうの決めるために。
セツカの一番近くにいる資格を争って決める対決だったんだっけ。
あたしたち、たいへんなときなのに何やってんだか。
でも、決めないと前に進めないよね。おめでとうレーネちゃん。
「そっか」
結局、あたしはまた負けた。
あたしの人生は負けてばかりだね、お母さん。
「でも、あまりくやしくないかも(うそだ)」
「……?」
「レーネちゃんに負けたのならくやしくない(うそ)。心から認めるよ(うそだ……)。あなたがセツカの一番だって(ほんとにうそばっか)。あたしなんかより、レーネちゃんがセツカにふさわしい」
「あたりまえです。わかりきったことですよ」
辛辣な言葉がレーネの口から発せられる。
仕方がない。
あたしは負けたのだから。
ミリアは唇をかみしめ、ただ地面に涙をこぼし続けるのみだ。
しかしレーネ続ける。
「わたしが一番で、ミリアさんはその次です。この決闘で、はっきりときまりましたね? では、正式に家族になりましょう?」
「…………へ?」
……ちょっとまって。
ミリアはわけがわからないという顔であんぐり口をあける。
強い想いをぶつけあったんだよ?
負けたほうはすっぱり諦めるとかそういう話なのでは?
「フェネク族は、つよさでこどもをつくるじゅんばんをきめるのです。だから、ミリアさんはわたしの次ですね。これはあくまでわたしのいけんですので、ほかの女の子ともめると思います。そのさいはその方たちとも決闘をしてじゅんばんを勝ち取ってくださいね?」
「はい!?!?」
「あれ、言ってませんでした?」
「聞いてないよ!!」
「じゃあいま言います。ご主人さまと最初にけっこんできるのはわたし、そのあとがミリアさんたちです。たたかってきまりました。これは大切なきまりなのでおぼえておいてくださいね?」
「そんな…話だったの?」
「だって、ミリアさんは4年もご主人さまのそばにいてズルいし、そのせいで順番があやふやですし」
「ええええ!? つうか……ハーレムなのはいいの!?」
「は? なにをわけのわからないことを言っているのですか? ご主人さまの器なら、ハーレムをハーレムとはよびません。むしろハーレムを『殺し』て、日常にするとおもいますが?」
「うぅぅ……なんだろう同意しちゃうのがすごいくやしい。確かにセツカならハーレムを普通にこなしそうだわ」
「ね?」
「はぁぁぁっ。なんていうか……もう」
ミリアはふらりとめまいを引き起こす。
まさか殺し合いみたいな雰囲気で決闘をしたのって、ただの順番決めのため!?
ミリアはまさに命をかけたつもりで挑んだというのに、レーネは最初からそんなつもりなかったと?
ていうかハーレム黙認してたの!? どっしり構えすぎじゃない!?
正妻つええ……。純粋そうな顔で耳をぴょこぴょこ動かして顔をのぞきこんでくるレーネが一番ぶっとんでいた。
ミリアは考える。
他の女の子がセツカと仲良くするの、本当はちょっぴり嫌なんだけど。
でも、レーネちゃんたちに限ってはそんなに嫌悪感がなかったかもしれない。
むしろ、セツカとかわいい女の子たちに囲まれて逆にハッピーセット的な?
つまり、これって。
「あたし、なんだか深刻に考えすぎてた?」
「ミリアさんのいいところは、そういう明るいところですよ。ご主人さまもそんなミリアさんが好きなはず」
「そう……かな?」
「たいせつなはなしがあります。フローラさんがうごいてくれたんです」
「いったい何を……」
「ミリア」
聞き覚えのある声が、ミリアの耳に届けられる。
思わず振り向くと、そこには黒猫を抱くセツカの姿があった。
「よくがんばったですー。私の娘は一等賞なのですよー」
「え!?」
「……ここですよ、ミリア」
セツカの腕の中から、懐かしい声が聞こえてくる。
思わず姿を探すために、ミリアは首が取れんばかりに周囲を見回した。
いない。
母の姿はどこにもない。
「小さく、なっちゃったのですー」
「もしかして、セツカの腕の中にいる子猫が……お母さん!?」
まさに子猫といってもいいかもしれない。
はかない命の鼓動は、確かに人の言葉を発していた。
圧倒的なまでの力を誇る少年は大事そうにその猫を抱き抱えながら、申し訳なさそう頭を下げる。
「すまん。死んでから時間が経過しすぎていて、この身体のイメージに定着させるのが精一杯だった。元の姿には戻らない」
「ぜんぜんですー。セツカ様は、私を欠片から拾い上げてくださったのですー。それはとんでもない労力と集中力が必要だったでしょうに……こんな私のために、もう一度我が子に会いたいだけの私のために」
「セツカ……っ」
「ペニーワイズの思念の強さで、数年も空中で魔力が漂っていたということだ。ミリアに会いたいという一心で、フローラが見つけられるほどの量を維持しながらな。俺というより、こいつが異常だ」
「恥ずかしいですー」
前足で顔を洗う黒猫は、確かに母の口調で、母の思考で、母の記憶を持ち合わせて照れてみせた。
そんなのズルイじゃん。幸せすぎじゃん。
ミリアはフリーズしてしまったように固まり、瞳からは涙だけポロポロと落ちてくる。
とめどなくいつまでも溢れてくる。
止めたくても止められない。すごすぎる。
あたしの悲しみのぜんぶ、セツカに『殺され』ちゃったんだ。
ミリアはセツカの元へと駆け寄り、そっと黒猫を受けとる。
優しく抱き締め、蓄え続けた感情をすべて吐き出すミリア。
「お母さん、会いたかった。会いたかったよぉぉっ!!」
「よしよし。ミリアは甘えんぼさんですからねー」
「あのね、あのねお母さん。あたし、すきなひとができた。好きな人ができたのっ!!」
「うんうん。聞かせて?」
「あたしね、初めて恋をしたの。そしたら、他にも相手を好きな人がいて……それでもね、負けたくなくて、でもあたしはいつも迷惑かけてばかりだし、空回りばっかりなの」
「そうだったの。ミリアはおっちょこちょいねー」
「でも、好きなの!! ほんとうに、セツカのこと好きなの!! 負けちゃったけど、本当に好きなんだよ!!」
「大丈夫。自慢の娘だもの。セツカ様は言っていたわ。笑顔にしたい人がいるから、生き返ってくれないかーって。もちろん、私は二つ返事でオッケーしたわよー。だって、私の娘は笑顔が世界一素敵なんだものー」
「お母さん……っ」
「愛しているわミリア。笑って!! しっかりしなさいなー」
黒猫は微笑んでいるように見えた。
ミリアは背中を思いっきり叩かれ、押されたような感覚を味わう。
感情が真っ赤に爆発し、止められなくなる。
「すき……っ。セツカ、すきっ!! 大好きなの!!」
「お、おいミリアこんな場所で」
「あたし、セツカのこと大好き!! 愛してるーっ!! みんなに伝えたい。ほんとに、ほんとに愛してるからぁーっ!!」
「ばっか、みんなが見てるんだぞ!? すこしば場所をわきまえて……」
「セツカだ~いすきっ!!」
__ウォォオオオオオ!!
少女のはばかりのない告白に、燃えるような盛り上がりをみせる民衆。
会場は謎の感動と一体感につつまれる。
これでよかったのだろうかと少年が疑問に感じたのは言うまでもない。
だが、真っ赤に目を腫らした真っ赤な髪の少女は、輝く太陽のような笑顔を振りまいてくれている。
静か……というよりは狂詩曲みたいな一日だった。ハーレムなんかしたら毎日がこうかもしれない。
「にゃれにゃれですねー」
「おい」
台詞を黒猫に奪われた少年は、赤髪の少女に思いっきり抱きつかれたのち。
順番にうるさいケモミミ少女や、出番の少なかった、いきりたつ美少女たちに揉みくちゃにされるのであった。
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