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二章
vs不死の魔王を×そう04
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結局のところ不死者といえども、完全なる不死などではないのだ。
『殺す』スキルによりダメージを受けていること、配下のスケルトンウォーリアーが聖水を少し強化したものを浴びたで溶け出してしまうことから、スリザリの不死性が完全であるとは到底言えない。
期待はずれなその能力に、俺は何度目なのかわからないため息を漏らして脱力する。
これではダメだ。簡単に『殺せ』てしまう。
俺はあっけにとられたままのスリザリに続けて宣言した。
「先程の能力は、雨雲の形成とソレに聖水を混じらせ降らせただけの小細工だ。逆に言えばその程度でお前の切り札は失われたことになる。転移能力をもつハヤサカが、前線で戦う仲間たちに同じ聖水を配り終えている。倒したアンデッドにその聖水をふりかけ復活を阻止させてもらった」
「くっ……そ、そこまで深読みしていたとは。だがセツカよ。手札が全てなのかと尋ねたな? 答えてやろう。私の手札はまだ『全て』ではないのだよ!!」
「はぁ、まだ何か隠しているのか。だったらさっさと出し切れ。大量のアンデッドを召喚するとか、アリエルと同じ手じゃなくオリジナリティ溢れるものを望む。どうせ『殺す』がな」
「ニイミを覚えているか?」
唐突にスリザリが口にした担任の名前に、俺は少しだけ驚いた。
ニイミはクラスの担任だった男の名前だ。
こちらの世界にやってきてからは久しく名前は聞いていなかった。元々クラスメイトにはあまり受けのよい先生ではなかったが……。
スリザリは続ける。
「ニイミにとってこちらの世界は相性がいいだろう。くははっ。奴のような矛盾した人間は吐き気がする。セツカよ、貴様のことをどうでもいいセイトだと言っておきながら、奴は貴様に邪魔をされた鬱憤を晴らすためにこの戦場で動いている。これが私の切り札さ」
「ニイミが? しかし、召喚された場所に居なかったはずだ」
「何事にも想定外は起こりうる。貴様の存在がそうであるようにな。ニイミはアリエルの『聖女の加護』を受けていながらオリエンテール外部に召喚された。私はあてもなくさまようニイミを拾ってやったのだ。この瞬間を迎えるためにな」
スリザリの落ちくぼんだ瞳が濡れたように光る。待ち望んだ一言を告げるため、これだけのために悪魔族を使い捨てにし、軍団を動かし、単身城まで乗り込んできたのだと言わんばかりに。
「貴様の大事な物は、今ごろニイミに壊されているだろう」
「……」
「聞こえなかったのか? 貴様が抱えている弱きものたちは、ニイミの能力ですでに蹂躙されている最中だと言っているのだ!!」
『殺す』スキルによりダメージを受けていること、配下のスケルトンウォーリアーが聖水を少し強化したものを浴びたで溶け出してしまうことから、スリザリの不死性が完全であるとは到底言えない。
期待はずれなその能力に、俺は何度目なのかわからないため息を漏らして脱力する。
これではダメだ。簡単に『殺せ』てしまう。
俺はあっけにとられたままのスリザリに続けて宣言した。
「先程の能力は、雨雲の形成とソレに聖水を混じらせ降らせただけの小細工だ。逆に言えばその程度でお前の切り札は失われたことになる。転移能力をもつハヤサカが、前線で戦う仲間たちに同じ聖水を配り終えている。倒したアンデッドにその聖水をふりかけ復活を阻止させてもらった」
「くっ……そ、そこまで深読みしていたとは。だがセツカよ。手札が全てなのかと尋ねたな? 答えてやろう。私の手札はまだ『全て』ではないのだよ!!」
「はぁ、まだ何か隠しているのか。だったらさっさと出し切れ。大量のアンデッドを召喚するとか、アリエルと同じ手じゃなくオリジナリティ溢れるものを望む。どうせ『殺す』がな」
「ニイミを覚えているか?」
唐突にスリザリが口にした担任の名前に、俺は少しだけ驚いた。
ニイミはクラスの担任だった男の名前だ。
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スリザリは続ける。
「ニイミにとってこちらの世界は相性がいいだろう。くははっ。奴のような矛盾した人間は吐き気がする。セツカよ、貴様のことをどうでもいいセイトだと言っておきながら、奴は貴様に邪魔をされた鬱憤を晴らすためにこの戦場で動いている。これが私の切り札さ」
「ニイミが? しかし、召喚された場所に居なかったはずだ」
「何事にも想定外は起こりうる。貴様の存在がそうであるようにな。ニイミはアリエルの『聖女の加護』を受けていながらオリエンテール外部に召喚された。私はあてもなくさまようニイミを拾ってやったのだ。この瞬間を迎えるためにな」
スリザリの落ちくぼんだ瞳が濡れたように光る。待ち望んだ一言を告げるため、これだけのために悪魔族を使い捨てにし、軍団を動かし、単身城まで乗り込んできたのだと言わんばかりに。
「貴様の大事な物は、今ごろニイミに壊されているだろう」
「……」
「聞こえなかったのか? 貴様が抱えている弱きものたちは、ニイミの能力ですでに蹂躙されている最中だと言っているのだ!!」
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