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一章
襲撃者を×そう!
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買い物を終え、山積みになった荷物が目の前にある。
大量の荷物を目の前にして俺は腕を組み、レーネはそんな俺のすがたをマネして可愛らしく腕を組んでみせる。
普通の運搬手段では何度も森まで往復しなければならない。が。
「ロープで縛って、一気に持っていきたいな」
「はい。ご主人様。でも、すごい荷物の量……」
「ためしてみるか?」
『殺す』スキルを発動させてみる。
教会のような建物を修復したときのように、物事の常識や仕組みを破壊するようなイメージを想像する。
すると、荷物の山が光に包まれた。
■――荷物の重さを『殺し』ました。
うまくいったみたいだな。
「すごいですご主人様! こんなにたくさんの荷物がぜんぜんおもくない。わたし、ちからもちになったみたい。力をあたえてくださりありがとうございます」
レーネは勘違いしているが、荷物がものすごく軽くなったのだ。
だが、嬉しそうなので別にいいか。
張り切るレーネの姿はとても頼もしいものだ。
「転ばないように気をつけるんだぞ」
「あっ……わたしがぜんぶもちたいです。もっともっと荷物をください!」
「これ以上は目立ってしまう。でも、そういうレーネの頑張る気持ちはとてもうれしいぞ?」
「あうう、ご主人様、たくさんわたしをつかってください。もっと、もっと役にたちたいです」
ロープで縛られた大量の家具や食料の束を軽々と持ち上げるレーネ。
これは、ちょっとやりすぎかもな。
ありえない量の荷物を背負う幼女を見て、街の人間は口を開け放心しているようだな。
目立つ。仕方ない、半分持つとするか。
俺とレーネは買った荷物を森の中へと運び込んだ。
街から家の教会まで距離的にかなり遠いが、足の疲れを『殺せ』ばそんなに苦労には感じない。
そんなふうにスキルの使い方を慣らしつつも、帰りの道を急いだ。
あっという間に教会へと到着した。
「ん、誰かいるのか?」
玄関の扉を開けるとわずかな気配を感じた。
買い物の前とは違う、部屋の中の違和感。
用心して進むと、部屋の奥で誰かがうずくまっているようだ。
俺たちがいないうちに入り込んだらしい。こんな深い森で誰か来るとはな。
目が合った侵入者は短く悲鳴をあげた。
「あ……っ」
「誰だ?」
「くっ、ち、ちかくにこないで」
「ここは俺たちの家なのだがな」
ん、ずいぶんと小柄な侵入者だな。
「はずかしめられるならば、舌をかみますの。いますぐに、こ、ころしなさい……」
少女、か?
小さな頭から伸びた銀色の美しい長髪が床に散らばり、真っ赤に泣き腫れた瞳がこちらをおびえた様子でうかがっている。
とても美しい少女だ。
なんか幻想的だ。まるで絵画の中から旅をしてきたようだ。
声が震えているのはおびえているのだろうか?
傾国の美少女……彼女を目にして最初に思いついた言葉だ。
あまりにも現実離れした美しさをもつ女の子だ。ひと目でただ者ではないとわかる。
髪と同じ白い色のまつげが長く、ぱちぱちとまばたきをしながら見上げてくる表情が妙に色っぽい。
しかしその瞳が濡れていることから、相当に怖い思いをしたことがうかがえる。
よく見ればレーネと同じ幼い年頃だ。
泣いて赤くなったと思っていたが、彼女の瞳はまるでルビーの宝石のように深い赤をたたえ神秘的で、不思議な眼力をもつ娘だ。
どうしたんだと声をかけようとしたら、いきなり玄関から野太い男の声が聞こえてきた。
「おい、スレイ姫。隠れているのはわかっている。出て来い」
ダンダンと玄関を叩く音がする。
いきなりなんなんだ、静かにしてほしいのだが。
その声が響いた途端に、スレイ姫と呼ばれた目の前の銀髪少女はビクリと身体を震わせる。
家の外のうるさいのに追われているのだろうか?
「ふん。かくまう気が? 素人が。やれ、ヘル」
「……殺すけどいいよな」
「かまわんさ」
ガシャン。
短く男たちの会話が聞こえ。
家のどこかの窓が割れた音だ。
「玄関の仲間は囮だ。無関係だが関わった貴様が悪い。死んでもらう」
いきなり殺意がやってきた。
割った窓から入ってきたというのか?
ものすごいスピードで移動する影は、とつぜん俺の背後に現れた。
ちらと視界に映り込んだのは、鋭いナイフを持った謎の黒ずくめ仮面男であった。
仮面男は、俺の首筋に逆手に持ったナイフを突きつけ、そのまま引き抜こうとする。
頸動脈を切るつもりか?
「お前がな」
「!?」
しかしそんな男の登場も俺はスキル『殺す』によって自らの死の運命を殺していたので、完全把握できている。
首元につきつけられたナイフを抜き取り、そのまま男の仮面にぶっ刺して返り討ちにした。
「これは返すぞ」
「へぴ!?」
仮面の男はびっくりし過ぎて意味のわからない台詞を残して死んでいった。
すごいな。スキルが発動するとこんなこともできるのか。
相手の殺意に自動で反応して、カウンターのように発動させることも可能だということみたいだ。
あまりの出来事に口をあけ固まっている銀髪少女。おびえさせてしまったかな?
そういえばレーネと食べた屋台のお芋が残っていた。
「お腹、減ってるかい?」
「あ、はい……いえ、今、ものすごいことが起きませんでした? 貴方様が、残像を残しながら背後に突然あらわれた仮面男のナイフを奪いあっけなく倒した気がしたのですが」
「うん。これ美味しいから食べてみなよ」
「へっ!? あっ、はい。……うんって、えっ!?」
白髪の少女はきょとんとした顔で俺から芋を受け取った。
仮面男なんて気にしなくていい。ここは俺の家だ。
静かにしない者は誰であろうと出ていってもらう。
食べるといい。おいしいぞ?
芋を受け取った銀髪少女は、腑に落ちなそうにしながらも俺とレーネに連れられ食堂部屋に案内される。
買ったばかりの椅子に座らされ、もぐもぐと手にしたお芋に口をつけ始めたのだが。
「くそっ! ヘルがやられた。ありえない。奴がしくじるなんて一体どんな相手なんだ。こんなの聞いてないぞ。オリエンテールには倍額請求してやる」
「大陸最強の暗殺者集団である我ら七人衆にたて突くとは愚か」
「七人衆の力を知らないのですね。まったく、無知とは愚かなものです」
「さっさと逃げ出したイシュタル王国の王族最後の子孫、スレイ姫を渡してもらいましょう。今ならば楽に殺してさしあげます」
「スレイ姫、たのしいたのしい大人のお遊戯しましょうね。なんなら僕が味見してもいいですよ」
「スレイ姫と子作りしたい人間が沢山いるんですよ? 魔力の多い子供を産んでくださいよ?」
外のやつらの声がでかいんだが?
まったく、気色悪い連中が家の外にいて困るな。
騒がしいのは嫌になる。静かにしてほしいぞ。
家の中までやってこないなら、まあ無視でいいだろう。
今は目の前の女の子を落ち着かせるので精一杯だからな。
銀髪少女を落ち尽かせようと台所に向かい何か飲み物を用意しようとしたのだが……。
やれやれ。外にいる連中がこんなことをさけび始めた。
「スレイ姫、あきらめてくださいよ。父上も母上もあなたを守るためにむごたらしく殺されたんですから。イシュタル王族はあなたで最後。他国の王族のため、魔力の高い子供をつくった方が幸せになれますよ? ははは!」
玄関の外から発せられたその言葉で、少女はぶわっと瞳に涙を溜める。
まるで今まで我慢していた感情が堰を切って出るかのように、彼女の瞳からは涙があふれた。
「ううっ……おとうさま、おかあさま」
おい、どうしてくれる。せっかく泣き止みそうだったのに。
よってたかってこんな小さな子になんなんだ?
「はやくでてきてくださいよぉ。スレイ姫様ぁ!!」
しかしうるさい奴らだな。
「すこし空気のいれかえをするか」
「あ、あの、ダメですっ!! その者たちは大陸最強を恐れられているっ……!」
銀髪少女は何かを言いかけていたが、俺は扉を開けて外に出た。
さっきと同じような格好をした仮面の奴らが一斉に飛びかかってくるみたいだ。
「馬鹿が!!! おめおめと出てきてボケ頭が。七人全員の一斉攻撃をくらえ!!」
外に出ただけでボケ頭とは失礼だな。
だが俺は叫んだ奴の言葉が気になって仕方がなかった。
家の中で七人衆のひとりを倒したんだから、お前らあとは六人だろ?
もしかして死んだ奴の幽霊が攻撃でも仕掛けてくるんだろうか?
そうだったら怖いぞ。
「へぴ!?」×6
……あれ、いつの間にか全員倒して七人衆全滅させてしまったな。
すごいな『殺す』スキル。
多分パッシブで俺が死ぬ運命を『殺し』てるから、俺に攻撃しようとすると自動で時間さえ歪めている可能性がある。
証拠に、こいつらの攻撃が赤ちゃんのハイハイより遅く感じたからな。
あっという間に終わってしまった。
弱すぎ。
ゼロ人衆と名前を改めたほうがいいぞ。
幽霊になれるなら別だがな。
そして俺はこう言った。
「うるさいぞ。人の敷地で遊んではいけない。これは幼稚園児でもわかる世の中の仕組みだぞ?」
間違えた。これは生きている人間に言うべき台詞だったな。
順番を間違えちゃった。
いけないな、スキルに慣れないと。
しかしとても運の悪い奴もいたみたいで。
「ぐあっ!? あ、ありえない……大陸最強と呼ばれた暗殺集団、七人衆がこうも簡単に敗れるだと? 逃げねば。逃げてあの男の危険性を伝えねば。そして俺が生き延びねば七人衆の里の存続が……」
ひとり生きていたみたいだな。
忘れ物を返そう。仲間の死体をまとめ、荷物を持ってきたときのように重さを『殺し』て放り投げてやる。
「ひ、ひぃい……逃げねばぁっ」
「ひとりだけ残るのはかわいそうだ」
そいつにぶつかった瞬間に重さを『殺し』たことを『殺し』てやれば……。
「里が、里の存続が……ぷぎっ!?」
という形で全員に永遠のご帰宅をお願いした。
仲間の重さで最後の一人も豚の鳴きまねをしながら死んでいったみたいだ。
なんかの里はあの世で仲良く存続すればいいさ。
やれやれだ。
戻って、銀髪の女の子の事情を聞くことにしようか。
「ありがとうございます……。まさか七人衆を倒してしまうなんて」
すっかり泣き止んだ銀髪の少女は、立ち上がって礼を伝えてくる。
逃亡のおかげかボロボロだが、見るからに高そうな服を着ていて、高貴な育ちが面もちからうかがえる。
固かった表情は危険が去ったことでやや柔らかくなり、安心した様子だ。
「先程は失礼をいたしました。私の名前はスレイです。イシュタル王国の最後の王族、第一王女スレイでございます。追っ手に追われてしまいこの屋敷に逃げ込み隠れたのです。……私のためにご迷惑をおかけしました。助けていただいてありがとうございます」
「家の外がうるさかったから片付けただけだ。別に君のためじゃない」
俺は静かに暮らしたいだけ。だから外でうるさくしていた変質者を片付けたのだ。
しかしスレイは俺が彼女のためにやったものだと思い込みたいらしく。
「ああ、私に気を使ってくださりご謙遜を。謙虚なお方なのですね。イシュタル王国の代表として、重ねてお礼を申し上げます」
「気にしなくていい。大したことじゃないから」
「不器用なお方なのですね。本当は私のために……ふふ」
「俺の家を守るためだ」
俺の話が右から左に流されているような気がするが、この姫様は大丈夫なのだろうか?
幸い怪我などはないが、若干頬が赤いのが気になる。
「でも、七人衆はイシュタルでも名をはせた最強と呼ばれる暗殺集団でした。誰かが私の『魔眼』を手に入れようとして依頼したのでしょう。まさかS級の冒険者でも簡単には勝てないと伝えられる彼らに、たった一人で勝利してしまうなんて。それも一人も逃がさず、ものの瞬きする間に全滅させてしまうなんて。いったいあなたは何者なのですか、すごすぎです」
「別に普通の人間だ。俺は冒険者にも暗殺者にも興味ないし、この森で静かに暮らしたいんだ」
そうやって本心を吐露するが、スレイは恐怖で泣きそうだった先程とは別の意味で瞳をうるませはじめたような気がする。
「それってかっこいいですね……」とか言っているが、どこが?
あんまり見つめないでほしい。女の子の視線にはなれていない。
はぁ、やれやれだな。
スレイに名前を尋ねられたため、普通に答えた。
「レイゼイ=セツカだ」
「セツカ様。この胸に刻み込みました……すばらしいひびき」
「普通の名前だと思うが?」
「セツカ様、セツカ様、ふふセツカ様……つよいお方」
ぼーっととろけた顔で俺の名前を呟いているスレイ。
本当におとぎ話に出てきそうなお姫様のイメージな感じの美少女なので、そんな顔をされると反応に困る。
とにかく、こうなった経緯でも聞いてみることにした。
「イシュタルという国が戦争で滅びかけていて、そこから逃げてきた生き残り王族の姫がスレイ、君か。そして君が追われるもうひとつの理由が……」
「はい。この瞳、『魔眼』と呼ばれる魔力に対する高い適性の証です。この眼を持った親からは魔力の高い子供が生まれるので、魔力の強い子供をつくるため、世継ぎをつくる目的で利用されてしまうことが多いのです。私も、セツカ様に助けてもらえなかったらその運命でした……でも、これからはイシュタルの復興のためにそういうこともやぶさかではありません。子孫を残さねばイシュタル王族は終わりです。やぶさかではないとは、その、えと、子供をつくることです。もちろん相手はセツカ様のような強くて優しい、高貴なる精神をお持ちの方にお願いしたいと。きゃあ、言ってしまった。私と、やぶさかではないことをして、王族になってみたくないですか? 私からお誘いするのなんて初めてで光栄なことだと思いますよ?」
もじもじと手遊びしながら上目づかいでこちらの顔色をうかがってくる。
スレイはまだ幼いのに、王族の血を絶やさぬように、子供をつくりたいと言っているのか?
なるほどな、大変そうだ。
「わかった。では、国に戻ってがんばってくれよ。俺はここで静かに暮らすから」
帰ってもらおう。
スレイの背中を押して玄関に向かわせる。
王族とか、興味ないし。
「まっ、待ってください! ごめんなさい。失言でした。私を拾ってください! セツカ様と一緒に住みたいんですぅ。ひとりぼっちは嫌なんです! 他に行くあてが無いんですう!!」
そう言ってスレイは俺の足に縋りつき、涙を流して失言を謝罪した。
泣くほどのことを言ったつもりは無かったのに、困ったな。
やれやれと溜息をついてスレイの頭をなでてやる。
話では両親もいなく、仲間も殺されてしまったと聞く。
イシュタルに今帰れば大変な目にあうのは目に見えているか。
「ふぅ仕方がないな。状況が整うまでならここにいてもいいぞ」
「ありがとうございますセツカ様! うれしいです!」
今度は涙を流して喜んでいる。
神秘的な女の子だと思っていたのに、結構感情豊かなんだな。
スレイはガッツポーズをしてみせる。
「よし……ここでセツカ様とそういうことをすればいいですよね。やっちゃえばこっちのもの。子供をつくるのに大事なのは相手です場所や国じゃありません。セツカ様、若い女の子は好きですか? 私、肌とか白くてつやつやですよ?」
「スレイ。そういう気持ちはうれしいし、君はとても可愛らしい女の子だと思うけど、まだ幼い。もしかして国が滅びそうだから焦ってるんじゃないか? これからもっと沢山の人に出会うから、簡単にそういう発言はしない方がいい。王族の君は俺なんかよりももっといい相手にめぐりあうだろうし、大きくなったら物の見え方も大きく変わるんだ」
「恋に身分は関係ないです。わたしはもう、子供のつくりかたを勉強したい。セツカ様なら博識ですので、私に子供のつくりかた、教えてくださいますよね?」
「それは……まだまだ早いよ。君が知るのはもうすこし後でもいいんじゃないかな。いいかい?」
「じゃあ、もうすこし大きくなったら、スレイに子供のつくりかたを教えてくださいますか?」
「う、うん。もっと大きくなったら、俺も教えることができるようになるかも(俺も詳しくは知らない)」
「なるほど、約束しましたよ。大きくなったらセツカ様が私に子供のつくりかたを教えてくださるのですね! 結婚して教えてくださるのですね!」
「んん? そういう意味で言ったわけでは……」
「新イシュタル王国の復興はここから始まるのです。たくさんの王子と王女をこしらえましょう。永遠に外れない魔力をこめたリングで、イシュタル伝統の誓いの儀式を執り行って物理的精神的にセツカ様を逃さぬように私のてくにっくで……ふふふ!」
一人でニヤニヤしながら呟き始めたスレイ。
七人衆を倒し、危険が去ったあとはせっせと荷解きをしていたレーネが近寄って来た。
「えと、ご主人様はもうわたしとやくそくしているので、スレイさんはあきらめたほうがいいです。フェネク族に伝わる秘密のぎしきでやくそくしましたから。スレイさんは帰ったほうがいいかもです」
「え!? 秘密の儀式ってなんです? すごく気になる……でも、私だってセツカ様と結婚するんです。だって最初にそういうことを教えてもらう約束しましたから。セツカ様だっていいよって言ってました」
「いってなかったよ! スレイさんそれ嘘だよ!」
「言ってたもん! あなた、王族である私に向かって嘘つき呼ばわり?」
「いってなかった!」
「言ってたもんっ!」
「わたしがさいしょに大きくなったらお嫁さんにしてもらうって言ってもらった! スレイさんはだめダメーッ!」
「ダメじゃないもんっ! 私もセツカ様のお嫁さんになっていいよって言われたもん! 私もなるもん!」
どっちも言ってない。それが答えだぞ二人とも。
俺はやれやれと頭を掻くしかできなかったのである。
結局、イシュタルの姫スレイを俺とレーネの教会に迎え入れることになった。
その夜は簡単な食事を済ませ、買ってきた寝具をベッドに敷き詰め寝ることにした。
これで寝心地は抜群によくなった。
その夜。
「共有しませんか?」
「きょうゆう?」
「二人で同じ方を一緒に好きになるということです」
「……いいですね。けんかしないでご主人様の役にたちたい」
「共有!」
「きょうゆう!」
翌日にはレーネとスレイがとても仲良く遊んでいたのが不思議だった。
そういえば、子供ってけんかするけど仲直りも早かったよな。
まったく、俺は静かに暮らせるのだろうか?
大量の荷物を目の前にして俺は腕を組み、レーネはそんな俺のすがたをマネして可愛らしく腕を組んでみせる。
普通の運搬手段では何度も森まで往復しなければならない。が。
「ロープで縛って、一気に持っていきたいな」
「はい。ご主人様。でも、すごい荷物の量……」
「ためしてみるか?」
『殺す』スキルを発動させてみる。
教会のような建物を修復したときのように、物事の常識や仕組みを破壊するようなイメージを想像する。
すると、荷物の山が光に包まれた。
■――荷物の重さを『殺し』ました。
うまくいったみたいだな。
「すごいですご主人様! こんなにたくさんの荷物がぜんぜんおもくない。わたし、ちからもちになったみたい。力をあたえてくださりありがとうございます」
レーネは勘違いしているが、荷物がものすごく軽くなったのだ。
だが、嬉しそうなので別にいいか。
張り切るレーネの姿はとても頼もしいものだ。
「転ばないように気をつけるんだぞ」
「あっ……わたしがぜんぶもちたいです。もっともっと荷物をください!」
「これ以上は目立ってしまう。でも、そういうレーネの頑張る気持ちはとてもうれしいぞ?」
「あうう、ご主人様、たくさんわたしをつかってください。もっと、もっと役にたちたいです」
ロープで縛られた大量の家具や食料の束を軽々と持ち上げるレーネ。
これは、ちょっとやりすぎかもな。
ありえない量の荷物を背負う幼女を見て、街の人間は口を開け放心しているようだな。
目立つ。仕方ない、半分持つとするか。
俺とレーネは買った荷物を森の中へと運び込んだ。
街から家の教会まで距離的にかなり遠いが、足の疲れを『殺せ』ばそんなに苦労には感じない。
そんなふうにスキルの使い方を慣らしつつも、帰りの道を急いだ。
あっという間に教会へと到着した。
「ん、誰かいるのか?」
玄関の扉を開けるとわずかな気配を感じた。
買い物の前とは違う、部屋の中の違和感。
用心して進むと、部屋の奥で誰かがうずくまっているようだ。
俺たちがいないうちに入り込んだらしい。こんな深い森で誰か来るとはな。
目が合った侵入者は短く悲鳴をあげた。
「あ……っ」
「誰だ?」
「くっ、ち、ちかくにこないで」
「ここは俺たちの家なのだがな」
ん、ずいぶんと小柄な侵入者だな。
「はずかしめられるならば、舌をかみますの。いますぐに、こ、ころしなさい……」
少女、か?
小さな頭から伸びた銀色の美しい長髪が床に散らばり、真っ赤に泣き腫れた瞳がこちらをおびえた様子でうかがっている。
とても美しい少女だ。
なんか幻想的だ。まるで絵画の中から旅をしてきたようだ。
声が震えているのはおびえているのだろうか?
傾国の美少女……彼女を目にして最初に思いついた言葉だ。
あまりにも現実離れした美しさをもつ女の子だ。ひと目でただ者ではないとわかる。
髪と同じ白い色のまつげが長く、ぱちぱちとまばたきをしながら見上げてくる表情が妙に色っぽい。
しかしその瞳が濡れていることから、相当に怖い思いをしたことがうかがえる。
よく見ればレーネと同じ幼い年頃だ。
泣いて赤くなったと思っていたが、彼女の瞳はまるでルビーの宝石のように深い赤をたたえ神秘的で、不思議な眼力をもつ娘だ。
どうしたんだと声をかけようとしたら、いきなり玄関から野太い男の声が聞こえてきた。
「おい、スレイ姫。隠れているのはわかっている。出て来い」
ダンダンと玄関を叩く音がする。
いきなりなんなんだ、静かにしてほしいのだが。
その声が響いた途端に、スレイ姫と呼ばれた目の前の銀髪少女はビクリと身体を震わせる。
家の外のうるさいのに追われているのだろうか?
「ふん。かくまう気が? 素人が。やれ、ヘル」
「……殺すけどいいよな」
「かまわんさ」
ガシャン。
短く男たちの会話が聞こえ。
家のどこかの窓が割れた音だ。
「玄関の仲間は囮だ。無関係だが関わった貴様が悪い。死んでもらう」
いきなり殺意がやってきた。
割った窓から入ってきたというのか?
ものすごいスピードで移動する影は、とつぜん俺の背後に現れた。
ちらと視界に映り込んだのは、鋭いナイフを持った謎の黒ずくめ仮面男であった。
仮面男は、俺の首筋に逆手に持ったナイフを突きつけ、そのまま引き抜こうとする。
頸動脈を切るつもりか?
「お前がな」
「!?」
しかしそんな男の登場も俺はスキル『殺す』によって自らの死の運命を殺していたので、完全把握できている。
首元につきつけられたナイフを抜き取り、そのまま男の仮面にぶっ刺して返り討ちにした。
「これは返すぞ」
「へぴ!?」
仮面の男はびっくりし過ぎて意味のわからない台詞を残して死んでいった。
すごいな。スキルが発動するとこんなこともできるのか。
相手の殺意に自動で反応して、カウンターのように発動させることも可能だということみたいだ。
あまりの出来事に口をあけ固まっている銀髪少女。おびえさせてしまったかな?
そういえばレーネと食べた屋台のお芋が残っていた。
「お腹、減ってるかい?」
「あ、はい……いえ、今、ものすごいことが起きませんでした? 貴方様が、残像を残しながら背後に突然あらわれた仮面男のナイフを奪いあっけなく倒した気がしたのですが」
「うん。これ美味しいから食べてみなよ」
「へっ!? あっ、はい。……うんって、えっ!?」
白髪の少女はきょとんとした顔で俺から芋を受け取った。
仮面男なんて気にしなくていい。ここは俺の家だ。
静かにしない者は誰であろうと出ていってもらう。
食べるといい。おいしいぞ?
芋を受け取った銀髪少女は、腑に落ちなそうにしながらも俺とレーネに連れられ食堂部屋に案内される。
買ったばかりの椅子に座らされ、もぐもぐと手にしたお芋に口をつけ始めたのだが。
「くそっ! ヘルがやられた。ありえない。奴がしくじるなんて一体どんな相手なんだ。こんなの聞いてないぞ。オリエンテールには倍額請求してやる」
「大陸最強の暗殺者集団である我ら七人衆にたて突くとは愚か」
「七人衆の力を知らないのですね。まったく、無知とは愚かなものです」
「さっさと逃げ出したイシュタル王国の王族最後の子孫、スレイ姫を渡してもらいましょう。今ならば楽に殺してさしあげます」
「スレイ姫、たのしいたのしい大人のお遊戯しましょうね。なんなら僕が味見してもいいですよ」
「スレイ姫と子作りしたい人間が沢山いるんですよ? 魔力の多い子供を産んでくださいよ?」
外のやつらの声がでかいんだが?
まったく、気色悪い連中が家の外にいて困るな。
騒がしいのは嫌になる。静かにしてほしいぞ。
家の中までやってこないなら、まあ無視でいいだろう。
今は目の前の女の子を落ち着かせるので精一杯だからな。
銀髪少女を落ち尽かせようと台所に向かい何か飲み物を用意しようとしたのだが……。
やれやれ。外にいる連中がこんなことをさけび始めた。
「スレイ姫、あきらめてくださいよ。父上も母上もあなたを守るためにむごたらしく殺されたんですから。イシュタル王族はあなたで最後。他国の王族のため、魔力の高い子供をつくった方が幸せになれますよ? ははは!」
玄関の外から発せられたその言葉で、少女はぶわっと瞳に涙を溜める。
まるで今まで我慢していた感情が堰を切って出るかのように、彼女の瞳からは涙があふれた。
「ううっ……おとうさま、おかあさま」
おい、どうしてくれる。せっかく泣き止みそうだったのに。
よってたかってこんな小さな子になんなんだ?
「はやくでてきてくださいよぉ。スレイ姫様ぁ!!」
しかしうるさい奴らだな。
「すこし空気のいれかえをするか」
「あ、あの、ダメですっ!! その者たちは大陸最強を恐れられているっ……!」
銀髪少女は何かを言いかけていたが、俺は扉を開けて外に出た。
さっきと同じような格好をした仮面の奴らが一斉に飛びかかってくるみたいだ。
「馬鹿が!!! おめおめと出てきてボケ頭が。七人全員の一斉攻撃をくらえ!!」
外に出ただけでボケ頭とは失礼だな。
だが俺は叫んだ奴の言葉が気になって仕方がなかった。
家の中で七人衆のひとりを倒したんだから、お前らあとは六人だろ?
もしかして死んだ奴の幽霊が攻撃でも仕掛けてくるんだろうか?
そうだったら怖いぞ。
「へぴ!?」×6
……あれ、いつの間にか全員倒して七人衆全滅させてしまったな。
すごいな『殺す』スキル。
多分パッシブで俺が死ぬ運命を『殺し』てるから、俺に攻撃しようとすると自動で時間さえ歪めている可能性がある。
証拠に、こいつらの攻撃が赤ちゃんのハイハイより遅く感じたからな。
あっという間に終わってしまった。
弱すぎ。
ゼロ人衆と名前を改めたほうがいいぞ。
幽霊になれるなら別だがな。
そして俺はこう言った。
「うるさいぞ。人の敷地で遊んではいけない。これは幼稚園児でもわかる世の中の仕組みだぞ?」
間違えた。これは生きている人間に言うべき台詞だったな。
順番を間違えちゃった。
いけないな、スキルに慣れないと。
しかしとても運の悪い奴もいたみたいで。
「ぐあっ!? あ、ありえない……大陸最強と呼ばれた暗殺集団、七人衆がこうも簡単に敗れるだと? 逃げねば。逃げてあの男の危険性を伝えねば。そして俺が生き延びねば七人衆の里の存続が……」
ひとり生きていたみたいだな。
忘れ物を返そう。仲間の死体をまとめ、荷物を持ってきたときのように重さを『殺し』て放り投げてやる。
「ひ、ひぃい……逃げねばぁっ」
「ひとりだけ残るのはかわいそうだ」
そいつにぶつかった瞬間に重さを『殺し』たことを『殺し』てやれば……。
「里が、里の存続が……ぷぎっ!?」
という形で全員に永遠のご帰宅をお願いした。
仲間の重さで最後の一人も豚の鳴きまねをしながら死んでいったみたいだ。
なんかの里はあの世で仲良く存続すればいいさ。
やれやれだ。
戻って、銀髪の女の子の事情を聞くことにしようか。
「ありがとうございます……。まさか七人衆を倒してしまうなんて」
すっかり泣き止んだ銀髪の少女は、立ち上がって礼を伝えてくる。
逃亡のおかげかボロボロだが、見るからに高そうな服を着ていて、高貴な育ちが面もちからうかがえる。
固かった表情は危険が去ったことでやや柔らかくなり、安心した様子だ。
「先程は失礼をいたしました。私の名前はスレイです。イシュタル王国の最後の王族、第一王女スレイでございます。追っ手に追われてしまいこの屋敷に逃げ込み隠れたのです。……私のためにご迷惑をおかけしました。助けていただいてありがとうございます」
「家の外がうるさかったから片付けただけだ。別に君のためじゃない」
俺は静かに暮らしたいだけ。だから外でうるさくしていた変質者を片付けたのだ。
しかしスレイは俺が彼女のためにやったものだと思い込みたいらしく。
「ああ、私に気を使ってくださりご謙遜を。謙虚なお方なのですね。イシュタル王国の代表として、重ねてお礼を申し上げます」
「気にしなくていい。大したことじゃないから」
「不器用なお方なのですね。本当は私のために……ふふ」
「俺の家を守るためだ」
俺の話が右から左に流されているような気がするが、この姫様は大丈夫なのだろうか?
幸い怪我などはないが、若干頬が赤いのが気になる。
「でも、七人衆はイシュタルでも名をはせた最強と呼ばれる暗殺集団でした。誰かが私の『魔眼』を手に入れようとして依頼したのでしょう。まさかS級の冒険者でも簡単には勝てないと伝えられる彼らに、たった一人で勝利してしまうなんて。それも一人も逃がさず、ものの瞬きする間に全滅させてしまうなんて。いったいあなたは何者なのですか、すごすぎです」
「別に普通の人間だ。俺は冒険者にも暗殺者にも興味ないし、この森で静かに暮らしたいんだ」
そうやって本心を吐露するが、スレイは恐怖で泣きそうだった先程とは別の意味で瞳をうるませはじめたような気がする。
「それってかっこいいですね……」とか言っているが、どこが?
あんまり見つめないでほしい。女の子の視線にはなれていない。
はぁ、やれやれだな。
スレイに名前を尋ねられたため、普通に答えた。
「レイゼイ=セツカだ」
「セツカ様。この胸に刻み込みました……すばらしいひびき」
「普通の名前だと思うが?」
「セツカ様、セツカ様、ふふセツカ様……つよいお方」
ぼーっととろけた顔で俺の名前を呟いているスレイ。
本当におとぎ話に出てきそうなお姫様のイメージな感じの美少女なので、そんな顔をされると反応に困る。
とにかく、こうなった経緯でも聞いてみることにした。
「イシュタルという国が戦争で滅びかけていて、そこから逃げてきた生き残り王族の姫がスレイ、君か。そして君が追われるもうひとつの理由が……」
「はい。この瞳、『魔眼』と呼ばれる魔力に対する高い適性の証です。この眼を持った親からは魔力の高い子供が生まれるので、魔力の強い子供をつくるため、世継ぎをつくる目的で利用されてしまうことが多いのです。私も、セツカ様に助けてもらえなかったらその運命でした……でも、これからはイシュタルの復興のためにそういうこともやぶさかではありません。子孫を残さねばイシュタル王族は終わりです。やぶさかではないとは、その、えと、子供をつくることです。もちろん相手はセツカ様のような強くて優しい、高貴なる精神をお持ちの方にお願いしたいと。きゃあ、言ってしまった。私と、やぶさかではないことをして、王族になってみたくないですか? 私からお誘いするのなんて初めてで光栄なことだと思いますよ?」
もじもじと手遊びしながら上目づかいでこちらの顔色をうかがってくる。
スレイはまだ幼いのに、王族の血を絶やさぬように、子供をつくりたいと言っているのか?
なるほどな、大変そうだ。
「わかった。では、国に戻ってがんばってくれよ。俺はここで静かに暮らすから」
帰ってもらおう。
スレイの背中を押して玄関に向かわせる。
王族とか、興味ないし。
「まっ、待ってください! ごめんなさい。失言でした。私を拾ってください! セツカ様と一緒に住みたいんですぅ。ひとりぼっちは嫌なんです! 他に行くあてが無いんですう!!」
そう言ってスレイは俺の足に縋りつき、涙を流して失言を謝罪した。
泣くほどのことを言ったつもりは無かったのに、困ったな。
やれやれと溜息をついてスレイの頭をなでてやる。
話では両親もいなく、仲間も殺されてしまったと聞く。
イシュタルに今帰れば大変な目にあうのは目に見えているか。
「ふぅ仕方がないな。状況が整うまでならここにいてもいいぞ」
「ありがとうございますセツカ様! うれしいです!」
今度は涙を流して喜んでいる。
神秘的な女の子だと思っていたのに、結構感情豊かなんだな。
スレイはガッツポーズをしてみせる。
「よし……ここでセツカ様とそういうことをすればいいですよね。やっちゃえばこっちのもの。子供をつくるのに大事なのは相手です場所や国じゃありません。セツカ様、若い女の子は好きですか? 私、肌とか白くてつやつやですよ?」
「スレイ。そういう気持ちはうれしいし、君はとても可愛らしい女の子だと思うけど、まだ幼い。もしかして国が滅びそうだから焦ってるんじゃないか? これからもっと沢山の人に出会うから、簡単にそういう発言はしない方がいい。王族の君は俺なんかよりももっといい相手にめぐりあうだろうし、大きくなったら物の見え方も大きく変わるんだ」
「恋に身分は関係ないです。わたしはもう、子供のつくりかたを勉強したい。セツカ様なら博識ですので、私に子供のつくりかた、教えてくださいますよね?」
「それは……まだまだ早いよ。君が知るのはもうすこし後でもいいんじゃないかな。いいかい?」
「じゃあ、もうすこし大きくなったら、スレイに子供のつくりかたを教えてくださいますか?」
「う、うん。もっと大きくなったら、俺も教えることができるようになるかも(俺も詳しくは知らない)」
「なるほど、約束しましたよ。大きくなったらセツカ様が私に子供のつくりかたを教えてくださるのですね! 結婚して教えてくださるのですね!」
「んん? そういう意味で言ったわけでは……」
「新イシュタル王国の復興はここから始まるのです。たくさんの王子と王女をこしらえましょう。永遠に外れない魔力をこめたリングで、イシュタル伝統の誓いの儀式を執り行って物理的精神的にセツカ様を逃さぬように私のてくにっくで……ふふふ!」
一人でニヤニヤしながら呟き始めたスレイ。
七人衆を倒し、危険が去ったあとはせっせと荷解きをしていたレーネが近寄って来た。
「えと、ご主人様はもうわたしとやくそくしているので、スレイさんはあきらめたほうがいいです。フェネク族に伝わる秘密のぎしきでやくそくしましたから。スレイさんは帰ったほうがいいかもです」
「え!? 秘密の儀式ってなんです? すごく気になる……でも、私だってセツカ様と結婚するんです。だって最初にそういうことを教えてもらう約束しましたから。セツカ様だっていいよって言ってました」
「いってなかったよ! スレイさんそれ嘘だよ!」
「言ってたもん! あなた、王族である私に向かって嘘つき呼ばわり?」
「いってなかった!」
「言ってたもんっ!」
「わたしがさいしょに大きくなったらお嫁さんにしてもらうって言ってもらった! スレイさんはだめダメーッ!」
「ダメじゃないもんっ! 私もセツカ様のお嫁さんになっていいよって言われたもん! 私もなるもん!」
どっちも言ってない。それが答えだぞ二人とも。
俺はやれやれと頭を掻くしかできなかったのである。
結局、イシュタルの姫スレイを俺とレーネの教会に迎え入れることになった。
その夜は簡単な食事を済ませ、買ってきた寝具をベッドに敷き詰め寝ることにした。
これで寝心地は抜群によくなった。
その夜。
「共有しませんか?」
「きょうゆう?」
「二人で同じ方を一緒に好きになるということです」
「……いいですね。けんかしないでご主人様の役にたちたい」
「共有!」
「きょうゆう!」
翌日にはレーネとスレイがとても仲良く遊んでいたのが不思議だった。
そういえば、子供ってけんかするけど仲直りも早かったよな。
まったく、俺は静かに暮らせるのだろうか?
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