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今思い返せば最低で最悪な人生だったと思う。腹が立てばメイドに熱い紅茶をかけ、不快に思えば地位と権力と金を武器に私の思うままに従わせる。
そして今度は私の愛する夫、このソシエル帝国の若き太陽と崇められるリンデン皇帝が側室という、地位のみを与えられた下人同等の人間を孕ませたことに嫉妬した私はあの見窄らしい女、リビミアの食事に毒を盛った。
毒と言ってもそんなに効力があるものじゃない。私の目的は、お腹の子を殺すことだった。それには十分な強さではあったけれど。
私の目論見通りリビミアは倒れお腹の子は流れた。次は私だ。次は皇后である私が皇帝に愛される番だ。そう信じて疑わなかった。
それから数日後の夜、私は皇帝に夜を共に過ごそうと誘われた。ほら、やっぱり私なんだ。あんな乏しい身分の側室より育ちもよく、教養もあり外見まで兼ね備えた私の方が好きなんでしょう、と心の中で少し高笑いをした。
それなのに__!
「皇后、そなたがリビミアの食事に毒を持ったことが調査の結果わかった。」
「は……?」
「こちらには証拠もある。何を言ったところで無駄な足掻きだ。そして、そなたの死刑執行も決まった。それまでせいぜい反省するといい。牢獄の中でな。」
やっと愛してもらえる、そう思ったのに告げられたのは愛の言葉なんてものではなく死刑執行が決まったということ。
なんでこんなことになってしまったんだろう。分かってる。こんなことを招いたのは私の醜い嫉妬だ。それでも、お腹の子を殺したというだけで死刑なのか。それもあんな女の子供だ。この国になんの支障もないことは明らかだろう。
「リビミアの子供ということは私の子供でもあるのだ。つまりお前は皇族を殺人した、ということになるのだ。」
もう、何も感じなかった。
この人は皇后である私を愛さなかった。それに飽き足らず側室を作り、その側室ばかりに愛を注いだ。私は寂しかっただけなのに。
全てが馬鹿馬鹿しくて、胸が痛くて。けれど、涙は勝手に溢れてきてしまう。愛されなくても、嫌われていても私は皇帝を愛していた。けれど私は、その愛した人に殺されるらしい。
もう、全てがどうだっていい。あとは来世に希望を持とう。皇帝なんかとは無縁で、私を愛してくれる人がいる世界線。
こんな世界なんか、皇帝なんか、全部全部大嫌いだ。全部全部、なくなってしまえばいいのに。
そして今度は私の愛する夫、このソシエル帝国の若き太陽と崇められるリンデン皇帝が側室という、地位のみを与えられた下人同等の人間を孕ませたことに嫉妬した私はあの見窄らしい女、リビミアの食事に毒を盛った。
毒と言ってもそんなに効力があるものじゃない。私の目的は、お腹の子を殺すことだった。それには十分な強さではあったけれど。
私の目論見通りリビミアは倒れお腹の子は流れた。次は私だ。次は皇后である私が皇帝に愛される番だ。そう信じて疑わなかった。
それから数日後の夜、私は皇帝に夜を共に過ごそうと誘われた。ほら、やっぱり私なんだ。あんな乏しい身分の側室より育ちもよく、教養もあり外見まで兼ね備えた私の方が好きなんでしょう、と心の中で少し高笑いをした。
それなのに__!
「皇后、そなたがリビミアの食事に毒を持ったことが調査の結果わかった。」
「は……?」
「こちらには証拠もある。何を言ったところで無駄な足掻きだ。そして、そなたの死刑執行も決まった。それまでせいぜい反省するといい。牢獄の中でな。」
やっと愛してもらえる、そう思ったのに告げられたのは愛の言葉なんてものではなく死刑執行が決まったということ。
なんでこんなことになってしまったんだろう。分かってる。こんなことを招いたのは私の醜い嫉妬だ。それでも、お腹の子を殺したというだけで死刑なのか。それもあんな女の子供だ。この国になんの支障もないことは明らかだろう。
「リビミアの子供ということは私の子供でもあるのだ。つまりお前は皇族を殺人した、ということになるのだ。」
もう、何も感じなかった。
この人は皇后である私を愛さなかった。それに飽き足らず側室を作り、その側室ばかりに愛を注いだ。私は寂しかっただけなのに。
全てが馬鹿馬鹿しくて、胸が痛くて。けれど、涙は勝手に溢れてきてしまう。愛されなくても、嫌われていても私は皇帝を愛していた。けれど私は、その愛した人に殺されるらしい。
もう、全てがどうだっていい。あとは来世に希望を持とう。皇帝なんかとは無縁で、私を愛してくれる人がいる世界線。
こんな世界なんか、皇帝なんか、全部全部大嫌いだ。全部全部、なくなってしまえばいいのに。
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