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第二章
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あれから何年経っただろう。あの日知らない女が俺を助けた。あの時使っていた風の魔力。あれは通常の魔力よりも遥かに強い魔力だった。
普通あれくらいの魔力を使えるのならば噂には流れているはず。それなのにそうといった噂は流れてきていない。しかも、あのものが公爵家の令嬢だとしたらおかしい。
あれほどの強い魔力を使えるのは王家の血を引き継ぐものだけ。それなのに何故…
あの夜、顔をよく見ていないが小さい頃会った女の子と目の色が似ていた。あの二人が同一人物だとしたら…
「王子!外で何やら異様な雲が現れています!」
ドアをロックせずバンっと勢いよく開けた。そこには騎士の服を着た男が立っていた。ターレスト。フィークの護衛をしているものだ。
「ドアはノックしてから開け」
「は!すいません」
「それで、異様な雲とは?」
ターレストは真剣な顔でフィークを見つめた。
「通常の雲とは違く分厚いです。そこから分かるのはあれはただの雲ではないということです」
「と言うと?」
「何者かの魔力によって作られたものでしょう」
フィークは椅子から立ち上がり外を見た。確かに何か様子が違う。王宮では異音な空気が漂っていた。
「すぐに街へ行き国民を避難させろ。被害がでかくなりそうだったら私が出る」
「はい!」
元気よく返事をして部屋を出ていった。フィークはその後考えていた。風の魔力なら風で雲を連れてくる。だったら、あれは風の魔力を扱うものではないだろう。そしたら、一つしかないな。
フィークが窓から街を見下ろしている時だった。雲から雷が落ちそれが電柱に当たり燃えだした。出るしかない、フィークはそう思い支度をした。
その時あるところに目がついた。ある一件の家に男の子が一人取り残されているのをそこに一人の女の子が危険を顧みず踏み込んで行った。
「あのままでは死ぬだろう」
そう考えていた。が、目を逸らした瞬間二人の周りに燃えていた火は一気に消えていた。しかも、周りに飛び散っていた火も一緒になって消えていた。
「ま、まさか」
フィークは急いで城を出て向かった。フィークは光の魔力を使い一瞬で広場に着いた。着いた瞬間空が真っ青になった。風がたくさん舞っていて前を見ることも大変だった。
風が治まりすぐ前を見たがまだ目は虚ろになっていてよく見えなかった。けれど、そこには一人の女の子が見えた、ような気がした。
「王子!ご無事ですか?!」
「ああ、大丈夫だ。それより今の風はなんだ?」
「それが…私たちにも分かりません。急に火が消え、次は風が吹き雲を吸い込んだのです」
「さっき居た女は」
フィークが見た時にはもうそこにはいなかった。
「あ、危なかった」
リリーアネは息を切らせながら座り込んだ。まさか、あそこまで強い魔力が使えるとは思いもしなかった。
あんな規模で魔力を使ったら何をされるか分からない。急いで路地に逃げ込んでいた。
「はぁ、これからどうしようかな」
リリーアネは考えながら立ち上がり路地から出た。すると、リリーアネの目の前に誰かが立っていた。恐る恐る、顔を上げるとそこには冷たい目でリリーアネを見下ろすフィークがいた。
リリーアネは怖くなりそのまま固まってしまった。
「お前ここで風の魔力を使っているものを見なかったか?」
リリーアネは、この人は確かこの国の第一王子フィーク。そんな人がなぜ私を探しているの?、ここでそれが私だと知ったらどうするのだろう。なんて言おう。俯きながらリリーアネが困惑しながら答えに息詰まっているとフィークが
「おい、なんか言ったらどうだ?」
リリーアネの顔を上げた。そして、青色の透き通るような目を見た途端
「お前…あの時の」
フィークが何を言っているのか分からなかった。
「え…?」
「お前だよな?さっき水の魔力と風の魔力を使ったものわ」
フィークには見破られていた。もう逃げれないそう考え
「…はい。そう…です。私がやったことです。罰なら何でも受けます」
「何を言ってるんだ?」
あなたこそ何を言ってるんですか?私は勝手に魔力を使った。それなら、罰を受けるのは当たり前。この国では魔力が使えるものは王宮に行き、手続きをしてから自由に使える。
だが、リリーアネは手続きも何もしていないのに勝手に使用した。
「この国を救ってくれたものに罰は受けさせない」
「それなら、なぜ私を探していたのですか?」
「質問がある。城まで着いてこい」
フィークはリリーアネの手を掴んで馬車に乗せた。私に断る権利はない、そういう事ね。けど、私になんの質問をするのかしら。もしも、それが嘘だとしたら…
リリーアネの頭の中に嫌な妄想が飛び散った。そんなことを考えている間に城に着いてしまった。遠くから見ても大きかったのにいざ目の前で見るとその圧倒さに驚いた。
リリーアネが連れてこられたのはフィークの部屋のようなところだった。
「そこに座っていてくれ。おい、お茶を持ってきてくれ」
「かしこまりました」
侍女はそういい行ってしまった。部屋には二人だけになった。緊張して固まっているリリーアネを見て
「そんな緊張しなくていい。じゃあ質問していいか?」
リリーアネは心を落ち着かせフィークを見た。
普通あれくらいの魔力を使えるのならば噂には流れているはず。それなのにそうといった噂は流れてきていない。しかも、あのものが公爵家の令嬢だとしたらおかしい。
あれほどの強い魔力を使えるのは王家の血を引き継ぐものだけ。それなのに何故…
あの夜、顔をよく見ていないが小さい頃会った女の子と目の色が似ていた。あの二人が同一人物だとしたら…
「王子!外で何やら異様な雲が現れています!」
ドアをロックせずバンっと勢いよく開けた。そこには騎士の服を着た男が立っていた。ターレスト。フィークの護衛をしているものだ。
「ドアはノックしてから開け」
「は!すいません」
「それで、異様な雲とは?」
ターレストは真剣な顔でフィークを見つめた。
「通常の雲とは違く分厚いです。そこから分かるのはあれはただの雲ではないということです」
「と言うと?」
「何者かの魔力によって作られたものでしょう」
フィークは椅子から立ち上がり外を見た。確かに何か様子が違う。王宮では異音な空気が漂っていた。
「すぐに街へ行き国民を避難させろ。被害がでかくなりそうだったら私が出る」
「はい!」
元気よく返事をして部屋を出ていった。フィークはその後考えていた。風の魔力なら風で雲を連れてくる。だったら、あれは風の魔力を扱うものではないだろう。そしたら、一つしかないな。
フィークが窓から街を見下ろしている時だった。雲から雷が落ちそれが電柱に当たり燃えだした。出るしかない、フィークはそう思い支度をした。
その時あるところに目がついた。ある一件の家に男の子が一人取り残されているのをそこに一人の女の子が危険を顧みず踏み込んで行った。
「あのままでは死ぬだろう」
そう考えていた。が、目を逸らした瞬間二人の周りに燃えていた火は一気に消えていた。しかも、周りに飛び散っていた火も一緒になって消えていた。
「ま、まさか」
フィークは急いで城を出て向かった。フィークは光の魔力を使い一瞬で広場に着いた。着いた瞬間空が真っ青になった。風がたくさん舞っていて前を見ることも大変だった。
風が治まりすぐ前を見たがまだ目は虚ろになっていてよく見えなかった。けれど、そこには一人の女の子が見えた、ような気がした。
「王子!ご無事ですか?!」
「ああ、大丈夫だ。それより今の風はなんだ?」
「それが…私たちにも分かりません。急に火が消え、次は風が吹き雲を吸い込んだのです」
「さっき居た女は」
フィークが見た時にはもうそこにはいなかった。
「あ、危なかった」
リリーアネは息を切らせながら座り込んだ。まさか、あそこまで強い魔力が使えるとは思いもしなかった。
あんな規模で魔力を使ったら何をされるか分からない。急いで路地に逃げ込んでいた。
「はぁ、これからどうしようかな」
リリーアネは考えながら立ち上がり路地から出た。すると、リリーアネの目の前に誰かが立っていた。恐る恐る、顔を上げるとそこには冷たい目でリリーアネを見下ろすフィークがいた。
リリーアネは怖くなりそのまま固まってしまった。
「お前ここで風の魔力を使っているものを見なかったか?」
リリーアネは、この人は確かこの国の第一王子フィーク。そんな人がなぜ私を探しているの?、ここでそれが私だと知ったらどうするのだろう。なんて言おう。俯きながらリリーアネが困惑しながら答えに息詰まっているとフィークが
「おい、なんか言ったらどうだ?」
リリーアネの顔を上げた。そして、青色の透き通るような目を見た途端
「お前…あの時の」
フィークが何を言っているのか分からなかった。
「え…?」
「お前だよな?さっき水の魔力と風の魔力を使ったものわ」
フィークには見破られていた。もう逃げれないそう考え
「…はい。そう…です。私がやったことです。罰なら何でも受けます」
「何を言ってるんだ?」
あなたこそ何を言ってるんですか?私は勝手に魔力を使った。それなら、罰を受けるのは当たり前。この国では魔力が使えるものは王宮に行き、手続きをしてから自由に使える。
だが、リリーアネは手続きも何もしていないのに勝手に使用した。
「この国を救ってくれたものに罰は受けさせない」
「それなら、なぜ私を探していたのですか?」
「質問がある。城まで着いてこい」
フィークはリリーアネの手を掴んで馬車に乗せた。私に断る権利はない、そういう事ね。けど、私になんの質問をするのかしら。もしも、それが嘘だとしたら…
リリーアネの頭の中に嫌な妄想が飛び散った。そんなことを考えている間に城に着いてしまった。遠くから見ても大きかったのにいざ目の前で見るとその圧倒さに驚いた。
リリーアネが連れてこられたのはフィークの部屋のようなところだった。
「そこに座っていてくれ。おい、お茶を持ってきてくれ」
「かしこまりました」
侍女はそういい行ってしまった。部屋には二人だけになった。緊張して固まっているリリーアネを見て
「そんな緊張しなくていい。じゃあ質問していいか?」
リリーアネは心を落ち着かせフィークを見た。
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