またあの日のように

怜來

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3 殺し屋の二人

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 お願いだ。ヒビキ。俺を殺してくれ。そうしなきゃ君は殺されてしまう。本当は君だってずっと分かっていた。俺も君と同じように殺し屋だ。こんなになったのもあの日からだな。俺たちの人生が狂ったのわ。
 俺たちはいつものように公園で遊んでいた。遊びに夢中になっていて時間なんて忘れていた。真っ暗な帰り道手を繋いで帰ったな。その時背後から襲われて俺たちは知らないところに連れてこられた。
 俺が目を覚ました時周りには男がいた。隣には君が意識を失って倒れていた。男たちは俺が目を覚ましたのに気づくと近づいてきた。俺は何をされるか分からずただただあっち行け、と怒鳴っていた。手足も縛られ身動きが取れなかったがヒビキの元に行って守ろうとした。すると、奥からボスのような男が現れた。その男は俺の父さんが借金をしていてそれをいつまで経っても返さなかったため俺たちをここに連れてきたという。
 じゃあ、なんでヒビキを連れてきたのか、ヒビキには関係ないことだと聞いた。すると、たまたま一緒にいてお前だけ連れて行っても顔を見られる可能性があったと言われた。それを聞き俺は怒鳴った。それなら今ヒビキを家に戻せと。男はこいつも使うから戻さないと言われた。自分のせいでヒビキに危険な目に遭わせてしまった。そこで、隼人はこう言った。
「俺はどうなってもいい、だからヒビキには危険な目に合わせないで」
 男はわかったとだけいい、ヒビキを連れていった。隼人はそれを見てすぐ男に飛びついた。
「何してんだよ!ヒビキをどこに連れていく気だ!」
「どこって安全な場所に連れて行ってほしいんだろ?」
「本当にそうか?なら、俺が一緒について行く」
 隼人はそう言い張った。もし、男たちが言っていることが嘘だとしたらヒビキは何されるか分からない。だから、ちゃんと家へ返すか見たいのだ。しかし男は
「そしたらお前は逃げるだろ?ダメだ。お前は留守番してろ」
 男は隼人を蹴った。腹を蹴られ隼人は痛くて動けなかった。
「ヒビキ……」
 その声はヒビキには届かなかった。
 そのままヒビキとは会うことがなかった。隼人はヒビキの無事を祈っていた。
 誘拐されてから二日たった頃男に言われた。
「お前の父親は自殺した。母親はどこかへ消えた。親が持ってた借金はお前が払うことになったぞ」
 鋭い目付きで上から見てきた。その圧迫感に押しつぶされそうになった。父さんが自殺?母さんは行方不明?じゃあ俺はずっとこいつらと一緒にいることになるの?もう助けてくれる人はいないんだ。すると、心の中でブチッと音がした気がした。隼人はその時に何もかも諦めた。だから男に聞いた。
「それはどれくらいなんですか?」
「千万は超えてるだろう」
「しかし、ボスこいつまだ七歳ですぜ?そんな大金こいつ払えるんですか?」
 近くにいた部下が言った。
 その時の隼人はまだ七歳。お金を稼ぐことなんてできっこなかった。
「まあそれもそうだな、だったら俺たちの仕事に携わってもらおうか」
 ボスは不気味な顔で笑った。背筋がゾッとした。こんな恐怖は今まで体験したこと無かった。
 それからは想像したことよりも遥かに苦しかった。毎日毎日特訓の日々。弱音を履いたらその日のご飯は無し。そんな日々が六年続いた。その結果運動能力だけはバツグンになったが学校には少ししか通ってなかったため勉強は全然だった。
 十三になり初めて仕事をすることになった。それは人殺し。ボスから標的を言われそいつを殺すという単純な仕事だった。最初の方は否定し続けたが、ある言葉によって俺は変わった。それは
「お前が手を汚すことで他の人たちは救われるのだぞ?お前が見て見ぬふりをしたら誰かが殺されるのだ。それでもやらないというのか?」
 そう言われると俺は断れなかった。十三の夏、初めて人を殺した。手が震えていた。何故こんなことになったのか、考えたくもなかった。それから俺は殺し屋として生きていく道を選んだ。
 あれからもう九年たった。人を殺すのも平気でできてしまうようになった。ある日ボスから写真を渡された。次のターゲットのようだった。写真を見ると自分と同じくらいの年齢に見えた。今までそんなの気にせず容赦なく殺してきた。それなのに写真を見て殺す気がでなかった。
 不思議な感情を押させ、さっそく下見をした。そしてわかった。それが誰なのか。俺の初恋の相手だった。それを知った時俺は泣き崩れた。あの時別れてから一度も会わず、生きているのかも分からなかった。生きていると知り会いたいと思った。彼女のあとを尾行して話しかけようと思った。だが見てしまった。彼女も殺しをしている所を。やはり、あの男はあいつを家に戻さなかった。俺のせいで彼女の人生は狂ってしまった。もう後戻りはできなかった。
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