君との約束を、僕は後悔する

怜來

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第一章

第一章 4

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「人間ってなんで人をいじめたりするんだろう」

  ふと神谷が言った。

「相手の人のことが気に食わないからじゃない?」

  僕はそう答えた。けれど神谷は不服そうに僕を見た。

「相手が気に食わなくても、放っておけばいいじゃない。どうして虐めてくるのかな」

  そんなこと聞かれてもまだ小さい僕には分からない。そんなことを考えたこともなかった。

「だってさ、虐められた人達はその過去を忘れない、虐めが原因で亡くなる人もいる。それなのに虐めた人達はそんなこと忘れて悠々と生きているんだよ。理不尽な世界よね」

  神谷は難しいことを考えている。僕と同じ歳とは思えないほど、しっかりとしている。

「どうしたの?急に」

「ううん。少し気になったんだ」

「そっか」

「もし透夜君が虐められていたら私が助けてあげるからね」

ーーーーーーー

「とう…とうや…透夜君!」

ハッ

 びっくりして目を開ける。目の前には心配そうに僕を見ている。今のは夢だったんだ。小さい頃に神谷と話していたことがリピートして夢にまででてきた。

「大丈夫?」

 頭を抱えていると神谷が聞いてきた。僕は寝ていたんだ。なんて失礼なんだ。僕は目の前にある空になったコップを掴みながらため息をつく。

「ごめん、まさか寝るとは思わなくて」

「大丈夫よ。疲れていたんでしょう。そろそろ帰ったほうがいいよね」

 鞄を手に持ち玄関へと向かう。最初よりも荷物が軽く感じた。

「今日はありがとう。また明日、学校で」

「…うん」

 家に帰ると家全体が暗かった。電気を一つずつ付けていく。冷たい空気が漂っている。机の上にラップがかかったお皿が置いてある。

『温めて食べて』

 見覚えのある字。母親だろう。両親は共働きで帰ってくるのは夜中。僕が寝ている時に帰ってきて学校に行ってる時に起きてくる。だから滅多に顔を合わせない。

 いつもこうやって机の上にご飯を置いといてくれる。まだお腹は空いていないので一旦自分の部屋に戻って着替えてからリビングにまた戻る。

 テレビをつけても面白い番組はやっていない。仕方なくスマホを開く。何日か前見つけたサイトにを開いた。

 名前は雛菊。あの時の僕はこのサイトを開いた時、アカウントだけ登録してお風呂に入り、その後このサイトのことを忘れていた。久しぶりに開いてみよう、そう思いログインしなおす。

「なんだろう…」

 画面が真っ暗になり文字が浮かんできた。

『初めまして。
ここはあなたのお悩みを解決するところです。
この私と話をして気の合う方とマッチングすることも可能です。
また、当事者の私ともお悩み相談が可能です。
何か嫌なこと悩んでることがありましたら、お気軽にご連絡ください』

 虐められている子達を助けたりする会みたいなものだろう。一度もこのような所に相談したことがなかった。正直いうと信用できないから。特に話を聞いてほしいわけじゃないし、助けてほしいわけでもない。

 助けて、と言っても結局何もしてくれないだろうから。

『ここを信用していなくても大丈夫です。
一度相談してみてください』

 僕の心を読んだかのような文章も書かれている。

 そして[相談がある]というボタンを押した。少し興味が湧いてきたのだ。

  名前は匿名でいいと書いてあったので登録をする時に霞と名乗っておいた。 

 すると早速メッセージがきた。

『初めまして』
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