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終わりの始まり

終わりの始まり ④

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「ここを抜け出そうとはしなかったんですか?」


「…したわよ。だけど、脅されてできなかった」


「脅されたって、サンザリカにですか?」


「…ええ…逃げでもしたらお前の子供がどうなってもいいのかってね…」


サンザリカはマリアスの子供を知っていたのか。確かに子供が自分達のせいで殺されそうになったら、親であるならば子供の命を優先するだろう。


「しかし、サンザリカが子供の居場所を知っているかわからないじゃないですか」


「それもそうだけれど、もしものことを考えたらこうするしかなかった。それが嘘か本当かはわからないんだから」


マリアスの言うこともわからなくもない。嘘か本当かはサンザリカにしかわからないのだから。


「今でもきっとジュリアートは元気ですよ」


それを言うとマリアスは優しく微笑んで


「ありがとう」


と言った。それからはたわいもない話をして部屋に戻った。


「これ以上もたもたしていたら本当に殺される…もう決着をつけなきゃ」


カナリヤは決心し部屋をでる。


「カナリヤ!」


あいつか。ほんと私が行こうとするところにいるのだから。


「何?」


「お前に会いたいってやつが来たよ」




「なんであんたがここにいるのよ」


部屋のソファに座っていたのはマリヤだった。マリヤはカナリヤが入ってくると立って頭を下げた。


「外で話さない?」


相変わらず外へとの境を作る壁は高かった。あそこまでよく登れた、と自分でも少し驚く。


「なんのよう?」


「アイのことなんだけど。私アイに会いにいった。だけど、そこにいたのはアイじゃない、別人のアイだった……もうこれ以上人を殺めて欲しくない…!だからあなたに全ての始まりを話す。アイがああなっちゃったのは私のせいなの」


「…」


「ここにくる前の世界でアイと会ったのは小学生の頃。私はクラスのみんなにいじめられていた。原因はわからない。急にいじめが始まった。それから今まで仲のよかった友達もいなくなって、誰一人私のことを助けてくれなかった。担任の先生も両親でさえも。けどそんな私を救ってくれたのがアイだったの。アイは違う学校から転校してきた。可愛くては頭も良くて私からみたら高嶺の花だった。そんなアイが私に話しかけてくれた。それから私たちは仲良くなったの。私と仲良くするせいで周りの人からはアイ引かれていたわ。けれどアイはそんなのも気にせず私と一緒にいてくれた。だけど、私へのいじめは止まなかった。代わりに悪化したわ。前の私ならずっと病んでた。けど、アイがいるおかげで毎日が楽しかった。けどある日、私をいじめていた主犯が中学に上がった時に死んだの。夜の学校を回っていた警察官が見つけたの、理科室で死んでいるのを。それから相次いで私をいじめていた子たちが死んでいった。私は最初は嬉しかったけど、だんだん違和感を覚えたの。それでアイに聞いたら…『ええ、私よ。最初はノリでやったけどだんだん楽しくなっちゃって。けど、これでもうマリヤを虐める人たちはいないね!マリヤ安心してね。マリヤを虐める人がいたら私が許さないから!』怖かった。その時のアイが平気で人を殺すなんて。それも私のせいでアイが人殺しを…だから今のアイができたのは私のせい。だから私を殺して。そしてその後に…アイを止めて」


今までのことを話し終わるとカナリヤに剣を渡した。カナリヤはそれを受け取った。


「へえ、あんたのせいでアイがああなったの。そして、無関係な人を殺していった。そりゃあなたを許さないわね」
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