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見習い騎士

見習い騎士 ⑧

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「……私はリオンネです。カナリヤとは誰ですか?」


笑って誤魔化した。


「おや、私の勘違いか。すまない。それじゃあ早く部屋に戻りなさい。少し休んでから外に集合するから」


「分かりました」


頭を下げ急いで歩いてきた道を戻っていく。


「やはりそうか」


カナリヤの走っていく背中を見ながらボソッと言った。その顔は不気味な笑みを浮かべていた。



しまった。やらかした。まさかバレていたとは。誤魔化して逃げてきたがもう隠すことはできない。どうする?ここから逃げるか?そんなことをしたらもうここには戻れない。


それにあいつは私だとわかって入れたのか?


次々に疑問が湧いてくる。頭を掻き回しうずくまる。


だめだ。こうやって考えても何にも始まらない。だったら気づかれていることをうまく使い回すまでだ。前よりも危険なことにはなるが問題ないだろう。


冷静になれ。


ゆっくりと立ち上がり前を向く。大丈夫だ。自分ならできる。


作戦を立て直そう。それより一つ気になることがある。サンザリカはシャリングの正体を知っているのか?自分の配下にある騎士団のリーダーの息子であることを。…知らないはずがない。


嫌な予感がする。サンザリカはシャリングの父親が裏切ろうとしたら騎士団の中の者を殺した。それがアルテストの弱点だから。


シャリングはアルテストの一番の弱点…。もし、私がアルテストと会いヘルの事を話したとサンザリカの耳に入ったらアルテストは終わる。その時一番に使われる者…シャリング…


だからあの時サンザリカはシャリングに騎士団に入れと勧誘したのか。こんな簡単なのに気づかなかった。あいつをハーネストのところに戻させたいがそっちの方が危険な可能性が高い。一番安全なのは……


「私が守る…か」


あいつは容易く人を殺せる。容赦はないからな。


「急がなきゃ」


カナリヤの走る音が廊下に響いた。




「あ、カナリヤ。お帰り」


「顔真っ赤だけど大丈夫か?何かあったのか?」


ルーセルが聞いてきた。


「別に何でもない」


椅子に腰掛け紙を取り出す。一人の人物に手紙を送ることにした。確かここら辺にはミーシャがいるからミーシャに持っていってもらう。ミーシャは猫なのに頭がいい。本当に猫なのかと驚くくらいだ。


コンコン


「サンザリカ騎士団長が外に集まれだって」


一人の男がノックして伝えてきた。


「じゃあ行こう」


自分の木刀を持ち部屋を出る。カナリヤはまだ座っている。


「行かないの?リオンネ」


「先行ってて。団長にも遅れるって伝えて」


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