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見習い騎士

見習い騎士 ④

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「なんでアイの名前を?!」


「知ってるんだな」


「…私の大事な親友よ」


「あっそ。用はこれだけ。それじゃ」


「ちょっと待ってよ」


帰ろうとするとマリヤがとめた。


「まさか、アイがこの世界にいるの?」


「…アイっていう名前はたくさんいる。お前が言うアイかは分からない」 


「その子はどこにいるの?」


「なんで自分を罪人に仕立て上げた人に教えなきゃいけないの?」


「それは…」


マリヤは何も言わなかった。これが国王に見つかれば面倒だから早歩きで部屋を出ようとした。


「待って」


またマリヤが何か言った。カナリヤは無視して歩いた。


「もしかしてあなたアイに何かするつもり?」


それを聞き歩くのを辞めた。マリヤの方は向かずに


「…そうだって言ったら?」


「…私があなたを止める」


「…ふーん…じゃあ聞くけど、もしそいつが人を殺してて、私がそいつに罰しようとしてても?それでも止める?」


マリヤからの返答はなかった。無言でカナリヤはマリヤの部屋から去った。



「アイが…人を…殺した…?」


マリヤは一人震えていた。またアイが人を殺めてしまったの?けど、アイが最初に人を殺したのは私のせいだ。あの時からアイは変わってしまった。


私のせいで…だからこそ、この世界にアイがいるのなら、また人を殺めているのなら私が止めたい。今までアイに助けてもらってばっかだったから次は私がアイを助けなきゃ。


マリヤは自分の部屋から出た。





「あ、負け犬。さっきの続きの話をしよう」


城から出るとさっき戦った男がいた。どうも不機嫌だ。


「俺はマーゲル・キャリスタンだ」


「知らないわよ、そんなの。私がせっかく名前つけてあげたんだからありがたく思いなさいよ」


「負け犬なんて馬鹿にしているようなもんだろ」


「馬鹿にしてるから負け犬ってつけたんでしょ」


マーゲルはもっと不機嫌になった。今にも頭が噴火しそうだ。カナリヤはそれを見て面白がっている。  


「それで、あなたはこれから私に仕えるのよ。私の言うことは何でも聞きなさい。早速一つ。またここにサンザリカとアイが来たらすぐに私を呼んで。それだけ」


「…俺は国王陛下に忠実した身。裏切ることはできない。国王陛下を守るのが俺の役割だ。お前に仕えない」


「じゃあ聞くけど…国王とこの国どっちが大事?」


マーゲルは何か言おうとしていたがなにも言わなかった。どちらも選べないのだろう。


「答えなんて出てるでしょ。この国の方が大事なはずよ。王ってものは国民を守るのが役割。国民を守るためなら命を投げ出す。それくらいわかるよね?」


「…お前はそこまでして何がしたいんだ?何でそんなに国王陛下を嫌ってるんだ?お前のすることは国を敵に周すこと。それをやろうとするなんて正気か?」


カナリヤはさっきまでの楽しそうな表情は消え暗い顔へと移り変わった。


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