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アルファ騎士団

アルファ騎士団 ⑤

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「ふう、疲れた。ほら、お茶だよ」

ハーネストがシャリングにお茶を手渡す。ここに来てから一時間半以上鬼ごっこをした。本当にきくのかはわからないがやらないよりはましだと思い頑張って走り続けた。

シャリングが逃げの時はすぐにハーネストにつかまりハーネストが逃げの時は全然見つからなかった。ハーネストは足も速いし体力もある。羨ましい。

それに比べてシャリングは最初のほうは順調だったがずっと走り回っていたため足がボロボロですぐにばてた。

「シャリングは体力があんまりないな。足の速さはまあまあだ」

「どうしたら体力がつくんだろう」

「頑張るしかないだろ。あとは気持ちだな。シャリングはなんで騎士団に入ろうと思ったの?」

「それは…」

言われてみればそうだ。なんで騎士団に入ろうと思ったのだろう。

「カナリヤを危険なところに一人で行かせたくなかったから…?」

「本当にそれだけか?」

ハーネストがシャリングをみる。

本当にそうなのだろうか。それだけだったのか。サンザリカと初めて会った時見た瞬間怒りが込みあがってきた。それはカナリヤへの同情だろうか。それもあるかもしれない。

けど、それだけじゃない。シャリングの父アナテストのことだ。サンザリカはアナテストの優しい心にのめり込み、アナテストの大切な仲間を無残に殺した。許せなかった。

だからこいつに復讐しようと思った。カナリヤと同じ事を思うようになったのだ。

「まあ聞いたりはしないよ。けどその思いを忘れずにね。あ、けど、怒りで暴走するのはやめてね」

ハーネストが笑いながら言う。






それから三週間以上たった。シャリングは順調に成長していっている。体力もついてきたし、剣もうまくなってきた。カナリヤは相変わらず森の中の家にこもり研究している。

明日は騎士団の試験の日。一日前から緊張していた。

「そんなに緊張するなって。まだ本番じゃないんだぞ」

「けど、もし落ちたりしたら」

シャリングが弱音を吐いていると後ろから背中を誰かに蹴られた。そして、顔面から倒れた。蹴ってきたのはカナリヤだった。カナリヤは一言

「うざい」

と言ってどこかに行ってしまった。

「痛…カナリヤ急にけってくるなよ…ゆっくりと立ち上がる」

「あはは、大丈夫か?」

「うん」

「今日はもう帰るか。明日も早いからね」

家に帰るといつの間にかカナリヤがご飯を作っている。

「あ、ありがとう」

「いや、あんたのためじゃないから」

って言っているがなんだかんだいつもシャリングのぶんのご飯も作ってくれる。今日のご飯はハンバーグだ。それにデザートの果物もある。

「いただきまーす」

「明日早く家出るからな。自分で起きろよ」

「わかった」
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