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ハルバリスト騎士団

ハルバリスト騎士団ー③

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「終わったぞ」


「あ、うん」


カナリヤとアナテストが話し合いを終わって部屋を出た。あれから約一時間くらい経っただろう。その間は侍女達が持って来てくれたお菓子とお茶をソファに座り食べていた。


やっとのことで話し合いが終わったようだ。待っているだけでくたびれた。


「私は帰ってやることがある。あんたはまだいるんでしょ?」


「うん。もう少しいようかな」

「一つ言わせてもらう」

カナリヤは振り返りシャリングを見る。

「今日は久しぶりに帰ってきたんだろ?難しい話をしないで楽しい話をしな。お前の父親もお前にあまり心配をかけたくないようだし。あまり変なことを聞こうとすんじゃないぞ?会えなかった分、今日で埋めな」

カナリヤの意外な言葉に驚きを隠せずにいた。カナリヤはフンとそっぽを向きそのまま行ってしまった。

確かにその通りだ。せっかく帰ってきたんだし、今までの事を話したりする方がいいのかもしれない。

カナリヤとアナテストが話していた内容は分からないが恐らくあの建物に繋がるものなのだろう。

アナテストもシャリングにそんなことを話したくないはず。

楽しい話でもしよう。




その頃カナリヤは門を出ていた。

(アナテストが国王に私の事を話すことはないだろう。それより、これからどうするか。隣国も関わっているとしたらめんどくさいな。大変なことになりそうだ。だが、あいつ……サンザリカは何を作ろうとしているのか……)

そこが一番気になるところだ。人間を使って薬を作ることなんてあるのか。そんなことが有り得るのか。

あいつ…神(神と言えるのか)に聞きたいが会えるだろうか。あいつとはたまに夢に会うくらいだ。

偶然会えることが出来るか。

「まずは隣国から調べる必要があるな」



コンコン

「お父様……今いいですか?」

「……ああ……」

「大丈夫ですか?顔色が悪いですが……」

アナテストの顔はさっきまでの輝きは失い真っ青だった。

「大丈夫だ。それより、シャリング。あの子……カナリヤにはいつ会ったんだ?」

「えっと…上からの命令で僕がカナリヤの付き人になったのが始まりですね」

「ああ、あの時言っていた子はあの子だったのか」

アナテストにも自分の息子が誰の付き人になるのか知らされていなかった。

「どうだ?あの子といて楽しかったか?」

「はい。今まで体験したことの無いことばかりで楽しかったです」

「そうか、それは良かったな。……お前はあの子に何があったのか知っているのか?」

ゆっくりと顔を上げシャリングを見た。アナテストの顔は今にも泣き出しそうだ。 

「…まあ、大体は……」

「そうか……シャリング、お前に頼みがある」

弱々しく今にも消えてしまいそうな声でシャリングに言う。

「カナリヤを……カナリヤを守ってやってくれ。私にはできない……私の代わりにお前があの子と一緒にいてやってくれ……本当は俺があの子を守ってあげたいがそれは無理そうだから……」

父親にカナリヤを守ってほしいと言われるなんて考えもしなかった。けれど、これがアナテストにとってできる最大限の罪滅ぼしなのだろう。

シャリングはカナリヤとアナテストの話をドア越しに聞いていた。

アナテストはあの建物に関わっていること。今まで目の前で人が死んでも見て見ぬふりをしていたこと。

全てを知ってしまった以上断れなかった。
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