43 / 111
始まり
始まりー⑤
しおりを挟む
シャリングは急いでカナリヤの元へ走った。いつも嫌な予感がする時はよくその予感は当たる。
心配になりカナリヤの元へ急いで走ったのだ。カナリヤは歩くスピードが速く追いつくのに精一杯だった。
「あんたなんで着いてきたの」
「し…心…心配に……なっ…て……」
走ってきたため息が荒くなる。上手く喋れなかった。
「あんたに心配されるほど私は弱いと思われてんのか」
「そういう訳では……」
「私のことは放っておいて」
カナリヤはそのまま歩き出す。
「放っておけるわけがないじゃないか!」
シャリングは今出せる限りの声で叫んだ。
「君は…今からあの建物に行くんだろ?そんな危険なところに一人で行かせられる訳な無いだろ!一人で抱え込まないで俺たちにも相談してくれよ。少しでも力になりたいんだ」
「相談した所で今この状況が変わるって言うの?確信があるの?」
「それは……分からない。でも…だからこそやって見なきゃ分からないだろ!やってもないのにそうやって決めつけんなよ!」
カナリヤは無言だった。ずっとシャリング見つめている。何を考えているのだろうか、さっぱり分からない。
今の言葉で少しでも考えを変えてくれただろうか。
「勝手にしな」
「本当か!」
シャリングは嬉しくて堪らなかった。認めてくれたのだと。しかし
「だけど私は人を信用しないから」
小さく細い声で言った。シャリングはピタリと喜びが止まった。
けれど前よりは一歩近づけたんじゃないかと。それだけでも嬉しかった。
カナリヤの足が止まった。シャリングは目の前を見る。そこには高さ推定三メートルはある塀が何百メートルと続いていた。
「ここが……」
「足音立てるな。気づかれる」
小さい声で注意した。確かに見つかったら殺されるかもしれない。ここからは慎重にしていこうと思った。
するとさっきまで前にいたカナリヤがどこにもいなかった。焦って周りを見ると隣の木の枝にカナリヤが座っていた。
ホッとして塀を眺めていると後ろから足音がした。カナリヤだと思い振り向くと剣を持った男がいた。
シャリングは恐怖で座り込んでしまった。男は剣を持ち上げシャリングに向かって剣を振った。
終わりだと思いシャリングは目をつぶった。しかし、いつまで経っても剣は当たってこなかった。
恐る恐る目を開けると目の前には男ではなくカナリヤがいた。カナリヤは剣を男の首につけていた。
シャリングは慌てて立ち上がろうとしたが足がまだ震えていて立てなかった。
カナリヤは何か男に言っていたが聞こえなかった。男は体が震えている。遠くから見ても分かった。
心配になりカナリヤの元へ急いで走ったのだ。カナリヤは歩くスピードが速く追いつくのに精一杯だった。
「あんたなんで着いてきたの」
「し…心…心配に……なっ…て……」
走ってきたため息が荒くなる。上手く喋れなかった。
「あんたに心配されるほど私は弱いと思われてんのか」
「そういう訳では……」
「私のことは放っておいて」
カナリヤはそのまま歩き出す。
「放っておけるわけがないじゃないか!」
シャリングは今出せる限りの声で叫んだ。
「君は…今からあの建物に行くんだろ?そんな危険なところに一人で行かせられる訳な無いだろ!一人で抱え込まないで俺たちにも相談してくれよ。少しでも力になりたいんだ」
「相談した所で今この状況が変わるって言うの?確信があるの?」
「それは……分からない。でも…だからこそやって見なきゃ分からないだろ!やってもないのにそうやって決めつけんなよ!」
カナリヤは無言だった。ずっとシャリング見つめている。何を考えているのだろうか、さっぱり分からない。
今の言葉で少しでも考えを変えてくれただろうか。
「勝手にしな」
「本当か!」
シャリングは嬉しくて堪らなかった。認めてくれたのだと。しかし
「だけど私は人を信用しないから」
小さく細い声で言った。シャリングはピタリと喜びが止まった。
けれど前よりは一歩近づけたんじゃないかと。それだけでも嬉しかった。
カナリヤの足が止まった。シャリングは目の前を見る。そこには高さ推定三メートルはある塀が何百メートルと続いていた。
「ここが……」
「足音立てるな。気づかれる」
小さい声で注意した。確かに見つかったら殺されるかもしれない。ここからは慎重にしていこうと思った。
するとさっきまで前にいたカナリヤがどこにもいなかった。焦って周りを見ると隣の木の枝にカナリヤが座っていた。
ホッとして塀を眺めていると後ろから足音がした。カナリヤだと思い振り向くと剣を持った男がいた。
シャリングは恐怖で座り込んでしまった。男は剣を持ち上げシャリングに向かって剣を振った。
終わりだと思いシャリングは目をつぶった。しかし、いつまで経っても剣は当たってこなかった。
恐る恐る目を開けると目の前には男ではなくカナリヤがいた。カナリヤは剣を男の首につけていた。
シャリングは慌てて立ち上がろうとしたが足がまだ震えていて立てなかった。
カナリヤは何か男に言っていたが聞こえなかった。男は体が震えている。遠くから見ても分かった。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
辺境伯令嬢は婚約破棄されたようです
くまのこ
ファンタジー
身に覚えのない罪を着せられ、王子から婚約破棄された辺境伯令嬢は……
※息抜きに書いてみたものです※
※この作品は「ノベルアッププラス」様、「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています※
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる