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異世界少女
異世界少女ー③
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「朝早くからすみません。カナリヤです。今よろしいですか?」
「いいぞ」
「失礼します」
ドアを開け一礼してから中に入った。カナリヤの部屋とは違いやはり立派だった。大きなベッドに真ん中には大きなソファ。
壁には絵画や家族写真が飾られている。
「ああ、薬師ではないか」
「はい、お会いしたのはこれで二回目ですね」
「そうだな、それで何か用か?」
「これジャスミン茶です。体にいいので是非オススメしたいと思いまして」
お盆からお茶を取り机に置いた。皇太子はジャスミン茶を見ながら
「へぇ、わざわざすまないな」
「いえ、私の勝手なので」
「頂こうか」
皇太子は一気に飲み干した。シャリングはビクビクしていた。いつ倒れてもおかしくない。
それなのにカナリヤは堂々としている。
「後ろにいるものは新しい付き人か?」
「はい。あの時は本当にありがとうございます」
「君名前は?」
「シャリング・ハルバリストです」
「シャリングか。どうだ?楽しいか?付き人は」
トゲトゲした言葉だ。シャリングはどう答えるか…
「楽しいですよ。山に山菜取りに行ったり調合したりと体験したことの無いことばかりで。毎日楽しいです」
「そうか、そうか。それは良かったな」
皇太子はソファで伸びをして席を立った。
「すまないが、これからまだ仕事がある。また話しは今度にしてくれないか?」
「はい、お忙しいところお時間を下さりありがとうございました」
礼儀正しく挨拶し部屋を出た。シャリングの頭からは少し汗が出ていた。冷や汗だ。
「あんたなにそんなビクビクしてるの」
「誰だってドキドキするだろ。ていうか、あれ本当に毒か?全然効いてないみたいだったが」
「あんた馬鹿なの?」
直球に言われた。本気で思っているような顔をしてシャリングを見た。
「あそこですぐに毒が効いたら私たちが犯人だってすぐ分かっちゃうでしょ。だからあの薬の効果は何時間か経ったら症状が出始めるようになってるの」
頭がいい。そんなこと考えていなかった。確かにあの場ですぐに毒の効果が出てきてしまったら俺たちが確実に怪しまれる。
「本当カナリヤは頭いいな」
「これくらいは分かるでしょ」
(はい、そうですね…)
部屋に戻ったあとは少し休み街の方へ行き病院を回った。
カナリヤは歳も関係なく色んな人に優しく接していた。
改めてカナリヤは凄いんだなと感心させられた。シャリングはその間ずっとついて行っては立っているだけだった。
(暇だ)
それから病院を一通り回り終わり城に戻った時だった。庭園から人の声がした。
二人は急いで駆けつけた。そこには黒い髪に黒の瞳をした少女が座り込んでその周りに人が集まっている。
すぐに分かった。彼女が異世界からやってきた少女だろう。
カナリヤは遠くから少女を見ていた。
「いいぞ」
「失礼します」
ドアを開け一礼してから中に入った。カナリヤの部屋とは違いやはり立派だった。大きなベッドに真ん中には大きなソファ。
壁には絵画や家族写真が飾られている。
「ああ、薬師ではないか」
「はい、お会いしたのはこれで二回目ですね」
「そうだな、それで何か用か?」
「これジャスミン茶です。体にいいので是非オススメしたいと思いまして」
お盆からお茶を取り机に置いた。皇太子はジャスミン茶を見ながら
「へぇ、わざわざすまないな」
「いえ、私の勝手なので」
「頂こうか」
皇太子は一気に飲み干した。シャリングはビクビクしていた。いつ倒れてもおかしくない。
それなのにカナリヤは堂々としている。
「後ろにいるものは新しい付き人か?」
「はい。あの時は本当にありがとうございます」
「君名前は?」
「シャリング・ハルバリストです」
「シャリングか。どうだ?楽しいか?付き人は」
トゲトゲした言葉だ。シャリングはどう答えるか…
「楽しいですよ。山に山菜取りに行ったり調合したりと体験したことの無いことばかりで。毎日楽しいです」
「そうか、そうか。それは良かったな」
皇太子はソファで伸びをして席を立った。
「すまないが、これからまだ仕事がある。また話しは今度にしてくれないか?」
「はい、お忙しいところお時間を下さりありがとうございました」
礼儀正しく挨拶し部屋を出た。シャリングの頭からは少し汗が出ていた。冷や汗だ。
「あんたなにそんなビクビクしてるの」
「誰だってドキドキするだろ。ていうか、あれ本当に毒か?全然効いてないみたいだったが」
「あんた馬鹿なの?」
直球に言われた。本気で思っているような顔をしてシャリングを見た。
「あそこですぐに毒が効いたら私たちが犯人だってすぐ分かっちゃうでしょ。だからあの薬の効果は何時間か経ったら症状が出始めるようになってるの」
頭がいい。そんなこと考えていなかった。確かにあの場ですぐに毒の効果が出てきてしまったら俺たちが確実に怪しまれる。
「本当カナリヤは頭いいな」
「これくらいは分かるでしょ」
(はい、そうですね…)
部屋に戻ったあとは少し休み街の方へ行き病院を回った。
カナリヤは歳も関係なく色んな人に優しく接していた。
改めてカナリヤは凄いんだなと感心させられた。シャリングはその間ずっとついて行っては立っているだけだった。
(暇だ)
それから病院を一通り回り終わり城に戻った時だった。庭園から人の声がした。
二人は急いで駆けつけた。そこには黒い髪に黒の瞳をした少女が座り込んでその周りに人が集まっている。
すぐに分かった。彼女が異世界からやってきた少女だろう。
カナリヤは遠くから少女を見ていた。
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