900 / 1,360
革命編 四章:意思を継ぐ者
火を継ぐ者
しおりを挟むウォーリスの手駒として動く悪魔騎士ザルツヘルムは、既にガルミッシュ帝国側に侵入している手駒の秘密を明かす。
それはリエスティアと共に帝国に赴いた傍付きの侍女であり、彼女の身体には奴隷紋と共に帝都全体を消失できる程の自爆術式が刻まれていた。
そうした行いを聞かされた帝国皇子ユグナリスは、憤怒の涙を流しながらザルツヘルムと立ち向かう。
そしてこれらの所業を実行するウォーリスに明確な敵意を見せ、自ら剣を握り対峙する決意を見せた。
「――……ハァッ!!」
「!」
ユグナリスは老騎士ログウェルとの修練を経て得た生命力を用い、それと同時に呼吸を整える。
すると身体に纏う白い生命力に赤い魔力が混じり、ユグナリスを中心に大気が僅かに揺れている光景を会場に残る全員に見せた。
それを肉眼で確認する皇帝ゴルディオスは、息子から迸る力強い波動を感じながら呟く。
「……こ、これは……生命力だけではない。まさか、魔力による身体強化も……?」
そう呟くゴルディオスは、過去にログウェルに教えを受けた時の話を思い出す。
魔力を用いた身体強化は魔力を持つ魔人や魔族の技法であり、魔力を体内に持たない普通の人間が用いれば強い毒を体内に巡らせ維持する状態に近くなる。
その為に人体に掛かる負荷が非常に強く、通常の魔法師でも一秒に満たない時間で虚脱感に襲われ意識も失うという重大な欠陥があった。
しかし『生命力《オーラ》』を用いる技法であれば、疲弊こそしながらもそれなりの時間で肉体能力が向上する。
時に生命力を自分の意思で纏い防御や攻撃に用いることは、人間から進化した聖人や、聖人の域に踏み込む準聖人達などが辿り付ける唯一無二の技法だった。
それを同時に用いるユグナリスの姿を見たゴルディオスは、目を見開きながら感嘆の言葉を零す。
「……ユグナリス。まさか三年にも満たぬ時間で、その域まで……。……お前も、アルトリア嬢に劣らぬ才を持っていたということか……」
ゴルディオスはそうした言葉を見せ、今までユグナリスを甘やかしていた自身の過去を思い出す。
ただ一人の子供として平和の世で大事に育てていた親が、息子の才能を見抜けず見出す事も出来なかった。
それどころか大事に育てたせいで息子の持つ才能が育たず、むしろ成長を阻害させていたのだと自覚する。
その不甲斐なさを感じ取りながらも、誰よりも優しい心で怒り悪魔に立ち向かう事を決意した姿を、ゴルディオスは感嘆する瞳で見据えた。
一方でユグナリスは、涙を左手で拭いながら鋭い敵意と決意を秘めた表情をザルツヘルムに向ける。
それを受けるザルツヘルムは口元を微笑ませ、右手に持つ黒い剣を構えながら声を向けた。
「――……やはり、ウォーリス様の仰る通りだった」
「……なに?」
「ガルミッシュ皇族の中で、最も危険な男。それは皇帝でも、帝国宰相でもない。……君だ、ユグナリス殿下」
「!」
「今まで計画を悉く狂わせた男。……始めは利用できる駒だと思った存在がここまでの脅威になるとは、誰も予測できなかっただろう」
「利用……?」
「君がアルトリア嬢と不仲である事を利用し、彼女を帝国から引き剥がす。そして、彼女をウォーリス様が手に入れる」
「!!」
「当初の計画から大きく逸れたが、こうして予定は戻された。――……アルトリア嬢は、既にウォーリス様が手に入れていることだろう」
ザルツヘルムはそうした言葉を余裕を見せながら語り、この事態にアルトリアの誘拐が目的に含まれている事を教える。
それを聞いたユグナリスは驚きこそしたものの、同じく生命力と魔力の炎を纏う剣を構えながら鋭い表情で言葉を返した。
「……ふんっ。アンタ達は、何も分かってないな」
「?」
「あんな性悪女を欲しがるなんて、アンタの主君は随分と見る目が無いってことだよ」
「……君も、アルトリア嬢の価値を何も理解していないらしい」
「知るか、そんな価値。あんな性悪女より魅力的な女性なら、もう俺の手に入れている。こんな事をしなければ性悪女も手に入れられない、アンタ達と違ってな」
「なるほど、それには反論の余地も無い。――……しかし、言葉だけでは私達に勝てないぞ。皇子」
「ッ!!」
ザルツヘルムは左手で自身の顔を覆い、即座に瘴気の甲冑を身に付ける。
それと同時に踏み込み瘴気を纏った黒い剣でザルツヘルムが素早く斬り込まれると、ユグナリスは生命力と炎を纏わせ自身の剣で打ち返した。
「!」
「ハァッ!!」
ザルツヘルムは甲冑越しに赤い目を見開き、自身の剣が弾かれた状況に驚く。
それと同時にユグナリスの剣は躊躇無く胴体部分へ斬り込み、ザルツヘルムは一歩下がりながら紙一重で炎を纏った剣を回避して見せた。
そこで驚愕を抱くザルツヘルムは距離を保ち、剣を構えながらユグナリスと向き合う。
しかしその時、瘴気を纏った自身の剣に赤い炎が移っている事にザルツヘルムは気付いた。
「……これは、私の瘴気を焼いている……?」
「まだっ!!」
「!」
瘴気を焼く炎に意識が向いた瞬間、ユグナリスはザルツヘルムに劣らぬ速度で踏み込みながら右手に持つ剣を薙ぐ。
その速度にもザルツヘルムは対応し瘴気の剣で防ぎ止めたが、炎を纏ったユグナリスの剣が瘴気に移り、その内部に在る鉄の刀身を露にさせた。
「この炎、まさか……!!」
「せぁあッ!!」
「ッ!!」
ユグナリスの炎が瘴気に及ぼしている影響に気付いたザルツヘルムだったが、剣の刃を戻したユグナリスが再び斬り込み始める。
その速度と剣圧は尋常ではなく、悪魔騎士であるザルツヘルムの身体能力と拮抗して見せた。
更に炎を纏った剣戟と打ち合う黒剣から、ほとんどの瘴気が剥ぎ取られる。
その異様な光景に気付いたザルツヘルムはユグナリスの剣を薙ぎ押した後、手元にまで燃え広がろうとする剣の瘴気を床へ払い捨てた。
そうした状況を待たずに再び踏み込み剣を上段から振り下ろすユグナリスに対して、ザルツヘルムはまた瘴気に剣を纏わせながら鍔迫り合いを始める。
そして間近でユグナリスの放つ剣の炎を確認し、その性質を感じ取りながら理解した。
「……なるほど。瘴気まで祓うとは、これが『赤』ルクソードの血が成す『火』か。……だが、悪魔騎士に拮抗できる技量はいったい……ッ!!」
「俺の師は、帝国で最も偉大だと語られる騎士だ……!」
「!」
「その騎士は、忠義を言い訳にして言いなりになってるアンタみたいな騎士なんかじゃない……!!」
「……クッ!!」
「誰よりも厳しく、誰よりも思慮深く、誰よりも尊敬できる男……。――……俺は、その偉大な騎士の剣を受け続けた弟子だッ!!」
鍔迫り合いを続けながら剣に纏わせる炎を強めたユグナリスは、悪魔化しているザルツヘルムの剣を押し返す。
それに対抗するように瘴気を高め押し返す腕力を強めるザルツヘルムだったが、それすらも祓うようにユグナリスの炎は瘴気に燃え移り始めた。
そして自身の剣が全て炎に覆われてしまったザルツヘルムは、自身の剣を手放しユグナリスの腹部に右足を蹴り込む。
それすらも避けたユグナリスは、逆に蹴り込む為に体勢を崩したザルツヘルムの左肩から胸へ斬り込むように炎を纏わせた剣を振り抜いた。
「ッ!!」
「はぁあああっ!!」
ユグナリスは瘴気の鎧を炎で斬り破り、ザルツヘルムの肉体に自身の刃が斬り込まれた感触を確認する。
それと同時に表情を強張らせ、右手に纏わせる炎を強めながらザルツヘルムの肉体へ炎を纏わせ始めた。
「グッ、ァアッ!!」
「このまま燃え尽きろ、ザルツヘルムッ!!」
ザルツヘルムの肉体に炎が広がり、纏っていた瘴気の炎が全て燃えながら散り始める。
そして露になったザルツヘルムの肉体へ更に深く斬り込んだユグナリスは、心臓に届く刃に炎を流し込みながらザルツヘルムの全身を焼いた。
瘴気すら焼き尽くす炎に包まれたザルツヘルムは、そのまま短い絶叫を上げながら床へ倒れる。
ユグナリスは斬り込ませた剣を引き、倒れながら炎に焼かれるザルツヘルムの肉体を見下ろしながら乱れた息を整えながら呟いた。
「……はぁ、はぁ……。……やった、のか……?」
生死を確認するユグナリスは、炎に焼かれるザルツヘルムを見下ろす。
しかしザルツヘルムは動く様子は無く、確実に心臓を裂いた状況と炎に包まれる姿を確認し、安堵の域を漏らして死亡した事を確認した。
そして振り返りながら壇上側に視線を向け、微笑みを見せながら口を開く。
「ザルツヘルムは倒した! 後は、皆で逃げれば――……」
「左だ、ユグナリスッ!!」
「っ!?」
避難を提案しようとしたユグナリスだったが、その言葉は拡声されたセルジアスの声に遮られる。
そのセルジアスが視認していたのは、不自然に揺らめく影がザルツヘルムの持っていた剣を動かす様子だった。
しかし反応が遅れたユグナリスは、咄嗟に避けながらも鋭い痛みを感じ取る。
ユグナリスの左腹部にザルツヘルムの剣が十数センチに渡って斬り込まれ、飛び退いた後に再び構えた時には大量の血を流し始めていた。
「ク……ッ!!」
『――……予想を超える、見事な腕前だ。ユグナリス殿下』
「!」
『だが、やはり若い。――……悪魔がこの程度で、屠れると思わない事だ』
「な……っ!!」
深く斬り込まれた左腹部の傷を癒しながら、ユグナリスは剣を掴み動く影から声を聞く。
そして影が徐々に人型の姿を形成し、そして影から傷一つ無いザルツヘルムが姿を現した。
その事態に驚くユグナリスは、痛みを堪えながら右手に持つ剣に再び炎を灯す。
「何故、確かに死んだはずなのに……ッ!!」
「君の『火』は、確かに瘴気を扱う悪魔にとっては脅威だ。……だが炎の傍には、必ず影が付き纏う」
「!?」
「炎に照らされた私自身の肉体が、その背後に影を作った。……安定した影があれば、すり替わる事は出来る」
「……まさか、あの鎧から抜け出して、別の下級悪魔と入れ替わった……!?」
「君の剣は、確かに悪魔を斬った。……だが残念な事に、それは私では無かった。それだけだ」
「クソ……ッ!!」
ザルツヘルムはそう語り、再び剣を構えながら瘴気を身に纏い鎧を形成する。
それを見ながら苦々しい面持ちを浮かべるユグナリスだったが、更に左側から迸る金色の雷光が目に移った。
その雷光がザルツヘルムを襲い、纏おうとした瘴気の鎧を一部だけ散らす。
そして両者が雷光の放たれた位置を見ると、そこには金色の魔力を身に纏った狼獣族エアハルトが右手を翳しながら立っていた。
「エ、エアハルト殿……!」
「……」
「――……俺の相手だ。引っ込んでいろ、小僧」
エアハルトは電撃を纏いながらそう言い、二人に歩み寄る。
その言葉を聞いたユグナリスは傷口を左手で押さえながら治癒力を高め、息を乱しながらも強気な態度を見せた。
「……いいえ。この男は、俺が倒します……!!」
「奇襲も見抜けないような間抜けは、邪魔だ」
「もう、邪魔にはなりません。……今度は、逃げ込める影も一緒に焼き払います……!!」
「……チッ」
二人は譲ろうとする意思を見せず、互いに闘争心を高めてザルツヘルムと向き合う。
その二人に見られるザルツヘルムは、改めて瘴気の鎧を纏いながら剣を構えた。
「……いいだろう。お前達に、悪魔の恐ろしさを教えてやる」
そうした言葉を見せるザルツヘルムは、殺意と敵意を剥き出しにした瘴気を纏いながら二人と対峙する。
それに対してユグナリスとエアハルトは同時に構え、互いに飛び出すようにザルツヘルムに襲い掛かった。
こうして悪魔騎士ザルツヘルムと対峙するユグナリスとエアハルトは、会場内にて激戦を続ける。
しかし二人の女性を目的とした襲撃は継続しており、二人の知らぬ場所で状況は時間が経つにつれて悪化していた。
0
お気に入りに追加
381
あなたにおすすめの小説
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから
真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」
期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。
※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。
※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。
※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。
※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。
アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
やはり婚約破棄ですか…あら?ヒロインはどこかしら?
桜梅花 空木
ファンタジー
「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」
やはり避けられなかった。頑張ったのですがね…。
婚姻発表をする予定だった社交会での婚約破棄。所詮私は悪役令嬢。目の前にいるであろう第2王子にせめて笑顔で挨拶しようと顔を上げる。
あら?王子様に騎士様など攻略メンバーは勢揃い…。けどヒロインが見当たらないわ……?
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる