上 下
838 / 1,360
革命編 四章:意思を継ぐ者

慈愛を持つ者

しおりを挟む

 脅迫せっとくに応じた妖狐族クビアは、アルトリアが問い質す質問に答えていく。
 しかし【結社】との関わりも深いクビアの口から語られる話と、ルクソード皇国の事件を記憶しているアルトリアやバリスが認識していた事実関係に大きな相違が見え始めた。

 女皇ナルヴァニアとランヴァルディアの主導で行われていた合成魔獣キマイラ合成魔人キメラの生体実験に関して、【結社】に与していた魔人バンデラスが関与しているはずがない。
 そして初代『赤』の七大聖人セブンスワンルクソードの末裔であるケイルの一族が殺され奴隷として囚われた事件について、【結社】を取り纏める『青』が関与するはずがないという情報。
 更にランヴァルディアが起こした皇都襲撃後に出て来た数々の証拠が、偽証や捏造されたモノではないかという疑い。

 クビアは淀みの無い確信を秘めた声色でその事を伝えた後、アルトリアは少し考え込むんだ後に後ろに控えていたバリスに伝えた。

「――……バリス。貴方に御願いがあるわ」

「何でしょうか?」

「貴方はルクソード皇国に戻って、二年前に起きた事件から出て来た証拠を全て調べ直すように、ダニアスやシルエスカに伝えて」

「!」
 
「確かに、あの事件はまだ明かされていない不自然な部分が多い。幾ら実績と権威があると言っても、自分に恨みを持つランヴァルディアを女皇ナルヴァニアが生かし続けて研究所の局長に起用させていたのはおかしいわよね?」

「……それは、確かに」

「それに、あそこまで生体実験の研究が大掛かりだったにも関わらずよ。豊富な人材を確保していた曽御爺様ゾルフシスとハルバニカ公爵家が決定的な証拠も掴めずに隠蔽されていたのに、事件後に関係者達からの証言以外に確定的な証拠が出るのもおかしい。誰かが意図的に証拠を用意した可能性は、捨てきれないわ」

「……なるほど。彼女クビアとアルトリア様のげんは、確かに可能性としては捨てきれません。しかし、それを今更になって調べる意味とは何でしょうか?」

「私達は、とんでもない勘違いをしている。いや、させられているのかも」

「!」

「バンデラスとランヴァルディアに関しては、『青』のガンダルフと関係性があったのは確かよ。ガンダルフはランヴァルディアに不完全な『神兵』の心臓コアに関する製造方法を伝えた、もしくは実物を譲渡していたのは間違いない。そしてバンデラスに私を誘拐させ、『神兵』の心臓を取り込んだランヴァルディアと引き合わせた。でもそれは【結社】を通じて運び屋のバンデラスとランヴァルディアとの関係性を示すだけであって、ルクソード皇国で行われていた生体実験の全てに関与していた可能性を示すものではないわ」

「それは……」

「あの時にガンダルフが関与していた目的は、私とランヴァルディアを衝突させて、新兵の肉体を得たランヴァルディアのからだか、彼との戦闘経験を経て完全な『聖人』に達した私の肉体を確保することだった。結果的に私達はランヴァルディアに勝利したから、ガンダルフは私達を襲って私の肉体を手に入れようとした」

「……!!」

「ガンダルフの目的に関しては、あの時点ではそれ以上でも以下でも無かったはず。……でも奇妙なのは、その後の出来事」

「後の出来事とは、証拠が出た事ですかな?」

「いいえ。ホルツヴァーグ魔導国とフラムブルグ宗教国家が、ルクソード皇国に対して宣戦布告した事よ」

「!」

「あの時点で『ガンダルフ』の死はともかく、『黒』の七大聖人セブンスワンに関する情報は皇国内部ですら把握していなかった。なのに、いきなりフラムブルグ宗教国家は一早く『黒』の七大聖人セブンスワンも含めて私達の身柄を拘束しようとして、ミネルヴァと共に精鋭を送り込んだ。その時点で既に奇妙だったのに、『黒』の正体とミネルヴァ襲撃のタイミングが良過ぎて変に思考を結び付けてしまったのね」

「と、言うと……?」

「あの時点で、私達は【結社】を通じてフラムブルグ宗教国家とホルツヴァーグ魔導国に情報を得て、『ガンダルフ』の死に関する報復と『クロエ』を得ようと二つの大国が動き出したんだと思った。でも実際には、【結社】を通じずに二国にそれ等の情報を流した者がいるとしたら?」

「……!!」

「全て【結社】が悪いと述べるように用意された証拠。そして【結社】を暗躍させていると考えていた二国の得た情報。それ等が【結社】ではなく、まったく別の『誰か』に用意され流されたモノだったとしたら。……皇国だけじゃなく、魔導国や宗教国家でさえその『誰か』に翻弄され、私達は【結社】の危険性を勘違いさせられている可能性がある。そういう事よ」

 アルトリアは今まで得た情報と自身の記憶から、そうした結論を導き出す。

 ルクソード皇国で起きた事件と、それに関連する大国の動き。
 まさにタイミングが良過ぎる状況下において、誰もが【結社】という組織の暗躍を考え、そして危険性を感じずにはいられなかった状況。

 それが何者かによって意図的に誘導された思考であり、【結社】を強く危険視させて注目させる為に導き出された答えなのだとしたら、今までの状況に関する答えを覆す可能性がある。
 そうした結論をいち早く思考したアルトリアは、更に自身で導き出した解答も伝えた。

「私の推測ではあるけど。その筋書きを書いた人物こそ、ウォーリスだと思うわ」

「そんな、まさか……!?」

「お兄様達から聞いた話だけど、十五年前くらいにはウォーリスと女皇ナルヴァニアは接触していたはずよね。そしてその時期から、色々と事件が起こってるはずよね?」

「!」

「皇族の血筋であるランヴァルディアの子供を妊娠した女性ネリスの殺害。そして人体実験まで行う合成魔獣キマイラ合成魔人キメラの研究。もしそれ等を主催していたのがナルヴァニアだったとしても、提案したのはウォーリスかもしれない」

「!?」

「唯一の身内とも言える息子ウォーリスが提案した事ならば、母親として応えたいと思う事もあるでしょう。実際にハルバニカ公爵家を抑え込みながら皇国内部で色々と出来ていたようだし、幾ら聡明と名高いナルヴァニアでも支持者の少ない彼女では反対勢力である皇国貴族家に対応する事も出来なかったはず。……彼女にそれだけの対応が出来る後ろ盾があったとしたら、話は別だけどね」

「……その後ろ盾が、まさか息子であるウォーリス殿だと?」

「その可能性が高いという話。ゲルガルド伯爵家は帝国内でもかなりの領土を得て事業にも成功していたし、それなりの資金力はあったはず。それをナルヴァニアに回しながら皇国内の事業にも手を伸ばし、女皇の後ろ盾になって支援する。資金も増えて研究成果も得られるとしたら、得しかないでしょ?」

「……!」

「貴方に御願いしたいのは、今まで出て来た証拠の洗い出しと、ウォーリスとナルヴァニアに関連する皇国内部での情報を見つけ出すこと。それをダニアス達に伝える為にも、貴方にはルクソード皇国に戻って欲しいの」

 アルトリアはそう述べ、皇国内で起きた一連の事件と【結社】に関する思考誘導がウォーリスの策略だと仮定する。 
 それを聞いていたバリスは驚愕を浮かべ眉をひそめたが、悩む様子を見せた後に小さな溜息を漏らして頭を下げながら伝えた。

「……分かりました。シルエスカ様とダニアス様に情報を伝え、私自身もルクソード皇国に戻り、事件の詳細を調べ直しましょう」

「お願いね」

「しかしそうなると、アルトリア様の護衛が……」

「今は私の事よりも、一刻も早くウォーリスの危険性を各国に広める必要がある。もしあの男が魔導国ホルツヴァーグ宗教国家フラムブルグにも手を伸ばしているとしたら、どうなると思う?」

「!」

「下手をすれば、ウォーリスが流す情報次第で世界大戦が起こるかもしれない。そうなったら取り返しがつかなくなる。だからルクソード皇国を基点にウォーリスの情報を集めて、あの男の信用性を落とす材料を揃えなければいけないのよ」

「……」

「私の護衛なんて、してる暇はもう無いわ。……頼むわよ」

「……うけたまわりました。ではこの尋問おはなしが終わった後に、私はルクソード皇国に戻らせて頂きます」
 
 バリスはアルトリアの護衛を離れ、ルクソード皇国に戻る事を承諾する。
 答えを聞き届けたアルトリアは小さく頷いた後、再び牢獄の中に居るクビアへ視線を向けた。

 それに気付いたクビアは、小さな嘆息を漏らしながら問い掛ける。

「そっちの話はぁ、もう終わったのかしらぁ?」

「ええ。待たせて悪かったわね」

「まぁ、いいんだけどねぇ。……それでぇ、私に聞きたい事はもう無いのぉ?」

「勿論、まだあるわよ。――……まぁ、最初の質問に戻るわけだけど。貴方は【結社】の依頼ではなく、個人的に私を誘拐するように依頼を受けた。そういう話だったわよね?」

「そうよぉ」

「その個人の依頼は、誰がしたの?」

「それなんだけどねぇ。オラクル共和王国の大臣だったかしらぁ」

「大臣って、まさか帝国こっちで捕まえてる外務大臣ベイガイルのこと?」

「違うわぁ。確かぁ、財務大臣だったはずよぉ」

「財務大臣……?」

「そうなのぉ。貴方を誘拐してオラクル共和王国まで連れてくればぁ、白金貨で一万枚の報酬をくれるんですってぇ。それだけあればぁ、色々と困らないのよねぇ?」

「……」

「そんなに睨まないでよぉ。だって人間の世界で暮らすにはぁ、お金が無いと困るじゃなぁい?」

「はぁ……。なんでアンタ、そんなに金が欲しいわけ?」

「子供達の為よぉ」

「えっ」

 金銭に目が眩み依頼を受けたと語り微笑むクビアの言葉に、アルトリアは思わず溜息を漏らす。
 そして不意に問い掛けた言葉から、クビアは予想外の答えを述べた。

わたしねぇ、孤児院を経営してるのよぉ」

「……孤児院?」

「そうなのぉ。孤児院と言ってもぉ、人間の子供だけじゃなくてぇ、魔人の子供を集めてるんだけどねぇ」

「!」

「全員、親や家族がいない子供達でねぇ。あの子達が自立できるようになるまで育ててるのよぉ。あの子達を安全に暮らせるようにしたりぃ、自立する為の勉強をさせたりぃ、衣食住を整えるのはぁ、どうしてもお金が必要なのよねぇ」

「……だから、【結社】の依頼を受けて金を稼いでたの?」

「そうよぉ。……意外かしらぁ?」

「まぁ、そうね……」

「ちゃんと子供達を育てられる人も雇ってぇ、大人になったら支度金もちゃんと持たせてぇ、独り立ちできるようにしてるのよぉ」

「……」

「孤児院を出た子の中にはねぇ、立派な商人になった子もいるのよぉ。今ではその子は家族を築いてぇ、大きな商家を経営してたりするのよねぇ。後はぁ、『青』のやってる魔法学園に通ってる子にもぉ、定期的に仕送りしてるわぁ」

「……」

「今もねぇ、別々の場所で千人くらいの子供を養ってるのよぉ。みんなヤンチャだけど仲が良くてぇ、可愛い子達なのよぉ」

 クビアは微笑みながらそう語り、自身が養い続けている子供達の事を話す。
 それを聞いていたアルトリアは始めこそ困惑した面持ちを浮かべていたが、話を聞いて行く内にクビアに向けていた意識に含まれていた棘が減少していった。

「……捕まったアンタが死んだら、子供達は?」 

「そうねぇ。資金が止まったらぁ、育ててくれてる人にも賃金が払えないしぃ、まだ小さな子供達には何もしてあげられなくなるわねぇ」

「……」

「だからぁ、私はどうしても死ねないのぉ。魔族や魔人の誇りなんてモノにすがるよりぃ、子供達が笑って暮らせる場所を作って成長していく姿を見るのがぁ、里に居た時よりもずっと楽しいわぁ」

 クビアは今回の脅迫はなしに応じた理由を伝え、子供達の為にも死ねない事を明かす。

 それはエアハルトのような人間嫌悪を示す様子とは全く異なる、慈愛さえ感じるクビアの娯楽。
 子供達が成長する姿を見て楽しむという、人間よりも長い寿命を持つ魔人にとって有意義な楽しみ方を満喫しているようにも見えた。

 こうして妖狐族クビアから語られる言葉により、様々な可能性が判明する。
 そしてクビア自身の素性や生い立ち、そして人格が垣間見える話が、この場で明かされたのだった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【12/29にて公開終了】愛するつもりなぞないんでしょうから

真朱
恋愛
この国の姫は公爵令息と婚約していたが、隣国との和睦のため、一転して隣国の王子の許へ嫁ぐことになった。余計ないざこざを防ぐべく、姫の元婚約者の公爵令息は王命でさくっと婚姻させられることになり、その相手として白羽の矢が立ったのは辺境伯家の二女・ディアナだった。「可憐な姫の後が、脳筋な辺境伯んとこの娘って、公爵令息かわいそうに…。これはあれでしょ?『お前を愛するつもりはない!』ってやつでしょ?」  期待も遠慮も捨ててる新妻ディアナと、好青年の仮面をひっ剥がされていく旦那様ラキルスの、『明日はどっちだ』な夫婦のお話。    ※なんちゃって異世界です。なんでもあり、ご都合主義をご容赦ください。  ※新婚夫婦のお話ですが色っぽさゼロです。Rは物騒な方です。  ※ざまあのお話ではありません。軽い読み物とご理解いただけると幸いです。 ※コミカライズにより12/29にて公開を終了させていただきます。

アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!

アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。 「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」 王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。 背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。 受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ! そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた! すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!? ※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。 ※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。 ※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈 
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

処理中です...