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真実の追究1
差別
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異様な雰囲気は太陽の国に入る前から始まっていた。
門番の騎士がこちらを見るその様子が何もかもを物語っている。
それは初めてこの太陽の国に来た時、言葉が通じなくてイライラとしていた空気にも似ていた。
「…国王がお呼びです。」
ぶっきらぼうなその言い方に会釈して、私とソラは太陽の国へと足を踏み入れる。
人が賑わう町中、その人たちの視線が私達に集まる。
ひそひそと話す声、睨んだり怯えたりする視線。
今に始まったことではないが、今までで一番あからさまだった。
その時、一人の小さな男の子が目の前で転んだ。
私はその時、助ければ何か言われると直感的に分かった。
「何してるんですか!!うちの子に近づかないで!!」
撤回しよう、何もしてなくても言われる。
走ってきた母親らしき女性が私に向かって金切り声で叫ぶ。
ガタガタと震えながら子供を抱き締める女性は私を睨みつける。
「だから嫌だったのよ、差別禁止なんてふざけた法律。」
そう言い捨てる女性を横目に私はソラと城へと向かう。
すると誰かが酒瓶を投げつけてきた。
私が手で受け止めていなければ、また頭の傷が開いていたことだろう。
シグレの特訓のお陰で反射神経が鍛えられているすごい。
酒瓶が飛んできた方を見れば、酔っぱらいの男が私を指差している。
「お前のような人間がこの国をうろついてるのがずっと気に食わなかったんだよ!!なんで死刑を廃止しちまったんだ、今でもするべきだそうだろう!?」
周りの皆に呼びかける男、そして頷く者や何も言わない傍観者が山ほどいる。
「キュウ…」
「大丈夫、お城へ行こう。」
そうして進もうとした私のスカーフを男が引っ張った。
「聞いてんのかお前!!」
そうして取れてしまったスカーフの下には、亀裂とボロボロな青紫の傷が広がっている。
「ひっ!?気持ち悪、なんだお前、闇魔法だけじゃなくてそんな汚い見た目でよく生きてられるな。」
私はもうため息しか出てこない。
「スカーフ返して下さい。」
「こんなので隠そうとしたって無駄だ。外も中身も腐ってんだろ、お前みたいな人間は。」
自己紹介かな?
私はスカーフを諦めて城へと進む。
顔の傷も相まって、余計に周りがうるさくなる。
「何あの傷、病気かしら。移されたら困るわ。」
「闇の魔法だなんて気持ち悪い。出て行ってほしい。」
「人殺しの魔法なんて、最低。」
色々聞こえては来るが、無視して進む。
だが、隣りにいるソラはそうもいかない。
「ソラ、聞かなくていいよ。」
「キュウ…」
ソラは泣くのを我慢しているようだった。
こんな周りの言葉は子供に聞かせるもんじゃない。
「ソラ、耳ふさいどきな」
そう言ったがソラは黙って首を横に振った。
「国は今混乱しています。というのも、黄金の国のグウル国王が闇魔法の人間に殺されそうになったという噂が流れてきたからです。」
太陽の国王は真剣な面持ちで話し始める。
「我が国は闇魔法の差別を禁止している数少ない国。ですが、それを国民が良しとしない動きが出始めている。このままでは暴動が起きるかもしれません。国王として、国民を守らなくてはなりません。リビさん、貴女には申し訳ないが今後この国に入ることを許可できません。貴女の身の安全を保証出来ないからです。」
暴動はいつ起きるか分からない。
町中を見る限り、今まで不満を隠してきた人がたくさんいるのだろう。
だからこそ、噂によってあんなにも左右されるのだ。
「リビさん、貴女が初めてこの国に来た時言ったことをもう一度言います。ソラさんを太陽の国で保護させて貰えませんか。こんなことを言うのは酷ですが、貴女といることで危険が伴うことになるでしょう。絶滅危惧種であり、この世界の守り神であるドラゴンを失うわけにはいかないんてす。」
太陽の国の王はとても穏やかな人だ。
穏やかで、そして何も知らない人だ。
そもそも知ろうとしないのかもしれない。
「太陽の国はソラを守れるんですか?」
私の問いに騎士たちがざわめく。
馬鹿にされたと思っている人もいるだろうが、何も知らないからこそソラを手元に置きたがるのだ。
「ソラを守るために命をかけられますか?」
「何を仰っているのか…」
「ドラゴンの命を狙う者がいます。そいつらは人の命なんてなんとも思ってない。簡単に人を殺します。ソラが太陽の国にいれば、この国はそいつらに狙われますよ。」
「だ、誰なんです、それは。」
戸惑う国王の頬に汗が伝う。
「いいんですか言っても。聞いたら殺される対象になりますよ。そいつらは自分たちの情報がバレるのを嫌うんです。」
組織について話す機会は伺うべきだとヒサメと話していた。
だが、こちらに不利な話が出回っている以上少しでも動きやすくするために情報を撒いておく必要がある。
「グウル国王を殺そうとしたその犯人が、ドラゴンを殺そうとしているんです。」
「まさに噂の、ということですか。」
「はい。闇魔法の人間って噂が流れてますよね。でも、そいつらは今まで情報を隠し続けてきた。だから、今までどれだけ死人が出ても気付かれていない。しかしこのタイミングで闇魔法の人間という情報が噂になった。明らかに意図的だと言えませんか?」
国王は考えあぐね、それから口を開く。
「しかし、貴女の言うその危険な人達が存在している事は証明出来ないでしょう?そもそも、どうしてそんなことを知っているんです。どこから情報を得ているのですか?」
「これは私と白銀の国王が調べてきたことです。私はソラを守るために情報が必要でした。そのためにあらゆることを、この太陽の国についても調べていました。そもそも、噂の出所もはっきりしないのに、闇魔法の人間だと断定されている噂の方がおかしいでしょう?」
ざわつく城の中。
きっと私の声は届かない。
どれだけ言ったところで、闇魔法の人間に耳を傾ける者などいない。
「申し訳ないがリビさん、貴女の話を鵜呑みにはできない。貴女の話は飛躍的で、ドラゴンを渡したくないと駄々をこねているようにも見えます。」
「ソラのことを命がけで守ってくれる場所なら、喜んで連れていきますよ。でも、ここはそうじゃない。」
私は息を整え、話し出す。
「この国は不審死が相次いで出ていた時期がある。さらには、加害者は服毒自殺しているはずです。明らかな異変を見逃していますよね?」
「それは、先代の…」
「太陽の国王は迷いの森を出入りする事が唯一可能らしいですね。それなのに貴方は一度も足を踏み入れていない。多くの遺体が放置されているあの場所を見ないフリをしている。アイル先生の叔父だって、もっと早くに見つけられたはずです。」
「何故、そのことを知って…」
「別世界から来た人間を光の神官や聖女様になるように誘導していますね?何も知らない彼らを祭り上げて、拘束して、良心に訴えかける。そうすることで、太陽の国は加護を強めてきた、違いますか?」
「それ以上言うのなら王族侮辱罪に値します、リビさん。」
そんなことを言う国王は、それが認めることになるって思わないのだろうか。
だからこそ、私は黙らなかった。
「真実から目を逸らし、表向きには何も変わらない。そんな日常がお望みなんですよね?そんな国は、ソラを守れない。」
「それは我が国の騎士に対しても侮辱に値します。口を慎みなさい!」
声を荒げる国王を初めて見た。
それゆえに、その光景は誰から見ても異様だったはずだ。
それが本当に己の騎士たちを信用する言葉だったのなら随分と立派だろう。
しかし、何もかもをひた隠しにするための建前だったとしたら。
「この国の騎士全員の命をかけてソラを守るというのなら、私の首を切り落としてソラを自分の国のものにして下さい。ただし、これまでの太陽の国ではいられない。警備を増やし、ありとあらゆる人間に警戒し、怯えながら暮らしていくことになるでしょう。」
国王は言葉を詰まらせる。
私はわざと、首を切り落とすという物騒な言い回しを使った。
何故なら太陽の国の王は、責任の所在をはっきりとさせることを嫌うからだ。
闇魔法の処刑を迷いの森に任せていた時点で、自分自身で処刑したという罪を背負いたくないのではと思っていた。
生死が不明のままなら、幾分気持ち的には楽だろう。
その生死がはっきりしてはいけないから、王は迷いの森に入らなかったのだ。
この太陽の国で悪魔の儀式が行われていたことを知らないはずはない。
処刑の代わりに迷いの森が存在しているのは国王のためで。
転移した光魔法の人間が囲い込まれることが暗黙の了解なら。
その全てが、変わりたくない国のために存在していたなら。
「人の人生を変えておいて、自分だけは変わりたくないなんて都合がいいにもほどがあります。何も知らないままで誰かを守れるはずがない。見えないフリは終わりにしましょう。」
門番の騎士がこちらを見るその様子が何もかもを物語っている。
それは初めてこの太陽の国に来た時、言葉が通じなくてイライラとしていた空気にも似ていた。
「…国王がお呼びです。」
ぶっきらぼうなその言い方に会釈して、私とソラは太陽の国へと足を踏み入れる。
人が賑わう町中、その人たちの視線が私達に集まる。
ひそひそと話す声、睨んだり怯えたりする視線。
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私はその時、助ければ何か言われると直感的に分かった。
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走ってきた母親らしき女性が私に向かって金切り声で叫ぶ。
ガタガタと震えながら子供を抱き締める女性は私を睨みつける。
「だから嫌だったのよ、差別禁止なんてふざけた法律。」
そう言い捨てる女性を横目に私はソラと城へと向かう。
すると誰かが酒瓶を投げつけてきた。
私が手で受け止めていなければ、また頭の傷が開いていたことだろう。
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周りの皆に呼びかける男、そして頷く者や何も言わない傍観者が山ほどいる。
「キュウ…」
「大丈夫、お城へ行こう。」
そうして進もうとした私のスカーフを男が引っ張った。
「聞いてんのかお前!!」
そうして取れてしまったスカーフの下には、亀裂とボロボロな青紫の傷が広がっている。
「ひっ!?気持ち悪、なんだお前、闇魔法だけじゃなくてそんな汚い見た目でよく生きてられるな。」
私はもうため息しか出てこない。
「スカーフ返して下さい。」
「こんなので隠そうとしたって無駄だ。外も中身も腐ってんだろ、お前みたいな人間は。」
自己紹介かな?
私はスカーフを諦めて城へと進む。
顔の傷も相まって、余計に周りがうるさくなる。
「何あの傷、病気かしら。移されたら困るわ。」
「闇の魔法だなんて気持ち悪い。出て行ってほしい。」
「人殺しの魔法なんて、最低。」
色々聞こえては来るが、無視して進む。
だが、隣りにいるソラはそうもいかない。
「ソラ、聞かなくていいよ。」
「キュウ…」
ソラは泣くのを我慢しているようだった。
こんな周りの言葉は子供に聞かせるもんじゃない。
「ソラ、耳ふさいどきな」
そう言ったがソラは黙って首を横に振った。
「国は今混乱しています。というのも、黄金の国のグウル国王が闇魔法の人間に殺されそうになったという噂が流れてきたからです。」
太陽の国王は真剣な面持ちで話し始める。
「我が国は闇魔法の差別を禁止している数少ない国。ですが、それを国民が良しとしない動きが出始めている。このままでは暴動が起きるかもしれません。国王として、国民を守らなくてはなりません。リビさん、貴女には申し訳ないが今後この国に入ることを許可できません。貴女の身の安全を保証出来ないからです。」
暴動はいつ起きるか分からない。
町中を見る限り、今まで不満を隠してきた人がたくさんいるのだろう。
だからこそ、噂によってあんなにも左右されるのだ。
「リビさん、貴女が初めてこの国に来た時言ったことをもう一度言います。ソラさんを太陽の国で保護させて貰えませんか。こんなことを言うのは酷ですが、貴女といることで危険が伴うことになるでしょう。絶滅危惧種であり、この世界の守り神であるドラゴンを失うわけにはいかないんてす。」
太陽の国の王はとても穏やかな人だ。
穏やかで、そして何も知らない人だ。
そもそも知ろうとしないのかもしれない。
「太陽の国はソラを守れるんですか?」
私の問いに騎士たちがざわめく。
馬鹿にされたと思っている人もいるだろうが、何も知らないからこそソラを手元に置きたがるのだ。
「ソラを守るために命をかけられますか?」
「何を仰っているのか…」
「ドラゴンの命を狙う者がいます。そいつらは人の命なんてなんとも思ってない。簡単に人を殺します。ソラが太陽の国にいれば、この国はそいつらに狙われますよ。」
「だ、誰なんです、それは。」
戸惑う国王の頬に汗が伝う。
「いいんですか言っても。聞いたら殺される対象になりますよ。そいつらは自分たちの情報がバレるのを嫌うんです。」
組織について話す機会は伺うべきだとヒサメと話していた。
だが、こちらに不利な話が出回っている以上少しでも動きやすくするために情報を撒いておく必要がある。
「グウル国王を殺そうとしたその犯人が、ドラゴンを殺そうとしているんです。」
「まさに噂の、ということですか。」
「はい。闇魔法の人間って噂が流れてますよね。でも、そいつらは今まで情報を隠し続けてきた。だから、今までどれだけ死人が出ても気付かれていない。しかしこのタイミングで闇魔法の人間という情報が噂になった。明らかに意図的だと言えませんか?」
国王は考えあぐね、それから口を開く。
「しかし、貴女の言うその危険な人達が存在している事は証明出来ないでしょう?そもそも、どうしてそんなことを知っているんです。どこから情報を得ているのですか?」
「これは私と白銀の国王が調べてきたことです。私はソラを守るために情報が必要でした。そのためにあらゆることを、この太陽の国についても調べていました。そもそも、噂の出所もはっきりしないのに、闇魔法の人間だと断定されている噂の方がおかしいでしょう?」
ざわつく城の中。
きっと私の声は届かない。
どれだけ言ったところで、闇魔法の人間に耳を傾ける者などいない。
「申し訳ないがリビさん、貴女の話を鵜呑みにはできない。貴女の話は飛躍的で、ドラゴンを渡したくないと駄々をこねているようにも見えます。」
「ソラのことを命がけで守ってくれる場所なら、喜んで連れていきますよ。でも、ここはそうじゃない。」
私は息を整え、話し出す。
「この国は不審死が相次いで出ていた時期がある。さらには、加害者は服毒自殺しているはずです。明らかな異変を見逃していますよね?」
「それは、先代の…」
「太陽の国王は迷いの森を出入りする事が唯一可能らしいですね。それなのに貴方は一度も足を踏み入れていない。多くの遺体が放置されているあの場所を見ないフリをしている。アイル先生の叔父だって、もっと早くに見つけられたはずです。」
「何故、そのことを知って…」
「別世界から来た人間を光の神官や聖女様になるように誘導していますね?何も知らない彼らを祭り上げて、拘束して、良心に訴えかける。そうすることで、太陽の国は加護を強めてきた、違いますか?」
「それ以上言うのなら王族侮辱罪に値します、リビさん。」
そんなことを言う国王は、それが認めることになるって思わないのだろうか。
だからこそ、私は黙らなかった。
「真実から目を逸らし、表向きには何も変わらない。そんな日常がお望みなんですよね?そんな国は、ソラを守れない。」
「それは我が国の騎士に対しても侮辱に値します。口を慎みなさい!」
声を荒げる国王を初めて見た。
それゆえに、その光景は誰から見ても異様だったはずだ。
それが本当に己の騎士たちを信用する言葉だったのなら随分と立派だろう。
しかし、何もかもをひた隠しにするための建前だったとしたら。
「この国の騎士全員の命をかけてソラを守るというのなら、私の首を切り落としてソラを自分の国のものにして下さい。ただし、これまでの太陽の国ではいられない。警備を増やし、ありとあらゆる人間に警戒し、怯えながら暮らしていくことになるでしょう。」
国王は言葉を詰まらせる。
私はわざと、首を切り落とすという物騒な言い回しを使った。
何故なら太陽の国の王は、責任の所在をはっきりとさせることを嫌うからだ。
闇魔法の処刑を迷いの森に任せていた時点で、自分自身で処刑したという罪を背負いたくないのではと思っていた。
生死が不明のままなら、幾分気持ち的には楽だろう。
その生死がはっきりしてはいけないから、王は迷いの森に入らなかったのだ。
この太陽の国で悪魔の儀式が行われていたことを知らないはずはない。
処刑の代わりに迷いの森が存在しているのは国王のためで。
転移した光魔法の人間が囲い込まれることが暗黙の了解なら。
その全てが、変わりたくない国のために存在していたなら。
「人の人生を変えておいて、自分だけは変わりたくないなんて都合がいいにもほどがあります。何も知らないままで誰かを守れるはずがない。見えないフリは終わりにしましょう。」
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