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白銀の国3
友愛
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朝になり、昨夜と同じ広い部屋で朝食を取ることになった。
同じようなビュッフェ形式で、トゥアがソラと果物を皿に盛っている。
私も何か食べようと選んでいると、隣にザッフィロが来た。
「おはよう。」
「おはようございます。昨夜はソラのことありがとうございました。」
「別にかまわねぇよ。ヒサメ様と話でもあったんだろ?」
ザッフィロはそう言いつつ、焼き魚を取っている。
「話は確かにしてましたが、えっと、見えてました?」
あのバルコニーのガラス窓は特殊な加工がしてあって中からは見えないということだった。
「いや、出てくるところを見ただけだ。ああいう特定の人物にしか知られていない場所って王城って感じがするよな。あんたは、それを教えてもいいって思われる立場にいるわけだ。」
「多分、その、ヒサメ様の部下だからだと思います。」
「婚約者じゃないのか?」
「なんっ・・・なんでですか?」
大声を出しそうになり、私は慌てて音量を下げる。
ザッフィロは眉を顰めて首を傾げる。
「なんでもなにも、静寂の海の二人の様子からそういう仲だと思ってたんだが。部下っていうのもカモフラージュみたいなもんなのかと。俺が怒らせてしまった時もあんたのことでヒサメ様は怒ってただろ?それに、クレタが亡くなった時、ヒサメ様のあんたへの対応が部下って感じはしなかったから。」
確かにヒサメは私のことを気に掛けてくれることが多い。
でもそれは、恩人という出来事のせいであって、恋愛は絡んでいない。
「あの、本当に違います。ヒサメ様も私も、お互いに何とも思ってないんですよ。人間の部下なんてヒサメ様も初めてだから、対応を図りかねているんだと思います。」
「あんた、割と鈍いな。それなら、昨日の猫の時のことはどう説明するんだ?」
「あれは確実に揶揄われただけですよ。トゥアさんとザッフィロさんの反応が面白かったせいです。」
ザッフィロは納得がいかない様子で食い下がる。
「昨日、城へ行く時。あんたヒサメ様の隣にいたよな。あれってそういうことだろ。国の人に、あんたがヒサメ様の隣なのだと示すためだろうが。それって特別な意味合いがないと、しないだろ。」
「そうですね。」
ザッフィロに答えたのは私ではなく、後ろにいたシグレだ。
ザッフィロは肩を跳ね上げて驚いている。
私も驚いたが、そう何度も驚くのが癪で平気な振りをしてみる。
「あれは、いつまで経ってもよそ者を受け入れることが出来ない頭の固い上役の皆様をヒサメ様が黙らせるために、リビさんを隣に置いたのです。貴女の功績を無碍にできないようにするために。国民のほとんどが、リビさんのことを認識し始めている。ヒサメ様が認めている人間なのだと。そうなってしまえば、国の政治を担う上役であっても勝手に貴女を排除することは難しくなりますので。」
シグレはさらに一歩こちらに近づくと、私とザッフィロにしか聞こえない声で言った。
「ああでも、そうですね。あんなに大勢の国民がいたのですから、考えた人もいるでしょう。ヒサメ様の隣を許されたということは、そういうことなのでは、と。人の思考は自由ですから、好きなように想像するでしょうね。意図することも、意図しないことも、不思議と広まってしまうので。」
困ったように微笑むシグレは白々しい。
私は呆れたようにため息を飲み込んで問いかける。
「あの、昨夜からどうしてそういう方向に進めようとするんですか。シグレさんだって分かってるはずです。私がそういう器じゃないってことくらい。」
私のその言葉に、シグレはふいに私の手を掴んだ。
そうしてシグレは、ザッフィロの手も掴んだ。
戸惑う私とザッフィロは、あの特殊なガラス窓の扉の向こう、バルコニーへと引っ張られた。
ザッフィロは、こんなとこに入っていいのかと戸惑った表情をしているが、シグレは話を続けた。
「貴族の娘と結婚させようとする動きが出始めています。無理やりにでも婚姻を結ばせるおつもりなのでしょう。そうなったらヒサメ様はきっと、結婚しますよ。」
拳を握りしめているシグレは怒りの感情を押し殺しているように見えた。
王であるヒサメがいつまでも妃不在では体裁も悪いのかもしれない。
それに、妃が担う業務もこのままでは行うことができず、国民を不安にさせてしまう。
「ヒサメ様は国民のことを大切にしています。それゆえに、己の結婚はただの儀式に過ぎなくてもかまわないのです。そうであっても、ヒサメ様はきっとお相手のことを大切にします。子を成したとしても、その子供を大切にします。そういう人です、そういう人だからこそ、私は許せない。」
シグレの手が私の手を力いっぱい握る。
「家族の愛を求めていたヒサメ様に、また愛のない家族を作らせることが許せないのです!」
ヒサメはきっとどんな結婚相手でも大切にはしてくれる。
それは、私もそう思う。
だけど、そこに愛を含めることが出来ない。
妃の立場である相手を大切にし、王子の立場であるその子を大切に思えたとしても。
ヒサメが一番欲しかった愛のある家族は、そこには存在しない。
シグレは部下として、いや、友として。
ヒサメのことを想っているんだ。
「私だって、ヒサメ様が結婚するのならヒサメ様が愛せる人がいいですよ。でも、それって、私じゃないでしょ。ヒサメ様が私を気に掛けるのは、フブキさんの恩人の一件があるせいなんですよ。それだけで愛せるなら、今後誰かを愛することだって出来るはず・・・」
私の言葉が止まったのは、掴まれた手があまりに強い力で握られていたからだ。
「そんな簡単な話ではありません。人を信用することができないのに、その上愛するだなんてハードルが高すぎるんですよ。ヒサメ様にとっては難易度が高すぎるんです。ですがその信用を得ている貴女なら、可能性があります。この際、愛の種類はなんでもいい。恋愛である必要はありません。友愛よりも重ければ重いほどいいです。」
私が頭を抱えているとザッフィロがあのさ、と口を挟む。
「なんで俺まで連れてきたんですか?こんな話、部外者の俺が聞いていいもんかと。」
「ザッフィロさんは、リビさんがヒサメ様の婚約者だと思っていたと仰いましたね。そのまま、そのように振舞ってください。リビさんが素直に分かりましたと頷いてくれるはずがありませんから、周りから固めようと思っているんです。」
「それ本人の前で言う話じゃないですよ。」
ザッフィロは複雑そうな表情で隣の私を見た。
「あんた、ヒサメ様のこと本当に何とも思ってないのか?」
「友愛ならありますよ、さすがに。でもそれで結婚とはならんでしょうが。」
そう言った瞬間、ガラス扉が開いた。
「あの、リビさんいらっしゃいますか?」
顔を覗かせたのはボタンで、手には白い封筒を持っていた。
「ボタン、どうかしましたか。」
「シグレさん、白銀の国へと届いた書簡の中にリビさん宛てのものがあったのですが。」
シグレはボタンから白い封筒を受け取って、封蝋を見た瞬間眉を顰めた。
「これは、厄介なことになりそうですね。」
同じようなビュッフェ形式で、トゥアがソラと果物を皿に盛っている。
私も何か食べようと選んでいると、隣にザッフィロが来た。
「おはよう。」
「おはようございます。昨夜はソラのことありがとうございました。」
「別にかまわねぇよ。ヒサメ様と話でもあったんだろ?」
ザッフィロはそう言いつつ、焼き魚を取っている。
「話は確かにしてましたが、えっと、見えてました?」
あのバルコニーのガラス窓は特殊な加工がしてあって中からは見えないということだった。
「いや、出てくるところを見ただけだ。ああいう特定の人物にしか知られていない場所って王城って感じがするよな。あんたは、それを教えてもいいって思われる立場にいるわけだ。」
「多分、その、ヒサメ様の部下だからだと思います。」
「婚約者じゃないのか?」
「なんっ・・・なんでですか?」
大声を出しそうになり、私は慌てて音量を下げる。
ザッフィロは眉を顰めて首を傾げる。
「なんでもなにも、静寂の海の二人の様子からそういう仲だと思ってたんだが。部下っていうのもカモフラージュみたいなもんなのかと。俺が怒らせてしまった時もあんたのことでヒサメ様は怒ってただろ?それに、クレタが亡くなった時、ヒサメ様のあんたへの対応が部下って感じはしなかったから。」
確かにヒサメは私のことを気に掛けてくれることが多い。
でもそれは、恩人という出来事のせいであって、恋愛は絡んでいない。
「あの、本当に違います。ヒサメ様も私も、お互いに何とも思ってないんですよ。人間の部下なんてヒサメ様も初めてだから、対応を図りかねているんだと思います。」
「あんた、割と鈍いな。それなら、昨日の猫の時のことはどう説明するんだ?」
「あれは確実に揶揄われただけですよ。トゥアさんとザッフィロさんの反応が面白かったせいです。」
ザッフィロは納得がいかない様子で食い下がる。
「昨日、城へ行く時。あんたヒサメ様の隣にいたよな。あれってそういうことだろ。国の人に、あんたがヒサメ様の隣なのだと示すためだろうが。それって特別な意味合いがないと、しないだろ。」
「そうですね。」
ザッフィロに答えたのは私ではなく、後ろにいたシグレだ。
ザッフィロは肩を跳ね上げて驚いている。
私も驚いたが、そう何度も驚くのが癪で平気な振りをしてみる。
「あれは、いつまで経ってもよそ者を受け入れることが出来ない頭の固い上役の皆様をヒサメ様が黙らせるために、リビさんを隣に置いたのです。貴女の功績を無碍にできないようにするために。国民のほとんどが、リビさんのことを認識し始めている。ヒサメ様が認めている人間なのだと。そうなってしまえば、国の政治を担う上役であっても勝手に貴女を排除することは難しくなりますので。」
シグレはさらに一歩こちらに近づくと、私とザッフィロにしか聞こえない声で言った。
「ああでも、そうですね。あんなに大勢の国民がいたのですから、考えた人もいるでしょう。ヒサメ様の隣を許されたということは、そういうことなのでは、と。人の思考は自由ですから、好きなように想像するでしょうね。意図することも、意図しないことも、不思議と広まってしまうので。」
困ったように微笑むシグレは白々しい。
私は呆れたようにため息を飲み込んで問いかける。
「あの、昨夜からどうしてそういう方向に進めようとするんですか。シグレさんだって分かってるはずです。私がそういう器じゃないってことくらい。」
私のその言葉に、シグレはふいに私の手を掴んだ。
そうしてシグレは、ザッフィロの手も掴んだ。
戸惑う私とザッフィロは、あの特殊なガラス窓の扉の向こう、バルコニーへと引っ張られた。
ザッフィロは、こんなとこに入っていいのかと戸惑った表情をしているが、シグレは話を続けた。
「貴族の娘と結婚させようとする動きが出始めています。無理やりにでも婚姻を結ばせるおつもりなのでしょう。そうなったらヒサメ様はきっと、結婚しますよ。」
拳を握りしめているシグレは怒りの感情を押し殺しているように見えた。
王であるヒサメがいつまでも妃不在では体裁も悪いのかもしれない。
それに、妃が担う業務もこのままでは行うことができず、国民を不安にさせてしまう。
「ヒサメ様は国民のことを大切にしています。それゆえに、己の結婚はただの儀式に過ぎなくてもかまわないのです。そうであっても、ヒサメ様はきっとお相手のことを大切にします。子を成したとしても、その子供を大切にします。そういう人です、そういう人だからこそ、私は許せない。」
シグレの手が私の手を力いっぱい握る。
「家族の愛を求めていたヒサメ様に、また愛のない家族を作らせることが許せないのです!」
ヒサメはきっとどんな結婚相手でも大切にはしてくれる。
それは、私もそう思う。
だけど、そこに愛を含めることが出来ない。
妃の立場である相手を大切にし、王子の立場であるその子を大切に思えたとしても。
ヒサメが一番欲しかった愛のある家族は、そこには存在しない。
シグレは部下として、いや、友として。
ヒサメのことを想っているんだ。
「私だって、ヒサメ様が結婚するのならヒサメ様が愛せる人がいいですよ。でも、それって、私じゃないでしょ。ヒサメ様が私を気に掛けるのは、フブキさんの恩人の一件があるせいなんですよ。それだけで愛せるなら、今後誰かを愛することだって出来るはず・・・」
私の言葉が止まったのは、掴まれた手があまりに強い力で握られていたからだ。
「そんな簡単な話ではありません。人を信用することができないのに、その上愛するだなんてハードルが高すぎるんですよ。ヒサメ様にとっては難易度が高すぎるんです。ですがその信用を得ている貴女なら、可能性があります。この際、愛の種類はなんでもいい。恋愛である必要はありません。友愛よりも重ければ重いほどいいです。」
私が頭を抱えているとザッフィロがあのさ、と口を挟む。
「なんで俺まで連れてきたんですか?こんな話、部外者の俺が聞いていいもんかと。」
「ザッフィロさんは、リビさんがヒサメ様の婚約者だと思っていたと仰いましたね。そのまま、そのように振舞ってください。リビさんが素直に分かりましたと頷いてくれるはずがありませんから、周りから固めようと思っているんです。」
「それ本人の前で言う話じゃないですよ。」
ザッフィロは複雑そうな表情で隣の私を見た。
「あんた、ヒサメ様のこと本当に何とも思ってないのか?」
「友愛ならありますよ、さすがに。でもそれで結婚とはならんでしょうが。」
そう言った瞬間、ガラス扉が開いた。
「あの、リビさんいらっしゃいますか?」
顔を覗かせたのはボタンで、手には白い封筒を持っていた。
「ボタン、どうかしましたか。」
「シグレさん、白銀の国へと届いた書簡の中にリビさん宛てのものがあったのですが。」
シグレはボタンから白い封筒を受け取って、封蝋を見た瞬間眉を顰めた。
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